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最近、ソフトバンクを始め、自己株式の買い入れを発表する会社が目立ちます。株価向上が目的の1つでしょうが、なぜ、自己株式を取得すると株価が上がるのでしょう?

自己株式を購入すると、計算上は1株当たりの純利益が増加します。1株当たりの利益を計算する際、自己株式は発行済株式数から控除されます。例えば、当期純利益が100百万円、発行済株式数が1000千株とすると、

1株当たり利益=100円…100百万円÷1000千株

となります。仮に、自己株式を200千株(20%)取得すると、

1株当たり利益=125円…100百万円÷(1000-200千株)

となり、25%増加します。

PER(株価収益率/1株当たりの株価÷1株当たり利益)は株価と1株当たり利益の関係を示した指標ですが、このPERが一定であれば、1株当たりの利益が大きくなるほど株価は高くなります。例えば、PERを10倍とすると、

1株当たり利益100円*PER10倍=株価1000円
1株当たり利益125円*PER10倍=株価1250円

となり、株価は25%上昇することになります。

また、自己株式を取得すると純資産が減少し財務レバレッジ(総資産÷自己資本)が高まるためROEが上昇するという効果があります。

ROE=当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ

ROEは株式市場で重視されている経営指標ですので、投資家はROEの上昇を好感して株価の上昇に繋がることがあります。会社が株式市場から購入する自己株式は「資産」ですが、一方で株券を発行することによって調達した「資本金」を株式市場から株券を買い戻すことは資本金の一部を払い戻すことにもなります。自己株式を購入すると純資産が減少するのはこのためです。

会計ルールでは、自己株式を貸借対照表(B/S)の資産ではく純資産の部にマイナス(△自己株式)として表します。直接資本金を減額させないのは、自己株式の取得は実質的には資本金の払い戻し(減少)であるものの、実際に資本金を減少(減資)するには会社法に則った厳格な手続きが必要となるためです。

自己株式の取得は会社の財務指標や株価に好影響をもたらす可能性があり、会社の財務戦略として検討する余地はあります。しかし、うがった見方をすれば、投資家から調達したおカネを使いきれずに返還するということでもあります。投資家にとっては、会社に投資したおカネは会社の事業に対する期待とも言えます。望むらくは、事業に有効に活用して成果につなげて欲しいものです。

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