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海外駐在員が心得ておきたい日本本社との付き合い方【世界で勝つ戦略思考術】

投稿日:2017/02/16更新日:2022/11/12

<p><img class="img_pl" style="float: right; width: 400px; height: 266px;" src="https://chikenrokuglobis.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/images/6689/content_3611111_l.jpg?q=75&fm=webp" alt="" />現場で日系企業の海外拠点に勤務するグローバルリーダーの方々からよく相談される内容の1つに、日本本社との関係性があります。「日本本社は日本のやり方を押しつけてくるので対応に困る」「海外事業への理解が乏しい」「本社への報告回数が多くて現地での仕事に集中できない」など、その悩みは多岐にわたっています。そこで今回はこの現象がなぜ起きるのか、そしてどのように対応していくべきかについて2回に分けて解説していきたいと思います。</p>

<p>なぜこのような状況が起きるのでしょうか。これは、MBAの授業でもよく登場する「BCG-PPM(ポートフォリオマネジメント)」を応用して説明することができます。</p>

<p>&nbsp;</p>

<p><img style="width: 700px; height: 423px;" src="https://chikenrokuglobis.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/images/6685/content_image001.png?q=75&fm=webp" alt="" /></p>

<figure style="float: center;"><figcaption><strong>※グロービスで加工作成</strong></figcaption></figure>

<p>PPMとは、複数事業を持つ企業が事業間の最適な資源配分を考える際に使われるフレームワークの1つです。市場成長率の高低、相対マーケットシェアの高低を掛け合わせた4象限に、各事業をプロットします。日本の企業にとっては、本社の既存事業であるコア事業は「金のなる木」に相当することが多く、海外事業などは「問題児」「スター」に入ることが多くなります。</p>

<p>このフレームワークの基本的な考え方は、カネのなる木で得た資金・リソースを、リソース需要と成長性が高い問題児への投資や問題児をスターに育てることに回し、次のコア事業を生み出していくということです。この考え方を使うと、カネのなる木である日本本社の既存事業の役割は利益率を上げることになり、その利益を海外事業などスターや問題児に回すことになります。リソースは、資金だけではありません。人的リソース等も含めた有形、無形のものも含みます。この資金の振り分けによって、次の既存事業になりうる事業を全社で育てていくのです。</p>

<p>&nbsp;</p>

<figure style="float: left;"><img style="width: 700px; height: 445px;" src="https://chikenrokuglobis.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/images/6686/content_image003.png?q=75&fm=webp" alt="" /><figcaption><strong>※グロービスで加工作成</strong></figcaption></figure>

<p>しかし、現実は、この理論に沿った意思決定がされることは多くはありません。既存事業部から見ると、問題児やスターに当てはまる海外事業にリソース投資していくことへの合理性が高くないように映るからです。成長性は高くても不確定要素が高いところに、投資をするより、今見えているこの既存事業を守っていくことにリソースを使ったほうが安全でかたいように見えますよね。しかも不確定要素が高いビジネスは、まだまだ見ぬ世界のビジネスですから数値での説得力にも欠けるわけです。この非合理性ゆえ、海外事業へのリソース配分が積極的に行われません。</p>

<p>また、海外事業担当者を悩ませる既存事業の呪縛はその他にも表れることがあります。それは、大きいものに最適化されるという組織の暗黙の法則です。会社の中で売上規模が最大でかつ人員も多いのは既存事業のコア事業です。規模が大きいですから、全社会議での影響力も大きく、また、最大規模事業であるからこそ、多くの人事施策・ビジネスプロセス・評価基準は、この既存事業に合わせて作られることになります。しかしそのルールは、規模も発展段階も文化も違う海外事業ではとても使いづらいものになりますが、全社視点で見ると、大きいもの(多くの人が関連するところ)に最適になるようにルールを作ることは合理的なのです。</p>

<p>海外事業に携わるリーダーは、やみくもに「本社はわかってくれない」と悩むのではなく、そこには既存事業や本社から見たある種の合理性が存在することを理解した上で、対応策を考えなければいけないと思います。</p>

<p><a href="https://globis.jp/article/5214" target="_blank" rel="noopener">次回</a>は、このような状況にどのように対応したら良いか解説します。</p>

<p>&nbsp;</p>

<p>【参考リンク】<br />

グロービス アジアパシフィックグロービス タイランド

アジアで活躍する企業・ビジネスパーソンの支援をすべく、日本語・英語に対応した「グローバル研修」をご提供するとともに、日本で8万人以上の方に受講いただいている「グロービス・マネジメント・スクール」をシンガポールとバンコクで開講しています。</p>

  • 葛山 智子

    株式会社T. K. Associates代表取締役/グロービス経営大学院教員

    大学院卒業後、ナイキ・ジャパン、アマゾン・ジャパン、外資系コンサルティング会社を経てグロービスに参画。グロービスでは、経営戦略・マーケティング領域の研究・プログラム開発に携わると共に、G1グローバルなどの世界会議の立ち上げ・運営を行う。その後シンガポール・タイを拠点として、ASEAN地域の人材育成事業を推進し、東南アジア統括会社を含む3社の社長を歴任。同時にグロービス本社の経営メンバーとして、マネージングディレクター・エグゼクティブコミッティメンバーの要職に就く。現在、独立し、株式会社T. K. Associatesの代表取締役を務め、海外で活躍する日本人・日本企業がさらに活躍するためのコンサルティングや発信活動を行っている。

    名古屋大学教育学部卒業、オハイオ大学経営大学院修了、オハイオ大学院大学院スポーツ健康学部修了

    学位:MBA、スポーツマネジメント修士(Master of Sports Administration)

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