「それらしい結果」に満足せず、他の可能性を疑ってみる

今年6月発売の『ロジカル・シンキング練習帳』から「LESSON8 分けて、みる」の演習問題を紹介します。

様々な切り口で物事を分解することで、それまでに見えなかった風景が見えるということはよくあることです。そのためにも様々な切り口を持っておくことがビジネスパーソンには求められます。このときの注意点の1つとして、ある切り口で切ってみた時にそれらしい結果が出ると、そこでそれ以上の分析を止めてしまうことがあります。一見それらしい結果に見えても、また別の切り口で切ってみると、さらに実態に近い結果が見えることもよくあることです。安易に分析を止めるのではなく、「他に可能性はないか」と疑ってみる姿勢が必要なのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

演習問題

ショールームの入場者調査。平日/週末、個人/団体、大人/子供別の切り口で分解してみることにしました。表1、表2、表3からどのようなことが起こっていると解釈できるか考えてください。

解答

3つの表から、以下のことがわかります。

・表1から、平日/週末の違いは特にない
・表2から、個人が100人減っている
・表3から、大人が100人減っている

個人が減っているという特徴的な傾向だけでなく、大人が減っているという特徴的な傾向もあることがわかります。このように、複数の特徴的な傾向がある場合もありますので、ひとつの傾向か見えたからといって、そこで分解を止めないようにしましょう。

一方で、この2つの事実から、「個人客の大人が100名減っている」と結論づけることは、少し慎重に考える必要があります。たとえば、表4のような状況があり得るからです。

団体客の全体の増減を確認してみましょう。団体客の大人は、50名減、一方で、団体客の子供は、50名増となっています。その結果、団体客全体の人数は、大人の減少と子供の増加で相殺され、増減は0となり、変化していないようにみえます。

同様に、子供の全体の増減を確認してみましょう。個人客の子供は50名減、一方、団体客の子供は、50名増となっています。その結果、子供全体の人数は、個人客の減少と団体客の増加で相殺され、増減は0となり、変化していないようにみえます。

その結果、表2、表3だけだと以下の4つの事象がみえてきてしまいます。

・「団体客は減っていない」
・「子供も減っていない」
・「個人客が100名減っている」
・「大人が100名減っている」

それゆえ、表2、表3から読み取れる個人客の減少の100名と大人の減少の100名が一致してみえてしまいます。その結果をもって、個人の大人が100名減ってしまっていると解釈してしまうことは自然ではあります。ただ、本当は、表4のように、個人客の大人は50名しか減っておらず、他のいくつかの変化が本当は発生しているにもかかわらず、それらが相殺されてしまい認識できない状況もあるということです。

複数の切り囗で、分解をした結果、数字が一致すると「それだ!」と結論づけたくなるものですが、それでは不十分だということ。たまたま表面的にそのようにみえてしまうことがありますので、安易に表面的な数字に飛びつかないことが大切です。

逆に言うと、表4のレベル、個人×団体、大人×子供、先週×今週のレベルまで、丁寧に分解をしなければならないということです(次の図は表4をグラフ化したもの)。

(執筆者:岡重文 グロービス経営大学院教員)

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