あすか会議2016
第7部分科会「地方行政という仕事 ~マネジメントが街を活性化する~」
人口減少・少子高齢化が進み、中心市街地の空洞化が深刻化する中、「稼ぐ自治体」への転換が急務となっている。画一的な地方行政から、地域ならではの強みを活かした地域経営へ――多様化する地方行政の現場で、改革派リーダーたちはどのような挑戦に取り組んでいるのか。Amazonと組み、ドローンを使った世界初の宅配サービス実用化を目指す千葉市の熊谷市長、「ヨコスカバレー構想」「ドル旅」をはじめユニークな政策を次々と打ち出す横須賀市の吉田市長、国際政治学者の村田教授、起業家であり広島に拠点を置く国内有数の造船メーカー・ツネイシホールディングス専務である神原氏が議論する。(肩書きは2016年7月3日登壇当時のもの)。
<動画冒頭をテキストでご紹介>
末松氏: 毎回、あすか会議にはこういった首長さんが並ぶセッションがありますが、今回はこのセッションだけなんですよね。
まず、最初に村田先生にお聞きします。先生は国際政治専門ですが、地方について前回のセッションでモデレーターをされたこともありますし、そのあたりの観点から、今、地方あるいは地域はどういう風になっているのか、お話いただけますか。
村田氏: ありがとうございます、同志社大学の村田でございます。私だけ首長でないのに呼んでいただき恐縮なのですが、今、お話にありましたように、グローバル化が進んでいるとさかんに言われているわけですよね。ただ、グローバル化の定義は、国のレベルでも行政のレベルでもはっきりしないと言いますか、「グローバル」という言葉と「国際化」という言葉が混同して使われています。
急速にグローバル化が進んでいるわけですが、グローバル化が進むということは、国を覆っていたナショナルボーダーの役割が、なくなりはしないけど緩くなってきて、ヒト・モノ・カネ・情報が自由に行き来するということです。
人類の歴史を振り返ると、国ができる前に都市があるわけです。都市国家が先にでき、その後に国ができている。ナショナルボーダーが緩くなったら、その中に包摂されていた都市が、国際政治でももう一回重要な役割を持つのが理の当然で、地方自治体や市だから地方の話だというわけではなく、グローバルなコンテクストで考えないといけない時代にきているのではと思います。
都市間の協力や競合が、これからますます重要になっていくのではないかというのが、私が申し上げたい1点目です。
全部で3つあるのですが、2点目は、前回のセッションの時にもご紹介した話です。アメリカにリチャード・フロリダという都市経済学者がいます。彼はアメリカの都市の中で、たとえばシカゴやニューヨークやロスはずっと経済成長を続けているが、デトロイトは没落した、あるいはピッツバーグもだめになった、人口機能の問題でもロケーションの問題でもないようだと言っています。
なぜ、都市によって明暗をわかつかというと、彼は、「イノベーションのない街は衰退する」という結論を出しました。鉄鋼だけに頼ると鉄鋼がダメになった時に衰退するし、自動車産業だけに頼ると自動車産業が衰退した時に没落する。何かがダメになったらイノベーションを起こさないといけない。(この続きは動画でご覧ください)