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固定比率の目安ってどれくらい?

投稿日:2017/09/05更新日:2019/04/09

財務安全性を示す財務指標の1つに固定比率があります。

固定比率(%)=固定資産÷自己資本×100

長期にわたっておカネを投資することになる固定資産は、返済が不要な純資産で賄うのが財務上は安全という考え方により、固定比率は100%を切るのが望ましいと言われます。固定資産は、ざっくり言うとおカネで回収されるまでに1年超を要する資産です。例えば、工場の建物、製造設備等の有形固定資産を例にとれば、有形固定資産の耐用年数にわたり工場が稼働して稼ぐおカネによって徐々に回収されます。このような長期にわたる投資のための資金を短期の借入金で賄った場合には、返済資金に困ることは想像に難くないでしょう。

しかし、電力、ガス、鉄道事業などのように事業を営むのに多額の有形固定資産投資が必要となる場合には、調達すべきおカネが巨額になり、全額を自己資本で賄うことが困難な場合もあります。また、一般的に株主からの出資に対するコスト(株主資本コスト)よりも借入金利(借入コスト)の方が低く、インフラ事業のように将来の収益が安定的に見込める場合には、コストの高い自己資本だけでなく財務戦略的に借入金も含めて資金調達することもあります。

つまり、自己資本だけではなく、1年以内に返済期限の到来しない長期借入金や社債などの固定負債を含めた範囲内で固定資産に対して投資するおカネを賄っていれば、財務的に安全と言えるのではないか、とも考えられます。これが、固定長期適合率の考え方です。

固定長期適合率(%)=固定資産÷(固定負債+自己資本)×100

固定比率が100%を超過する場合でも、固定長期適合率は100%を切ることが財務安全性の面からは望ましいと考えます。

以下の図をご覧ください。

B/Sの下半分を見ると固定長期適合率ですが、上から見ると流動比率となります。固定長期適合率が100%未満でないということは、すなわち流動比率が100%を切っていることを意味します。一般的には固定長期適合率より流動比率の方がイメージしやすいかもしれません。流動比率が100%を切っていると言われると、財務安全性に黄色信号が点灯している状況であることをイメージしやすのではないでしょうか。

  • 溝口 聖規

    グロービス経営大学院 教員

    京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。 (資格) 公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)

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