藤沢烈(ふじさわ・れつ):一般社団法人RCF代表理事
1975年京都府生まれ。一橋大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立。NPO・社会事業等に特化したコンサルティング会社を経営。東日本大震災後、RCF復興支援チーム(現・一般社団法人RCF)を設立。復興および地方創生事業を、行政や企業など多様なセクターとの連携を通じて全国で展開する。著書に『社会のために働く 未来の仕事とリーダーが生まれる現場』(講談社)『人生100年時代の国家戦略~小泉小委員会の500日』(東洋経済新報社)など。Twitter
藤沢烈さんのニュースピックアップ
1.ペロシ米下院議長の訪台に中国猛反発、軍事演習で牽制
中国は当初4日間の予定としていた軍事演習を延長しており、今後も緊張状態は続くと見られる。東日本大震災発生時、台湾から義援金だけで250億円も届いたことは記憶に新しい。蔡英文総統は災害のつど日本語で我々にメッセージをくれる。台湾は非常に近い存在であり、中台の緊張は対岸の火事でなく日本に影響のある話だ。台湾有事となれば難民として多くの方が日本へ避難することも予想され、これに備えなければいけないと思う。
2. 北海道・東北・北陸で記録的な大雨 災害への警戒続く
山形県と新潟県で大雨特別警報が発表された。北海道では観測史上最大の降水量となった地域があるほか、福島県では鉄橋崩落で市民生活に大きな影響が出ている。新潟県関川村ではボランティア受け入れもはじまった。今回はコロナ禍もあり都道府県を跨いだ活動がしづらく、その活動は地域内で完結すると思うが、ボランティアへのニーズ自体は大きい。行政面での対応に加え、“声なき声”を拾い支援を届ける意識も重要だと思う。
3. 参院選、文京区投票率は65.10% 全国平均は52.05%
有権者数10万人以上の自治体として、東京都文京区は長らく全国トップを維持しているという。ただ、65%というのは決して高い数字ではないし、たとえば北欧は9割に達している。日本は投票総数の半数が60代以上で、30代以下は2割。若い世代の声は2割しか政治に反映されないと思っていい。政治家は予想以上に投票率を見ている。教育や子育てといった政策を充実させるためにも、ぜひ若い方々は投票に行ってほしい。
4. キャリア官僚確保を 採用試験の受験年齢引き下げへ
人事院は国家公務員総合職の1次試験について、受験可能年齢を2023年度から19歳以上に引き下げると発表した。現在の応募者数はピーク時の4.5万人から6割減となっている。国や公共のために仕事をしたいという思いが非常に強くても「この仕事が本当に国や国民のためになっているのか?」と疑問を感じて、民間に転身する方も多いという。抜本的な働き方改革を行い、労働時間の短縮だけでなく、やりがいを持って仕事ができる環境にする必要がある。
5. JR東日本のローカル在来線 35路線・66区間が赤字
同様の数字はJR東海を除く全国のJR各社が出している。たとえばJR北海道は2016年に13線区が赤字であると発表したが、その後3区間が廃止、1区間がバス路線への転換となった。国土交通省の有識者会議は1日の平均利用者数が1,000人を下回る路線は維持が難しく「地域とともに今後のあり方を考えるべき」と提言している。国とJR各社の動きは連動しており、今後は存続に関する議論が始まるのだと思う。
【スペシャルトーク】「国分寺の投票率を1位に」プロジェクト
スペシャルトークでは、「国分寺の投票率を1位に」プロジェクトの発起人である鈴木弘樹さんに、投票率を高めるための活動についてお話を聞いた。
2019年の参院選のとき、勤務していたカフェのスタッフの方が政治について気軽に話す機会を設けてくださったことがある。そこで選挙広報のデザインについて話をしたり「投票マッチング」をしたりした経験がすごく楽しくて、学びを広げていくうち、「どうすれば投票率が高まるのか」という話になったことが本プロジェクト立ち上げのきっかけになった。
今回の参院選では、たとえば東京選挙区の候補者の方々にインタビューを行ってYouTubeで公開したりした。こだわったのは、「なぜ政治の世界に進んだのか」「どんな生活をしているのか」といった、“人となり”を知るための質問だ。若い世代からは「その人自身を知ったことで政策も知りたくなった」といった反響をもらった。「選挙はお祭りマルシェ」という催しも行った。僕らは屋台に行くのが楽しくてお祭りに行ったりするわけで、選挙も同じようにできないかと。楽しめる催しによって選挙のイメージが変わり、投票率を高められるかもしれないと考えた。
今回、国分寺の投票率は61.90%となり、有権者10万人以上の自治体として全国3位になった。自分たちの活動による成果という実感はあまりないが、少なくとも活動を通して初めて投票に行ったという声はいただいたし、「今回の選挙が楽しかった」という感想も数多く届いている。
今までは、政治への関心が高まると投票率が高まるという順番だった。それはそれで大事だが、投票率が高まるからこそ政治への関心も高まり、さらに投票率が高まるという流れもあるのではないか。
僕らのプロジェクトは世代も党派性もばらばら。若い世代だけでなく50代の方もいれば、自民党支持者も立憲民主党支持者もいるし、「政治に興味がない」という人だっている。だからこそ多様な視点で取り組みができるのだと思う。意見の異なる人同士が、それを受け止めあって一緒に何かを目指せること自体が希望だと感じている。投票するだけではもったいない。多くの方に、政治に対してもう一歩踏み込んでいただけたらと思う。
鈴木弘樹(すずき・ひろき):「国分寺の投票率を1位にプロジェクト」 発起人
「国分寺の投票率を1位にプロジェクト」公式サイト、Twitter
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