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最近、シャープの買収に関するニュースで「偶発債務」が取り上げられました。耳慣れない言葉に疑問を持った方も少なくないのではないでしょうか?

偶発債務は、少し堅い表現をすると、債務の発生する可能性が不確実な状況が決算日現在既に存在しており、将来事象が発生する、または発生しないことによってその不確実性が最終的に解消されるものを言います。要するに、将来債務が発生するかどうか現時点でははっきりしないけれども、将来債務が発生しそうな可能性が現時点で認められる状況を指します。偶発債務の具体的な例としては、保証債務(の履行の可能性)、係争事件に係る損害賠償義務(が裁判等の結果発生する可能性)などが挙げられます。

偶発債務が決算日現在に認められる場合、会計ルール(開示ルール)では決算書の読者に対して注意喚起をするために債務の発生の可能性がある旨(例:債務保証をしている場合には債務保証額)を決算書に注意書きするよう(注記と言います)求めています。また、偶発債務が現実に債務となった場合に会社に相応の損失が発生する可能性がある場合(例:債務保証の履行による損失が発生する場合)には、「将来の発生可能性の程度」と「損失金額の見積もりの可能度合」によって次のように取り扱われます。

【債務保証の場合】

損失の発生が高いか低いかの程度は、会社と会計監査人が協議して判断します。債務保証損失引当金は決算書の数字に反映されますが、決算書の注記だけでは決算書の数字は何ら影響を受けません。決算書の数字だけを見ると会社に将来損失をもたらす心配の種が存在するという事実はわかりません。実は、決算書の注記にはそのような“危ない”情報が盛り込まれています。注記を読みこなすには多少の知識が必要になりますが、この機会に決算書の注記という重要な情報の存在を知ってほしいと思います。

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