堀義人のダボス会議2019速報(1)世界は不透明感を増している 

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ダボス会議(正式名称はWorld Economic Forum Annual Meeting)が始まった。今年で12回目の参加だ。先行き不透明な世界情勢に対する不安な空気が蔓延するなか、日本人として、リーダーとして何をすべきか――僕なりの見解を速報として毎日発信していきたい。

本日夕方からダボス会議がスタートする。昨年はダボスに入る道中がとても混雑していたので、今年は早めにダボス入りした。幸い、レジストレーション、シャトルバス、セキュリティ全てがスムーズだった。ホテルの前にはのどかな景色が広がっているが、屋根の上に警備の人が配置されているのがわかる。

ダボスのコングレスセンターに到着。ちょうど夕方18時前。まだ完全には暗くなっていない。今年は以前にも増して、数多くの仮設の施設ができている。これらはほとんどがプレスセンターやスタッフオフィスとして活用されている。毎年どんどん拡張し、アップグレードされている。これからコングレスセンターに入り、オープニングイベントに参加する予定だ。

ダボス会議2019がスタート。壇上には、ヒルデ・シュワブ氏。最初のイベントは、クリスタル・アワードの授賞式だ。WEFは、文化界のリーダーの貢献にアワードを授与している。今回の受賞者は3名。Marin Alsop氏(米国の女性指揮者)、 Haifaa Al Mansour氏(サウジアラビアの女性映画監督)、David Attenborough氏(英国の男性キャスター兼自然保護者)だ。

ダボス会議のオープニングコンサートが始まった。指揮者から演奏者まで全て女性、カラフルで華やかだ。Marin Alsop氏が指揮をして、Southbank Centre Orchestra、Royal Academy of Music, London、Taki Concordia Orchestra、そして若きバイオリニストClara Shen氏による演奏が繰り広げられた。

クリスタル・アワードの受賞者3人中2人が女性であり、その後のコンサートは全て女性のみだ。昨年は、共同議長は全員女性だった。ダボス会議は、女性の地位向上にとても熱心である。

コングレスセンターを出て、ダボスの街の西端に近いところへ10分ほど雪道を歩いて向かう。ダボス会議初日のメインイベントであるAsian Friends Dinnerを、リッポーグループ総帥のジェームズ・リアディ氏と共催するためだ。

英国Apax、カナダの大手小売のオーナー、バーレーンの石油王、韓国の大手メディアのオーナー、インドネシアのバクリー・グループのトップ、バンヤンツリーリゾートのファミリーなどが参加。日本からはSMBC高島頭取、本田桂子MIGA長官CEO、アドバンテージパートナーズのリチャード・フォルソム氏らが参加してくれた。

Asian Friends Dinnerをダボス会議で共催するのは今年で3回目となる。参加者は、どんどん親しくなっていく。このディナーでは、世界情勢を民間人の立場から各自が分析し、今年のダボス会議への期待感を共有する。BREXIT、トランプ現象、中国経済、ASEANの未来、朝鮮半島情勢、中東等が話題になった。

ここ3年は、初日のディナーで世界の大枠を理解してから、ダボス会議での焦点を絞ることができる。今年で12回目の参加となるダボス会議は、とても不透明感が漂っている。昨年は、G7の首脳陣が勢ぞろいだった。来られなかったのは、安倍総理だけだった。

一方、今年はG7の首脳で来るのが日本のみだ。他の国は全て国内事情で来られないのだ。トランプ氏は政府機関閉鎖、英国のメイ首相はBREXIT、フランスのマクロン大統領は黄色いベスト運動でキャンセルとなった。ドイツとカナダは政権の弱体化により、国内事情を優先せざるを得ない状況だ。つまり、G7首脳は、安倍総理を除きみな内向きになっている。

ディナーで主に話題として上がったのが、貧富の格差から生じる社会の断絶だ。そして、ポピュリズムの台頭による政治的不安定さだ。しかも、BREXITで象徴されるように、それぞれの国で良い解決策が見つかっていないのが実情だ。米国も欧州も社会の不安定化が増しているにも関わらず、処方箋が見つかっていないのだ。

それぞれの国の中での問題でもそのような不安定さが増す中、気候変動問題、保護主義の台頭、ナショナリズムの高揚による地域問題、テクノロジーの進化にともなうデータの寡占化など、解決策が見つからない多くの世界的問題が増長している。

今までは経済が良かったが、これから下降に向かうと世界がさらに厳しい局面に突入するであろう。世界経済は、米国のみで現状支えられている感じだ。中国は成長が急激に減速し、欧州は横ばいから停滞へ。頼みの米国経済も政府機関閉鎖と米中貿易戦争で万全ではない。

テクノロジーの影響も無視できない。以前は良い処方箋と考えられていたが、最近では悪の原因として捉えられている。

世界は不安定かつ不透明感を増している。明日から始まるダボス会議のセッションでは、世界経済の行方、テクノロジーの方向性、社会の断絶、地球環境問題、地政学リスクを中心に参加したい。

積極的にさまざまなセッションに参加し、多くの人の意見を聞き、自分なりに世界の現状を認識し解決策を考えていきたい。なるべくポジティブな視点からコラムを書き続けていくこととしよう。2019年ダボス会議の初日を終えた。明日に備えて早めに寝ることにする。

2019年1月21日
ダボスにて
堀義人

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京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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