貸借対照表の負債の部に計上される「未払費用」と「未払金」の違いもよく質問される項目です。いずれも、購入した財(モノ)や役務(サービス)などの対価の支払いが未了であり、将来精算すべき負債である点は共通しています。
会計ルールでは、「未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対していまだその対価の支払が終わらないものをいう」とあります。水道光熱費、家賃、給料、保険料、支払利息などの取引が該当します。ポイントは、サービスの提供を継続的に受け、かつ、契約の全てが完了していないという点です。例えば、従業員の給料を毎月20日締月末払いとしている場合、21日~月末までの従業員の勤務分は来月20日締分に含まれますが、月次決算では21日~月末にすでに会社に提供された勤務分を未払費用として計上します。
例)21日~月末までの勤務分が100である場合
借方)給料 100 貸方)未払費用 100
これに対して、未払金は「広告料、販売手数料、売上割戻金等の未払額(ただし、未払費用に属するものは除く)は、・・・未払金に属するものとする」とされます。また、以前は「特定の契約等により既に確定している債務のうち、未だその支払が終わらないもの」と定義されていました。
具体的には、上記の費用項目以外に固定資産の購入などが挙げられます。ポイントは、未払費用と異なり単発の取引が対象となり、かつ契約上の取引や期間が終了している点です。例えば、固定資産が納入、据付、試運転を経て検収が終了した状況で、通常、債務が確定したと考えられます。そして、当月末に購入額の支払いが未了の場合に購入額を未払金として計上します。
なお、未払金と未払費用は、いずれも債務の支払いが決算時点から1年以内に到来するものは流動負債、1年超のものは固定負債(長期未払金、長期未払費用)となります。
ちなみに、未払金のうち原材料や商品など会社の営業(主な事業)に関する仕入の未払額は「買掛金」とされます。
以上をまとめると次のような関係になります。
なお、実務上では、継続的なサービス提供の場合であっても、既に契約期間が終了した部分の未払額について請求書を入手した分は確定債務として未払金に区分される場合があります。