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メドレーやキッズ・パブリックが推進、テクノロジーによるヘルスケア変革

投稿日:2017/05/08更新日:2019/04/09

ヘルスケア業界でもインターネットによる業界変革が進んでいる。特に遠隔医療に関わる領域は法整備や規制緩和が進みつつあり、利用者の安心・安全といった信頼性を担保しつつ、テクノロジーを活用することによって利便性を高める事業機会が模索されている。

メドレーの場合

メドレー(東京・港)の豊田剛一郎代表取締役医師(32)は脳神経外科医として日米で勤務した後、医療を変革するため臨床現場を離れることを決意。外資系コンサルティング会社を経て2015年、同社に共同経営者として参画した。

500人の医師が共同編さんし病気、医薬品、医療機関の最新情報を掲載するオンライン病気事典「MEDLEY」や、スマートフォンやパソコンを通じ医師の診療を受けられるシステム「CLINICS」を提供。CLINICSは開始後1年で200超の医療機関に導入され、患者の通院継続率も高いという。

「寝たきりの患者の家族の見舞いの足が遠のくのを見て『医療は何のためにあるのか』と考えるようになった」と豊田氏。「地方医療の崩壊、高騰する医療費と国民皆保険の限界、医療現場でのスタッフの疲弊など日本の医療システムの未来に危惧を感じ、医療の外から医療を救う医師になりたいと思いスタートアップに参画した」と話す。

さらに「医療はこれまでインターネットなどによる変革が少なかった。法律の整備などが追いついていないことも多いが、変化の兆しはある。例えば遠隔診療では診療報酬制度がオンライン診療を想定していない点を是正しようとする動きがある。こうした後押しを受けて普及は加速するだろう」と指摘する。

キッズ・パブリックの場合

キッズ・パブリック(東京・北)の橋本直也社長(32)は小児病院勤務を経て15年に同社設立。小児科医である背景から「小児科オンライン」というインターネットを介した遠隔医療相談サービスを運営している。

月決めの定額サービスに会員登録すれば何度でも利用できる。保護者や小児医療現場の負担を軽減し、不要不急の外来受診を減少させて健康保険組合の支払う医療費を削減し、医療費適正化への貢献を目指している。16年12月からは健康保険組合との連携も始めた。

橋本氏は「『手のひらに小児科医を』というサービスを実現したい。軽症者が多く受診する小児科外来を経験し、背景に『子育ての孤立』があると感じていた」と話す。

「子育ての孤立に寄り添うことで、子供たちの健康と子育てをする親を支えたい。小児科オンラインで質問し自宅で不安が解消すれば、混雑した小児科外来に子供を連れていく親の負担も減る」と強調。「受診判断だけでなく、発達の悩みなど急ぎではないが小児科医に相談したいことも気軽に質問できる窓口となっている」と自負する。

ただ「会ったこともない医師に遠隔相談することへの心理的なハードルがまだ存在する」とも説明。「着実に信頼を勝ち得ていく」と語る。

もちろんヘルスケア関連は人の生命・人体にも影響し得るため、極めて信頼性を求められる領域である。他方で、現状の全ての通院ニーズが医療行為そのものだけでなく、情報の非対称性やコミュニケーション不全の解消によって一定程度担保される部分もありそうだ。利用者やその家族、医療現場の労働環境、国家の財務基盤にとって、適用可能な領域からテクノロジーによって変革することは「三方良し」の有効な一手となり得る。
 

(2017年3月9日付日経産業新聞の記事「VB経営AtoZ」を再掲載したものです)

 

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