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システム思考とは?複雑な問題を解く「全体を見る力」を身につける方法

投稿日:2025/07/28更新日:2025/08/25タイマーのアイコン 読了時間 6分

システム思考とは、複数の要素のつながりと全体最適に注目する問題解決手法です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

システム思考とは - 部分ではなく「つながり」を見る新しい視点

システム思考とは、目の前の問題や出来事を単独で考えるのではなく、それらがどのようにつながり合い、影響し合っているかに注目する思考方法です。

私たちは普段、問題が起きるとその問題だけに集中してしまいがちです。しかし、システム思考では「なぜその問題が生まれるのか」「他の要素とどう関係しているのか」といった、より大きな視点で物事を捉えます。

例えば、会社で売上が下がったとき、「営業の努力が足りない」と考えるのが一般的な見方です。しかし、システム思考では「商品の品質は?」「マーケティングは?」「顧客のニーズの変化は?」など、様々な要素のつながりを考えます。このように全体を見ることで、根本的な解決策が見えてくるのです。

なぜシステム思考が重要なのか - 現代ビジネスに欠かせない理由

現代のビジネス環境では、システム思考の重要性がますます高まっています。その理由を見てみましょう。

①複雑化する現代社会への対応

今の社会は、昔に比べて格段に複雑になりました。一つの企業でも、国内外の拠点があり、様々なステークホルダーがいて、技術の進歩も早い。このような環境では、一つの問題を解決しても別の問題が生まれる「モグラたたき」のような状況に陥りがちです。

システム思考を身につけることで、こうした複雑な問題の根本的な原因を見つけ出し、効果的な解決策を見つけることができます。

②持続可能な成長の実現

短期的な成果を求めるあまり、長期的には悪影響をもたらす判断をしてしまうことがあります。例えば、コストカットのために教育費を削ったら、従業員のスキルが低下し、結果として競争力を失うといったケースです。

システム思考により、このような「今は良くても将来は困る」という判断を避け、持続可能な成長を実現できます。

システム思考の詳しい解説 - 学習する組織との関係と実践方法

システム思考をより深く理解するため、その背景や具体的な手法について詳しく見てみましょう。

①ピーター・センゲの「学習する組織」との関係

システム思考は、アメリカの経営学者ピーター・センゲが提唱した「学習する組織」の核となる考え方です。センゲは、変化の激しい現代において成功し続ける組織には「5つのディシプリン」が必要だと説きました。

その5つとは、システム思考、自己実現と自己研鑽、メンタル・モデルの克服、共有ビジョンの構築、チーム学習です。この中でシステム思考は、他の4つを統合する「第5のディシプリン」として位置づけられています。

なぜなら、個人のスキルアップも、チームワークの向上も、最終的には組織全体の成果につながらなければ意味がないからです。システム思考があることで、個別の取り組みが全体最適につながるのです。

②システム思考の具体的な手法

システム思考では、複雑な関係を理解するために特別な図表を使います。代表的なものが「ループ図」です。

ループ図は、原因と結果の関係を矢印でつないで、それらがどのように循環しているかを表した図です。例えば、「売上減少→経費削減→サービス品質低下→顧客満足度低下→売上減少」というような悪循環を見える化できます。

また、「時系列パターングラフ」も重要なツールです。これは、時間の経過とともに問題がどのように変化しているかを示すグラフで、一時的な問題なのか構造的な問題なのかを判断するのに役立ちます。

③システム全体の最適化を考える視点

システム思考では、「部分最適ではなく全体最適」という考え方が重要です。

有名な例として、米ソ冷戦時代の軍拡競争があります。アメリカが軍備を増強すると、ソ連は脅威を感じてより多くの軍備を整える。するとアメリカも更なる脅威を感じて軍備を増強する。それぞれの国の立場では合理的な判断でも、システム全体で見ると両国とも疲弊するという非合理的な結果になってしまいました。

このような「いたちごっこ」を防ぐには、高い視点から全体像を捉え、win-winの解決策を見つけることが大切です。これがシステム思考の本質なのです。

システム思考を実務で活かす方法 - 具体的な活用シーンと実践のコツ

システム思考を実際のビジネスで活用するための具体的な方法を見てみましょう。

①会議や問題解決の場面での活用

会議で問題について話し合うとき、システム思考を使うことで議論の質を大きく向上させることができます。

例えば、「顧客からのクレームが増えている」という問題があったとします。通常なら「クレーム対応を改善しよう」となりがちですが、システム思考では「なぜクレームが発生するのか」「商品開発、製造、営業、アフターサービスはどう関係しているか」といった広い視点で考えます。

実際の会議では、ホワイトボードに関係する要素を書き出し、それらの関係を矢印で結んでみると良いでしょう。意外なつながりが見えてきて、根本的な解決策のヒントが得られます。

②戦略立案におけるシステム思考の活用

新しい事業を検討するときや、既存事業の改善を考えるときにも、システム思考は威力を発揮します。

単に「この商品を作れば売れる」ではなく、「競合他社の反応は?」「社内のリソース配分は?」「既存顧客への影響は?」「技術の変化によるリスクは?」など、様々な要素を考慮した戦略を立てることができます。

実践のコツは、まず現状を「As-Is」として整理し、次に目指すべき姿を「To-Be」として描き、その間のギャップと必要なアクションを明確にすることです。この過程で、システム全体を見渡すことができ、より実効性の高い戦略が生まれます。

また、定期的に戦略を見直し、想定していなかった影響や変化がないかチェックすることも重要です。システム思考は一度身につけたら終わりではなく、継続的に活用していくことで真価を発揮します。

参考ページ

MBA経営辞書「システム思考」

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