夏の間を軽装で過ごす「クールビズ」はすっかり定着しましたが、大企業では職場の服装規定を通年でカジュアルな方向に見直す動きが相次いでいるそうです。総合商社の丸紅では、4月から各自の判断で仕事に適した服装にする「セルフビズ」を開始。これは、軽装の推進というより、働き方改革の一環(すなわち多様な個人のあり方を認める)であり、硬直的な考え方を改め仕事を効率化するという組織文化の変革が目的です。同社の鹿島浩二人事部長は、「服装を自ら判断することで、自分で考えて行動する文化を醸成する狙い」と語っています(日経新聞、2018年4月17日)。
ところで、対面コミュニケーションにおいて服装を含む見た目というものは、相手の心理に影響を及ぼします。それを「メラビアンの法則」と言います。
メラビアンの法則とは
「メラビアンの法則」とは、印象を形づくる時に何がどの程度影響しているかを表した法則です。メラビアンという心理学者の実験によって明らかになりました。その実験によれば、感情や態度とは矛盾したメッセージが発せられたとき、他人に影響を及ぼす要素は、視覚が55%、次に聴覚が38%を占めるとされ、話の内容など言葉そのものの意味は7%でした。
つまり、対面コミュニケーションの場合、聞き手は、話の内容や言葉以上に話し手の声の調子や見た目に影響されるのです。皆さんも、経験上、思い当たることがあるのではないでしょうか?
メラビアンの法則から学べること
「セルフビズ」によって装った服装を見た同僚は、その服装があなた自身を表現していると受け止めるかもしれません。逆に言えば、自分がどう見られたいのかをしっかり意識した装いをしないと、違うイメージで見られてしまうこともあるでしょう。
もちろん、見た目(視覚)要素には、服装のみならず表情やジェスチャーなども入ります。ポイントは、自分が相手にどう見えているのかを意識し、相手により良く伝わるコミュニケーションを心がけるということです。
ファッションの秋が近づいてきています。今年の秋のお買い物は、自分はどんな自己を持っているのか、相手にどんな自分を表現したいのかを再認識するところから準備を始めてみてはいかがでしょうか?