大手家電メーカーの第3四半期決算発表で、事業ごとの売上高や営業利益が公表されました。全体の営業利益の1/3超が金融事業によるとのことで、家電メーカーのイメージとのギャップを感じた人もいるのではないでしょうか。
このように、決算発表では会社全体の業績だけでなく、事業ごとの業績が公表される例は少なくありません。ある程度の事業規模になれば、本業だけでなく経営を多角化して複数の事業を営んでいる会社も多いでしょう。経営者は、それぞれの事業を総力して全体の業績目標を達成すべく努力するのですが、結果として好調な事業とそうでない事業があるはずです。外部の投資家や株主などのステークホルダーにとっては、そういった情報を詳しく知りたいというニーズがあります。
このようなニーズに応えるのが「セグメント情報」です。会社の決算発表でも一部報じられますが、有価証券報告書に開示される情報の方が充実しています。
セグメントは一般的には「部分」や「階層」といった意味ですが、企業業績開示においては会社によって事業別、あるいは地域別などを基準に区分されます。中心となるのは決算書の注記である「セグメント情報」のセクションであり、最近2期間のセグメント別の売上高、利益(営業利益であることが多い)、資産、投資額などの情報が記載されます。これにより、各セグメントの事業規模(全体に占める割合)、利益率やROIC(投下資本利益率)などが把握できます。また、これ以外にも有価証券報告書には従業員数、業績の概要説明、生産や販売実績、研究開発投資額、保有設備や設備投資計画情報などの情報がセグメント別に開示されます。業績といった過去情報だけでなく、会社が今後どのセグメントにより重点を置こうとしているのかを読み取ることができます。
日本版スチュワードシップコード、コーポレートガバナンスコードが導入され、会社と投資家との間でより一層のコミュニケ―ションが図られる中で、セグメント情報は会社の今後の方向性や業績を理解するためにますます重要になるでしょう。セグメント情報を読みこなすには慣れが必要ですが、少し気にかけると今まで気が付かなかった会社の情報が得られるかもしれません。