堀義人のダボス会議2018速報(5)女性リーダーの時代へ 

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ダボス会議4日目。朝7時半から僕が共同議長を務めるフォーラムメンバーアドバイザー会議があった。国際会議で議長を務めるのは簡単ではないので、奮闘している。

フォーラムメンバーアドバイザー会議での集合写真。いつものポーズで写真を撮った。参加者は、アメリカ、南アフリカ、欧州、インド、マレーシア、中国など国際色豊かだった。(^^)

朝食会場からコングレスセンターに向かう途中、景色があまりにも美しかったので、写真を撮ってしまった。(^^)

コングレスセンターに入り、朝9時15分から「The Outlook for Japan」のセッションに参加。竹中平蔵さん、MUFJの平野さん、アジア開発銀行の中尾さん、ウィルソン・センターのジェーン・ハーマンさんと内閣総理大臣補佐官の薗浦さんがパネリストだ。

朝10時からWPL(Women Political Leaders)とEY(Ernst & Young)主催のプライベートセッションに登壇した。その前に、インタビューを受けた。テーマは、「Innovation for Inclusions」だ。今回のダボス会議で初めてスーツを着用した。(^^)今年は女性についてのテーマが多い。その点について後で考察してみたい。

ランチタイムは、中国テンセント社によるランチセッションに招待を受けた。ノーベル経済学賞受賞者のアンガス・ディートン氏や投資家のカイフー・リー氏などが参加していた。

ランチ終了後にコングレスセンターに戻り、英国のメイ首相のスピーチを拝聴している。Brexitを抱える英国は悩みが多いことが、メイ首相の言葉や姿勢の端々から伝わってくる。これからは、独仏の大陸ヨーロッパが元気になり、英国が迷走しそうな予感がする。ちょっと前にトランプ大統領がダボス会議に到着したとの報道があった。

午後から夕方にかけて、バイ会談を5つこなす。英国エコノミスト誌の主任ジャーナリスト、インドの大臣、欧州No.1ベンチャーキャピタルの創業者など、各分野のリーダーと関係性を深めていく。そして夜8時からは、ダボス会議恒例の秘密会議。参加者同士で情報交換をして、戦略を練った。

毎年恒例の秘密会議では、ダボス会議で各人が視てきた風景と感想を共有することにしている。これがダボス会議を理解する上でとても有効なのだ。各人が参加したセッション、会ってきた要人、認識したトレンドや変化がそれぞれ違うからだ。

僕が今回強く感じたことが、女性が前面に出て発言するようになってきたことだ。G7の中でのメルケル首相やメイ首相の存在やIMFのクリスチャン・ラガルド氏の活躍もある。全ての共同議長を女性にしたのも象徴的だし、#MeToo運動に呼応するかのように黒い服で登場された方々も印象的だった。

何よりも女性に関するテーマが多く、女性の登壇者も増え、そして会場からの発言者に女性が増えたのが、とても印象深かった。僕は途中で退席してしまったが、日本セッションでの会場からの発言者は、全て女性だったと言う。

僕が参加した、「性別、パワー、セクハラ」というセッションでは、感情的になって泣き出しそうになった女性登壇者がいた。20代の娘が、「ママ、もう(下ネタ的な)汚いジョークには笑わないことにした」と言ったことで、母親である登壇者が今まで笑っていたことにハッとさせられたと言うのだ。「娘である若い女性が明確な意思表示をしてきたからこそ、私も態度を変えることにした」と発言していた。

さらに会場の男性からは、「歴史上のリーダーを再評価する必要性があるのでは。ケネディ大統領は、明らかに『性的掠奪者』であったが、空港や大学や図書館などに名前が残っているヒーローだ。歴史上の偉人の評価を今度どう考えるべきかを議論する必要があるのではないか」との発言があった。

僕は、現代の価値観で過去の偉人や事象を判断することには常に反対してきたので、行き過ぎではないかと思うこともある。だが、ケネディ大統領というヒーローの名前が挙がり、大統領としての業績とは違う点で再評価されるべきだと指摘されているのは、衝撃的であった。社会全体の意識や許容範囲が変わりつつあることを強く認識することになった。

僕自身も相手を傷つけていないか、今まで以上に意識して行動する必要性を認識した。

いよいよ明日はダボス会議の最終日だ。トランプ大統領のスピーチもあるし、僕がモデレーターとなる日本戦略グループ朝食会もある。最後までエネルギッシュに行動していきたい。

2018年1月26日
ダボスにて
堀義人
 

【ダボス会議2018速報】
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京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

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