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引当金とは?賞与を例に解説

投稿日:2015/11/25更新日:2019/04/09

比較的よく目にする会計用語の一つ、「引当金」。そもそもの意味や具体的な会計処理がイマイチ理解しにくいという方も多いのでは?引当金はおカネの入出がまだ起こっていないタイミングで会計処理が必要になるため、経営者の感覚に合わないという意見も耳にします。

では、「在庫を引き当てる」という表現を聞いたことはありますか?得意先からの注文を受けて、商品の出荷準備をするという意味です。「引き当てる」という言葉には「準備をする」という意味があるのです。

会計ルールでは、以下3つの条件が揃うと「引当金」の計上が必要になります。

1) 将来の費用(損失)の理由が既に発生している
2) 将来の費用(損失)の発生の可能性が高い
3) 将来の費用(損失)の金額の合理的見積りが可能

3月末決算の会社Aを例に、賞与について具体的に見てみましょう。

会社Aは社内規程で、12/1~5/30の勤務に対しては7/15、6/1~11/30の勤務に対しては12/15にそれぞれ賞与が支払われるとします。すると、3/31の決算日時点では、従業員は12/1~3/31まで働いた期間分に対しては7/15に支払われる賞与の理由が発生したと考えられます(条件1)。また、過去の実績として通常、賞与が支払われてきた場合などは、次回の賞与も高い確率で支払われると考えられます(条件2)。さらに、賞与が基本給の何か月分と予め定められているような場合は、個人別の支給額が合理的に算定できます(条件3)。よって、会社Aの賞与は引当金の条件1,2,3を満たします。

賞与の支給は(来期の)7/15ですが、当期3月決算に7/15支給分の内1/1~3/31に従業員が働いた金額相当分を見積もって(例えば総額100とするとその50%を)引当金として計上します。 7月の賞与の支払いに備えてそのための準備をするという意味合いです。

【会計処理】
借)賞与(引当金繰入額) 50  貸)賞与引当金  50

上記の会計処理でもおわかりのように、「賞与引当金」という『負債』を計上することは、同時に「賞与」という『費用』を計上することでもあります。まだ支払ってもいない賞与を費用として計上する(利益が減る)のは損した気分になるかもしれません。しかし、実際に賞与100を支払う時には準備しておいた賞与引当金(50)を取り崩して使うことができるので、支払い時の費用は50となります。その結果、当期と来期の費用(賞与)の合計は100となり、賞与の支払額と一致します。

【会計処理】※来期賞与支払時
借)賞与  50          貸)現金及び預金 100
借)賞与引当金 50

  • 溝口 聖規

    グロービス経営大学院 教員

    京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。 (資格) 公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)

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