実質無借金ってどういう意味? 

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6月12日付けの日経新聞によると、上場会社の財務体質の改善が進んでいるとのことです。その指標の1つとして「実質無借金」かどうかを見ており、上場会社の約6割が実質無借金となったと報じています。

「無借金」の状態とは、通常は銀行借入金や社債などの利息を伴う借金(有利子負債)がゼロの状態を言います。会社のバランスシート(B/S)の負債には、有利子負債以外の負債もあります。例えば、支払手形や買掛金などの仕入債務、税金や従業員の給与の未払金、賞与引当金などの引当金も負債に含まれます。「無借金」と言う場合、あくまで有利子負債がゼロの状態なので、負債が全く無い訳ではないので注意が必要です。

そして、「実質無借金」とは、有利子負債は存在しますが、一方で、それを上回るキャッシュ(※)があり、キャッシュから有利子負債を差し引いて余りある状態をいいます。


キャッシュ(流動資産に含まれる現金及び預金、有価証券)>有利子負債

であり、キャッシュから有利子負債を差し引いて「ネットキャッシュ」がプラスとも言います。

要するに、B/Sの資産と負債が両膨らみになっていて、有利子負債を返済しようと思えば出来ると言う意味で、実質無借金と言うことです。したがって、一時的にネットキャッシュがプラスであるとか、数値上はネットキャッシュがプラスですが有利子負債を返済してしまうと経営上保持すべきキャッシュ残高を割ってしまうような場合は、実質無借金とは言えないかも知れません。

いずれにしても、実質無借金の会社は一般的に財務安全性が高いと言えるでしょう。例えば、財務安全性を示す純資産比率、流動比率、当座比率、固定比率などの財務指標の数値は高く(固定比率は低く)なる傾向があります。

実質無借金は、会社の倒産リスクを示す財務安全性の面では優良な数値になりますが、他方、手元資金を必要以上に貯め込むことにより資本効率が悪化するという指摘もされます。効率性を示す総資産回転率の悪化を通じて、ROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)といった会社の総合的な収益性が悪化します。ROEは、昨今投資家から非常に重視されている財務指標であり、経営者は財務安全性を意識しつつも、同時に設備投資や企業買収(M&A)などの事業への投資、あるいは増配、自己株式の取得などの株主への還元を通じて資本の効率的運用にも配慮が必要になります。

※ここでキャッシュとは、流動資産に含まれる現金及び預金、短期運用の有価証券の合計です

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