「固定資産の減損損失により当期純利益が対前年比50%減」といった業績報道を見かけたこと、ありませんか?固定資産の減損損失の他、以下のような項目は損益計算書では「特別損失」として表示されます。また、土地や建物の固定資産売却益等は「特別利益」となります。
特別損失: 土地建物等の固定資産の売却や除却による損失、投資有価証券の売却による値下がり損、事業リストラに伴う構造改革費用や特別退職金、係争案件の和解金 等
特別利益: 土地建物等の固定資産の売却による利益、投資有価証券の売却による値上がり益、火災等で損害を受けた資産の損害保険による補償額、債務免除益 等
特別利益や特別損失は、毎年継続して発生しない臨時性の高い項目、会社にとって通常は発生しないような多額の項目が該当します。「○年に1度」「○億円以上」と言った一律に「特別」かどうかを区分する基準はなく、臨時性と金額の大きさを検討して「特別」に該当するかどうかを個別に判断します。したがって、通常は「売上原価」に含められる原材料の廃棄損や「販売費及び一般管理費」として処理される貸倒損失も、発生原因が会社にとって非常に稀であり金額的にも多額である場合には、特別損失として取り扱われることがあります。
さて、皆さんが株主や投資家だとします。投資先の会社が特別損失によって赤字になったとしたらどう思うでしょうか?案外、「一過性のものだから来期は業績が好転するのでは?」、「早めに膿を取り除いたのだからむしろ良かった」、「会社の収益性を示す経常利益は安定しているので実質的には問題ない」など好意的に受け止める意見もあるのではないでしょうか?
確かに、問題を先送りするよりは早期に判断して結論を出した方が良いでしょう。しかし、特別損失の多くは経営者の過去の事業投資などの意思決定の誤りが原因とも言えます。会社としては、特別損失が発生した原因、どういう情報や検討を踏まえて意思決定をしたのか、その後どんな環境変化があり判断に狂いが生じたのか、そして同じ失敗を犯さないために今後どう対策するのか、をしっかりと総括する必要があるでしょう。そうでないと、もしかしたら本来「特別」であるはずの損失が、近い将来また発生することになるかもしれません。