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失敗すること自体がいいことだ!「アクセラレーションプログラム」で起業家たちを応援するエコシステムをつくる〜加藤由将×杉原美智子×中村亜由子×堀新一郎×今野穣

投稿日:2019/07/10更新日:2019/07/11

本記事は、G-STARTUPローンチセミナー「ユニコーンを100社輩出する生態系をつくる~アクセラレーションプログラムの役割とは~」の内容を書き起こしたものです。(全3回 中編) 今野穣氏(以下、敬称略):グロービスは今回初めてアクセラをスタートさせたわけですが、これまでもアクセラに関してさまざまな取り組みをしてこられた僕らの先輩ということで、今日は壇上4名の方にお越しいただきました。皆さまのお話を通じて、日本全体としてアクセラをどう動かしていくべきかといったことが議論できればと思います。まず中村さんから、自己紹介を兼ねて最近のアクセラの現状について教えていただけますか?

アクセラの数は3年で300%にまで急増

中村亜由子氏(以下、敬称略):私は現在、「価値ある出会いが未来を創る」ということを掲げて、eiiconというオープンイノベーションのプラットフォームを運営しています。オープンイノベーションとは、社内と社外のリソースを組み合わせて新たな価値軸を生み出すイノベーションの方法論ですね。平たく言うと「社外と連携して新規事業を生み出そう」と。それを支援するWebプラットフォームがeiiconです。ローンチして2年2ヶ月で、現在の登録社数は6000社を突破しました。おかげさま日本最大級のプラットフォームになり、6月には「JAPAN OPEN INNOVATION FES 2019」というイベントも予定しています。 で、日本におけるアクセラの全容ですが、数えてみると現在は156ありました。2016年が50件ほど、2017年が90件ほど、2018年が156件ということで、倍々で2016年比では300%にまで伸びています。 今野:分類的に何か特徴はあるんですか? 中村:最近は自治体さんが増えているのと、インフラを持つ事業会社さんがこぞってやりはじめているというのはあります。社外と連携して新規事業を生み出す手法としてアクセラが有効ということで、もともとやっていらしたようなVCさんとは違う、事業会社さんが主体になって動く形が最近は増えていますね。 今野:ありがとうございます。では、そうした事業会社を母体にする東急の加藤さん。自己紹介を兼ね、どんなプログラムをやっていらっしゃるのか教えていただければと思います。

複合企業体(コングロマリット)の特性を活かしたアクセラを

加藤由将氏(以下、敬称略):東急アクセラレートプログラムという事業共創プログラムを運営しています。会社は現在「東京急行電鉄株式会社」という社名ですが、今年9月に鉄道事業を分社化して「東急株式会社」となります。なんの会社か一言でご説明すると、B2Cのリアルなタッチポイントを持つ複合企業体(コングロマリット)ということになります。 さて、東急アクセラレートプログラムのコンセプトは「スタートアップと共に、ワクワク・ドキドキするイノベーティブな街づくりを」。プロセスとしては4段階。まず、コングロマリットとして多事業領域で顧客接点があるわけですね。百貨店、ホテル、スーパー、鉄道、バス、フィットネス、病院、老人ホーム、学童保育等、なんでもあります。そうしたリアルな顧客接点で、数多くのサービスオペレーターとともに社会実装に関する用途開発を行っています。 また、用途開発をしておしまいではなく、そこからさらに踏み込んで実装を行います。そのうえで、そのフィードバックデータはすべてスタートアップに戻してあげて、プロダクトやサービスの改善をしていただきます。そういうプロセスになります。その結果、最後に「これは長くできますね」ということが確認できたら、要はビジネスのデューデリが終わった段階で、出資および業務提携を検討するというプログラムです。 今野:東急のリアルなアセットを最大限にぶん回すということは、最初のステージにいる会社とはあまりやらないんですか? 加藤:そうですね。そこは明確に戦略的な舵を切っています。シードはやりません。東急グループの事業会社の人でベンチャーのメンタリングができる人って、ほとんどいないんです。ですから、そこはもうお任せします。まさにG-STARTUPのようなプログラムでメンターの方々にビジネスモデルをしっかりとモデリングしてもらって、プロダクトができあがって、そのあと実際に現場へ落とし込んだらどうなるかという仮説検証のところで一緒にやらせていただく、と。そんな風にステージの役割分担を明確にしているプログラムです。 今野:ありがとうございます。では堀さん。堀さんはCode Republicの共同代表であり、YGキャピタルの社長でもあります。また、ソフトバンクの社内起業におけるメンター、さらにはインドネシアでの投資等々、いろいろやっていらっしゃいますよね。

先輩起業家のネットワークを若い起業家たちに提供

堀新一郎氏(以下、敬称略):そうですね。4つか5つほど。そのなかで、今日はCode Republicというアクセラレータープログラムの代表、それとSBイノベンチャーという社内起業アクセラレータープログラムの取締役という立場でいろいろお話ができればと思います。 まずはCode Republicについて。YJキャピタルはグロービスさんを追いかけて頑張っているVCですが、もともとはシリーズA・シリーズB・シリーズCといったステージのベンチャーに出資をしていて、いわゆるシードステージへの投資はやってこない会社でした。でも、グーグルだってアクセラレータープログラムをやっていますし、ヤフーとしてはグーグルに追いつかなくちゃいけない。なので「当然、アクセラレーターもやるべきだ」と。オールステージで投資をしようということでシード投資を行うことになったんですが、シードがまったく分からない。「どうしよう。じゃあ、シードに詳しいVCと一緒にアクセラレータープログラムをはじめよう」ということで立ち上げたのがCode Republicです。 それで現在は、メルカリやグノシーに出資をしてきたイーストベンチャーズという、国内で最もブランド力のあるシードのVCと一緒にプログラムを運営しています。こちらは90日間のプログラムで、採択された瞬間にポストバリュエーション1億円で700万円、7%の株式を出資するプログラムです。そうしてYJキャピタルとイーストベンチャーズのキャピタリストが毎週メンタリングを行って、3ヶ月後にDemo Dayを行います。 すごく一般的なアクセラレータープログラムですが、特徴として打ち出しているのはYJキャピタルとイーストベンチャーズで国内に300~400のポートフォリオがあること。その先輩起業家のネットワーク、YJキャピタルとイーストベンチャーズが出資している会社のCEO・CTO・COOといったネットワークを、採択した若い起業家の方々に提供していきます。そのうえで、シリーズA・シリーズBへ進むときに資金提供をしていきます。あと、ヤフーはRODGEというコワーキングスペースを運営していますが、そちらを3ヶ月間無料で、365日朝9時から夜9時まで使えるというプログラムでもあります。 今野:ありがとうございます。では、続いて杉原さん。

地域コミュニティの維持・活性化に資するスタートアップを応援

杉原美智子氏(以下、敬称略):先ほど中村さんが提示していらした百数十件のアクセラレータープログラムのうち、おそらく5~6件に関わらせていただいています。我々三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、三菱UFJフィナンシャル・グループのシンクタンクであり、コンサルティングファーム。シンクタンク部門では官公庁さんや自治体さん、コンサルティング部門では民間企業さんがクライアントになります。それで、オープンイノベーションの文脈で自治体さんに関わらせていただいて、オープンイノベーションやアクセラレーションの文脈で大企業さんのお手伝いもさせていただいています。 公的機関で私が一番長く関わらせていただいているのは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)さんの「起業家甲子園」「起業家万博」という、全国規模のアクセラレータープログラムですね。こちらの目的は各地域のスタートアップを発掘して、個々に育成すること。で、もう1つが「MUFGデジタルアクセラレータ」です。こちらはFinTech領域におけるMUFGとのオープンイノベーションを目的としたアクセラレータープログラムです。 これに加えて、私自身がやりたいこととしてやらせていただいているのがLEAP OVERです。3年前に社内ベンチャーで立ち上げました。私がやりたいのは、持続可能な地域や社会をビジネスの力で実現すること。そこで、社会構造の変革に資するスタートアップの皆さまを応援させていただいています。 それで今フォーカスしている領域は、農業や漁業といった一次産業、製造業、それから労働力の減少が著しい建設業。また、医療・介護・福祉・子育てといった地域コミュニティの維持・活性化に資するスタートアップの皆さまも応援させていただいています。特徴は企業とパートナー自治体が複数入っていて、パートナー自治体さんに地方のニーズや実証フィールドをご提供いただける点ですね。私はこの3つぐらいに関わらせていただいています。 今野:ということで、4名様であらゆる領域をほぼカバーできていると思うんですが、今回のメインテーマとなるアクセラの役割って、なんなんでしょう。そもそもどういった役割や課題認識、または目的があってアクセラをやっていらっしゃるのかも伺いたいと思います。

自分が起業家だった時にこんなプログラムが欲しかった

加藤:私自身はかつて社内で新規事業の立ち上げを経験していたのですが、それが安定したタイミングで次はMBAを学んでいて、そのなかで起業についても学ばせていただいていたんですね。そのうえで、今は一言で表現すると、「自分が起業家だったときにこんなプログラムが欲しかったな」というものをひたすらつくり続けているだけなんです。 当時はシードのアクセラレーターというとKDDIさんやデジタルガレージさんがローンチしていてデジタル系は充実していたんですが、リアルなアセットを開放するプログラムはまだありませんでした。それに、先ほど言った通り東急はメンタリングの部分がすごく弱いので、それなら実装の部分、つまり顧客とのリアルで直接的な接点を活かそうと考えました。 で、そうした考え方はコングロマリットである東急とすごく相性が良かったんですね。そこをプラットフォーム化して、いろいろなサービスに応募してもらって、検証して、さらに大きくしていこう、と。ですからアクセラレーターというより次のステージ。スケーラレーターみたいなポジションでやれば社会的な貢献も大きくなるのではないかなというのが出発点でした。

これから起業する人たちを応援するエコシステムをつくる

堀:私たちは米Y Combinatorをすごく意識していました。彼らを見ていて「羨ましいな」と思うところがいくつかあります。G-STARTUPのようにメンターの顔ぶれがすごく豪華なんですよね。FacebookやGoogleやUberといった錚々たるネット企業の、社長クラスではなくプロダクトマネージャーや人事部長といった人たちがメンターで参加している。それで、シリコンバレーのコミュニティにいる人たちが、これから起業する人たちを応援するエコシステムみたいなものができているんです。そういうところに憧れていました。 「日本ってその辺がちょっと分断されてしまっているな」と。1回イグジットしてお金をゲットしたあとは、エンジェル投資をする人もいれば西麻布でお金を使う人もいます。でも、そこで自分たちが成功した体験を、もっとうまくエコシステムのなかで生かすことができないかと考えました。それでY Combinator的なことをやっていこう、と。YJキャピタルとイーストベンチャーズが持つ投資先ポートフォリオのネットワークを活用すれば、「そういうネットビジネスのノウハウをコミュニティ内で循環させることができるよね」というのが私たちの思想です。 今野:我々もG-STARTUPをやろうというとき、「これは必要だ」と考えていたことの1つが、まさにエコシステムをつくることでした。それと、ピアプレッシャーも。横の、いい意味での健全な緊張関係ですね。よくアクセラって「何期生」なんて言われますよね。そういう、いい意味で横の競争があったり、あるいは「1期生より2期生のほうがいいよね」みたいな縦の競争や連帯があったり。そういうピアプレッシャーもすごく大事になると思っていました。 それともう1つ。今はPoC(Proof of Concept)をする場もあまりないんだろうなと感じていました。だから、シードのお金を引いちゃうと、もうそれが引き金になって戻れない、みたいなところがある。でも、そこでもう少し“スイート”なお金、あるいはそれほどお金がかからない方法で、人を集めてPoCができる場を提供しなきゃいけないという風にも思っていたんです。それがアクセラの価値であり、役割・使命でもあるのかなと考えていました。 杉原:私はもともとNICTさんとともに「地域発のスタートアップを生む」ということをやってきたんですよね。 今野:そこに課題認識というか、問題認識があったんですか? 杉原:あります。地域発という意味では、大学も含めて、いわゆる研究開発型の時間がかかるスタートアップが多いと思っているんですね。で、そこを短期間のアクセラレーターみたいなプログラムで支援するのは難しいと思っていました。では、そこで私たちはシンクタンクまたはコンサルティングファームとして何をするべきか。後工程およびPoCの相手先となる大企業さんや自治体さんを掴まえて、PoCを回して、そこで伴走するコンサルティング力を活かすべきなのかな、と。そう考えてLEAP OVERをはじめたという経緯があります。ですから、対象になるのはどちらかというと重たそうな領域ですね。農業ですとか。重たい、テック系のスタートアップ支援をしていきたいと考えています。 今野:起業家だけだと開拓できないような、ローカルであったり、ヘビーだったりする領域をつないであげることが、日本の未来にとって大事だろう、と。 杉原:そう。シードの立ち上げのところは、まさにVCさんがやるべきだと思います。ただ、私たちはVCではないので。 今野:中村さんは、いいアクセラというのはどんな役割を果たしているとお考えですか?

きちんと目的を見極めてアクセラを使うことが大事

中村:「アクセラ」って今は割と乱暴に使われているというか、言葉がすごく横行してしまっているように感じます。壇上の5社だけでもそれぞれ違いますし、フェーズもいろいろあるんですが、そこを分からないまま使ってしまうスタートアップさんもいらっしゃるという。ですから、きちんと目的を見極めてやっていくことがまずは大事になると思います。 アクセラレーターというのは2005年にY Combinatorさんがやったプログラムが最初と言われていて、日本には2010年ぐらいに入ってきました。で、そのあと2011年に事業会社さんではKDDIさんが最初にはじめたという流れになりますが、主催者によって形もだいぶ違うんですよね。ただ、すべてに共通しているのはプログラムの時間が定まっていること、ある程度はリソースや環境が整えられていること、そして必ずプロモーション効果があること。そこをうまく活用しているアクセラレーションプログラムという意味で、東急さんやKDDIさんやMUFJさんはすごくうまいなと思っています。 今野:実際のところ、今はうまくいっている状態ですか?皆さん、プログラムを自己採点すると今は何点で、どんなところに課題があるとお考えですか?

参加するスタートアップの7〜8割がビジネスモデルを変える

堀:私たちは2016年8月にスタートしましたが、もう失敗の連続です。ただ、今は20社採択して、うち卒業した10社が次のラウンドの資金調達に成功しています。調達額は1年前の時点で3億ぐらいでしたから、今は5億ぐらいにまで達していると思うんですが、いずれにしても、順調に半数ぐらいが調達できています。 一方、これは課題にもつながる話ですが、私たちがやっているのはシード期の支援。でも、シード期の生存確率って極めて低いんですね。私たちがその支援に慣れていなかったこともあるんですが、そもそもシード期の生存確率は低い。で、たとえばY Combinatorでは1回3ヶ月のプログラムで150~200社ほど卒業していますが、その卒業生に「卒業するまでのあいだにビジネスモデルはピボットしたりしないの?ビジネルモデルは変えていないの?」と聞くと、半分近くが「変えている」と言います。私たちが採択している企業もそう。20社中半分以上、おそらく7割か8割は3ヶ月の期間中にビジネスモデルを変えています。 最初に考えたビジネスのアイディアって、だいたいうまくいかないんです。妄想になっちゃっているから。それで仮説検証したら「あれ?違った」みたいな。もう悲劇です。500万とか700万とか出資しているわけで、「どうするの?やめるの?でも、お金もらっているよね?」って。それで「もう1回、別のビジネルモデルを考えます」と言って再びチャレンジするわけですね。とにかく3ヶ月後にDemo Dayがあって、投資家の方々の前でプレゼンをしなくちゃいけない。そこで「すみません、3ヶ月頑張ったんですが何もできませんでした」って、発表できないですよね(笑)。だから死ぬ気で考えてくる。 まあ、そういうことを2年半ほど続けながら、たくさん失敗もしてきました。特に私が失敗していたのはメンタリングです。当初はすごく張り切って、シリーズAやシリーズBのスタートアップと同じぐらいのレベルでメンタリングをしていたんですが、大失敗でした。なぜか。初めてプロダクトをつくる人たちって、まだプロダクトができていない状況からいろいろ言われると混乱して何もできなくなっちゃうんです。 そこでハッと気付いて自分のメンタリングスタイルを変えました。私や今野さんは結構怖いベンチャーキャピタリストなんです。ご一緒にYappli(ヤプリ)という会社にも出資していますが、たとえば経営会議でも「これ、なんで出来ていないの?」「この数字おかしくない?ちゃんと説明して?」なんて感じで起業家を詰めてしまう。Code Republicでもそれを最初にやっていました。大失敗でした。それやると、皆、翌週から来なくなっちゃう。「堀さん、怖い」って。 で、何をしなくちゃいけないか気がつきました。コーチングですね。「今週は何をしたか」「その結果、何がうまくいって、何がうまくいかなかったのか」と、自問自答させるようなクエスチョンをこちらから投げかける。それによって、できる限り自分の力で考えさせ、解決させ、自分で前へ進めるようにする。そういうことを細かくていねいにやってあげることが、一番強く求められていることなんです。農業でも出会い系のアプリでもECでもいいんですが、それがうまくいくか否かといったコメントを我々がフィードバックしても意味はないんですね。会議室でそんなメンタリングをしても仕方がない。 今野:シリーズA等をやっている僕らはデューデリをしちゃうんですよね。「これ、市場性あるの?ないの?」みたいな。 堀:そうなんです。それで「こんなのうまくいくわけないじゃん」なんて言っちゃうんですが、シードではそれを絶対言っちゃいけない(笑)、と気づくのに2年半かかりました。 今野:逆に言うと、シードってそもそも成功確率が高くないし、採択してからビジネスモデルを変えることも半分ぐらいあるけれど、「そういう場でいいんだ」という。

アクセラは「失敗すること自体がいいことだ」

堀:そう。だから僕らは今「とにかく失敗してくれ」と言っています。失敗というか、僕らに「ここまでやってきました」という報告はしなくていいんです。「それより100人のユーザーにヒアリング、もしくは触ってもらってきて欲しい」と。1日でも1秒でも早く、自分たちのプロダクトのプロトタイプをつくってユーザーに触ってもらって、そのフィードバックを持って帰って来て欲しいと伝えています。 フィードバックを持って帰ってこないことに対しては激怒します。「何やってたの!?今君がやらなくちゃいけないことはプロトタイプをつくることだ」って。ただ、決してビジネスをけなしちゃいけない。そういうことを2年半で学びました。だから第1期生や2期生には本当に申し訳ないことをしたな、と(笑)。とにかく、回を重ねるたびに我々も学ばせていただきつつ、アクセラレーターとして切磋琢磨してレベルを高めている感じです。 今野:G-STARTUPも堀さんのそうした学びを活かして頑張りたいと思うんですが、本当に、アクセラは「失敗すること自体がいいことだ」という場にするべきだし、おそらくそれが本質的な役割なのかなと感じます。ですから応募を考えている方もまず飛び込んでみて欲しい。資金調達という点でエンジェルとアクセラはよく比較されますよね。ただ、両者で決定的に違うのは、後者は「集団で成長する」「苦楽を共にする」といったところが自分を律するようになる点だと思っています。エンジェルがダメとはまったく思いませんが、アクセラで輪になって皆で切磋琢磨するというのはすごく大事なことだと思いますので。 中村:どちらかというと、G-STARTUPやCode Republicはシードのアクセラレーションで、杉原さんと加藤さんのほうはシリーズA・シリーズB以降という感じですよね。 加藤:そうですね。シリーズA以降という。 今野:加藤さんの自己評価はいかがですか? 加藤:同じく失敗だらけで(笑)、もう、まともな成功と言える成功なんて1件もないんじゃないかな、と。ただ、定義にもよると思います。それこそ「会社清算することになりました」とか、業務提携をしていたところで「すみません、やっぱり進められません」みたいな感じになってしまったケースもあります。ただ、1件だけ「お、これは行ったなあ」と思ったのが(AIプラットフォームを展開する)ABEJAさんでした。出資も業務提携もしていないんですが。 彼らが2015年時点でつくっていたプロダクトって、今すごく良いものになっているからこそ言えるんですが、当時は本当にひどかったんです。(現在のプロダクトである)「ABEJA Dashboard」の画面すらないような状態で。それで東急ストアさんのPOSデータ全部持ってきて、彼らのAIのアルゴリズムにかけて分析するといったお付き合いをしていました。 で、結果的にその段階では業務提携もしなかったんですが、彼らはその後、「もっとこうしないと現場では使えないよ」といった東急からのフィードバックをどんどん入れて、それで一気に伸びていきました。そういう意味では良い結果を出せたのかな、と。ただ、アクセラレータープログラムとしては結果に入らなかったので、なんとも言えないという(笑)。 今野:AI系はアクセラに向いていますよね。 加藤:そうですね。データをあげるという点では相当強いインセンティブになります。 今野:杉原さんはいかがですか?ここまでの自己評価ですとか。 杉原:いろいろありますけれども、オープンイノベーション型のコーポレートアクセラレーターであれば、我々は最初にゴール設定シートみたいなものを一緒につくります。それで「今回のゴールをどこに据えるか」という話し合いをするんですね。そこで納得感が得られず、互いに「今回はプログラムで採択されてもあまりメリットがないね」と判断されたものは、そこで終わります。でも、そこで「やっていきましょう」となったものは、そのゴールに向けて互いに何ができるかということで伴走しますから、基本的にはゴールまでうまくいっているかなと思っています。最終的にマッチングして、たとえば何かしら「業務提携をしました」といったプレスリリースを出すような、そういう具体的な成果につなげることを私たちは目指します。ですから、そうした成果を取りに行くことを強く意識してプログラムをつくっているという意味で、シードとはすこし違いますね。 G-STARTUPの詳細・お申し込みはこちらから

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