海外での人脈作りのカギは「とにかくギブせよ」

今年3月発売の『海外で結果を出す人は「異文化」を言い訳にしない』から「違いを乗り越えて、成果を生み出すリーダーシップ」の一部を紹介します。

人脈作り=ネットワーキングは、結果を残すリーダーにとって必須の営みです。質量ともに優れた人脈を持てれば、何か目的を達成する際にさまざまな影響力を行使できますし、自分が困ったときにもさまざまな支援を得られるからです。ただ、海外の人と人脈作りをするのは容易ではありません。そもそものバックグラウンドが大きく違いますから、日本人同士が仲良くなるよりもハードルが高いのです。ではどうすればいいかというと、日本人同士以上に、相手に尽くすことです。民族によって程度の差はあるかもしれませんが、人間には返報性という抜きがたい心理があります。自分のために骨を折ってくれた人に対して、人はやはり感謝しますし、「この人となら同じ船に乗っても大丈夫」と感じてくれるものです。会社の一員という立場を超えて、「○○さんのためなら一肌脱ぐよ」と言ってもらえるまで相手に尽くすことが、グローバルな人脈構築では大切になるのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、英治出版のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

ギブ&テイクではなくギブ&ギブ

2011年8月にワシントンで、日高義樹氏(元NHKのワシントン支局長、現ハドソン研究所の客員上級研究員)に、世界情勢などについてインタビューしたときのことだ。東日本大震災という未曾有の災害直後の折、日本の先行きは不透明だった。日高氏は、長年アメリカに滞在し、親米派の論客として活躍されてきた骨太のジャーナリストだ。

私はインタビューのなかで、こんな質問をした。

「グローバルで活躍するリーダーについて、どう考えるか?」

その問いに対して、日高氏がきっぱりと明言されたのが印象的だった。

「いかに個人としての関係が作れるかだ! つまり、世界のどこへ行っても、個人としての人間関係を作れるかが問われている。会社対会社、組織対組織の関係なんて、たかが知れている。個人対個人の関係を、現地の人たちと作ることができる能力があるか。それが重要だ」

では、個人対個人の関係は、どうしたら作ることができるか。そう私か問いかけると、日高氏は次のように答えた。

「徹底的に相手に尽くすことだ。〈ギブ、ギブ、ギブ〉を徹底的にやるべきだ。見返りなど考えてはダメだ。〈ギブ&テイク〉という言葉があるが、相手から見返りを得ようなんて100年早い。逆を考えてみたらいい。あなたが逆の立場であれば、どういう外国人だったら信頼して、友だちになるだろうか。

〈グローバルリーダーになるには?〉などと言う前に、まずは、〈自分は徹底的に相手に尽くし、貢献をしたのか。困っているときに助けてあげたのか〉を振り返ってみるといいだろう。〈あいつは誠実で、本当にいい奴だ〉という評判を得られないと、他の人を紹介などしてくれない。逆にアメリカ人は、自分に尽くしてくれたことを決して忘れないという、とても義理堅いところがある」

私はこれを聞いたとき、翻って自分はどうだろうかと自問した。徹底的に相手に尽くしているだろうか? また、尽くしてくれた相手に対して、きちんと義理を返しているだろうか?

日高氏とのやり取りから、まずは、こうした人間としての基本的な姿勢がきわめて重要であり、地道に積み上げていくべきであることを学んだ。NHKのワシントン支局長という立場の日高氏でさえも、現地に乗り込んでから、地道に1つひとつ人間関係を真摯に構築して来られたということを痛切に感じた。

こうした地道な努力がなければ、異国の地で、とても個人対個人の関係は作れないだろう。いわんや、目先の損得や自己中心的に物事を考えるのは、もっての外だ。

 

グロービス出版
グロービス電子出版

グロービス経営大学院では、世界で通用するリーダーに必要な「国際的視野」を習得するための「グローバル・パースペクティブ」の授業を行っています。

 

海外で結果を出す人は「異文化」を言い訳にしない
著者:グロービス(著者)、高橋亨(執筆者) 発売日 : 2021/3/22  価格:1,980円 発行元:英治出版

RELATED CONTENTS