家電量販店、通信会社、コンビニ、航空会社など、様々な業種で顧客向けのポイント制度が普及し、消費者も購入先をポイント制度の充実度で決めるなど、ポイントは我々の生活に不可欠な存在となっています。
ところで、顧客に提供するポイントは、会社の会計ではどのように処理されているのでしょうか。ポイント制度といっても、ポイントの有効期限の有無、即座に使用可能、一定のポイント数に累積後使用可能など様々ですが、ここでは比較的簡単な例をもとに一般的な会計処理を説明します。
【前提】
ある会社が、顧客の売上1,000円当たり1ポイントを付与します。顧客は、1ポイント当たり10円で会社の商品とポイントを交換できるとします。決算期末に付与されたポイント未使用残高は10,000ポイントで、将来におけるポイントの使用見込率は過去の実績等から50%と見込まれるとします。なお、ポイントの使用期限はありません。
【ポイント付与時=当初商品販売時】
会計処理は不要
【決算期末(1年目)】
借)ポイント引当金繰入額(販管費) 50,000円 貸)ポイント引当金(負債) 50,000円
50,000円=ポイント残高10,000×@10円×50%
次年度になり、10,000ポイントの内、2,000ポイント分が使用されたとします。
【ポイント使用時】
借)販売促進費(販管費) 20,000円 貸)売上 20,000円
20,000円=2,000ポイント×@10円
【決算期末(2年目)】
借)ポイント引当金 20,000円 貸)販売促進費(販管費) 20,000円
2年目において発生した販売促進費20,000円が、決算期末にポイント引当金と相殺されています。この結果、ポイント使用時の販売促進費が取り消されるとともに決算期末(2年目)ではポイント引当金の残高は80,000(=100,000円‐20,000円)となります。
ここで、1年目から2年目にかけての一連の会計処理を改めて説明します。1年目の決算での会計処理は、会社が顧客に付与したポイントの内、将来顧客によって使用される見込分をポイントが実際に使用される前に予め費用として会計処理するものです。この場合、ポイントの経済的意義は会社が売上を得るための販売促進(費)という考え方です(※)。
このように、1年目で将来のポイント使用に伴って発生が見込まれる費用(販売促進費)を全額認識しているため、2年目に実際にポイントが使用された(ポイントと交換に会社が顧客に商品を提供された)時点では改めて費用(販売促進費)を認識する必要はないことになります。
(※)日本の会社で一般的に採用される会計処理ですが、国や会計ルールの違いによっては、取り扱いが異なる場合があります。