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前提とは?常識を疑って新しいビジネスチャンスを生み出す思考法

投稿日:2025/07/04更新日:2025/08/05タイマーのアイコン 読了時間 6分

前提とは、思考や判断の出発点となる条件や仮定を指します。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

前提とは

前提とは、推論や思考の出発点となる命題や決め事のことです。論理学では、推論を行う際の根拠となる事実や仮定を指します。たとえば古典的な三段論法では、「哺乳類には肺がある」という大前提と「猫は哺乳類だ」という小前提から、「猫には肺がある」という結論を導き出します。

ビジネスの世界では、前提はもう少し広い意味で使われます。何かを考えるときの決め事や、計画を立てる際の条件設定として活用されるのです。この前提の設定次第で、その後の思考や判断が大きく変わってくるため、非常に重要な概念といえます。

なぜ前提が重要なのか - 思考の質を左右する基盤

前提が重要な理由は、それが私たちの思考や判断の質を大きく左右するからです。適切な前提を設定できれば論理的で建設的な思考が可能になりますが、間違った前提や古い常識にとらわれていると、革新的なアイデアや解決策を見逃してしまう可能性があります。

①思考の方向性を決める羅針盤の役割

前提は、思考の方向性を決める羅針盤のような役割を果たします。どのような前提を置くかによって、その後の分析や検討の方向が決まるからです。たとえば「顧客は価格を最も重視する」という前提で商品開発を進めるのと、「顧客は体験価値を最も重視する」という前提で進めるのでは、まったく異なる商品が生まれることになります。

②イノベーションの源泉となる可能性

既存の前提を疑い、新しい前提を設定することは、イノベーションの重要な源泉となります。多くの画期的な商品やサービスは、それまで当たり前とされていた前提を見直すことから生まれています。常識を疑う姿勢こそが、競合他社に先駆けた新しい価値創造につながるのです。

前提の詳しい解説 - 種類と活用方法を理解する

前提には大きく分けて2つの種類があります。一つは「仮説」としての前提、もう一つは「約束事」としての前提です。それぞれの特徴と使い分けを理解することで、より効果的に前提を活用できるようになります。

①仮説としての前提 - 検証可能な推測

仮説としての前提は、現時点では確定していないものの、一定の根拠に基づいて立てられる推測です。「経済はこれからもしばらく停滞する」「当面は二大政党制が続く」といった例が該当します。これらの前提は、将来的に検証され、修正される可能性があります。

ビジネスでは、市場動向や顧客行動に関する仮説を前提として戦略を立てることがよくあります。重要なのは、これらの仮説が外れた場合に備えて、柔軟に修正できる体制を整えておくことです。また、定期的に仮説の妥当性を検証し、必要に応じて見直しを行うことも大切です。

②約束事としての前提 - 計算や分析のための条件設定

約束事としての前提は、計算や分析を行うために便宜的に設定する条件です。「円周率は3として計算する」「為替変動は無視できるものとして考える」といった例が該当します。これらは現実とは異なる場合もありますが、複雑な問題をシンプルに捉えるために意図的に設定されます。

このような前提を設定する際は、その妥当性と影響範囲を十分に検討する必要があります。簡略化によって得られる分析のしやすさと、精度の低下というトレードオフを適切にバランスさせることが重要です。

③常識を疑う前提思考 - イノベーションへの扉

最も興味深いのは、既存の常識や前提を疑うことから生まれる新しい発想です。マイケル・デルは「パソコンはパソコンショップで買うもの」という当時の常識を疑い、電話による直販モデルを構築しました。またグーグルは「ウェブサイトの滞留時間をなるべく長くする」という当時の常識を捨て、素早く目的の情報にたどり着けるサービスを提供することで新しい収益モデルを作り上げました。

前提を実務で活かす方法 - 常識を疑う具体的テクニック

前提思考を実務で活用するためには、具体的なテクニックを身につけることが大切です。日常業務の中で前提を見直す習慣をつけることで、新しいアイデアや改善案を生み出すことができます。

①極端な仮定で常識を揺さぶる質問術

極端な仮定の質問をすることで、固定観念を打ち破ることができます。「価格を3分の1にすることは可能か?」「納期を半分にできないか?」といった一見無謀に思える質問こそが、画期的なアイデアのきっかけになることがあります。

このような質問をする際は、最初から不可能だと決めつけずに、本気で検討してみることが重要です。制約条件を取り払って考えることで、これまで見えなかった解決策が浮かび上がることがあります。たとえ最終的には実現できなくても、その過程で生まれた発想が別の場面で活用できる場合もあります。

②素朴な疑問を大切にする姿勢

「なぜこんな機能がついているのですか?」「なぜこの手順を踏まなくてはならないのですか?」といった、一見ばかばかしく思える質問も非常に価値があります。長年続けられてきた慣習や手順には、もはや必要のない要素が含まれていることがよくあります。

このような素朴な疑問を持つことで、業務の効率化や顧客体験の向上につながる改善点を発見できます。新入社員や他部署からの視点を積極的に取り入れることで、見落としがちな前提を発見することも可能です。

③否定形思考で新しい可能性を探る

既存の前提を否定形に変えてみることで、新しい発想が生まれることがあります。「アイスクリームは容器を必要とする」という前提を「容器を必要としないアイスクリームはできないか?」と否定形で考えることで、コーンアイスのような新しい商品形態のアイデアが生まれるかもしれません。

この手法は、商品開発だけでなく、サービス設計や業務プロセスの改善にも応用できます。「必ず店舗で受け取る」を「店舗で受け取らない」に変えることで宅配サービスが生まれ、「対面で説明する」を「対面で説明しない」に変えることでセルフサービスやオンラインサポートが発達しました。

前提を見直すことは、一朝一夕にできることではありません。しかし、日頃から疑問を持つ習慣を身につけることで、少しずつ新しい視点を獲得できるようになります。チーム全体でこのような思考法を共有することで、組織全体のイノベーション力を高めることも可能です。

参考ページ

MBA経営辞書「前提」

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