社内人脈を本気で作っていますか? 

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『社内を動かす力』から「人脈作り 社内編」を紹介します。

人脈作り、ネットワーキングという言葉を聞くと、社外でのそれを想起される方が多いでしょう。しかし、ビジネスパーソンにとってまず結果を出す場は社内です。オープン化が進み社外人脈の重要性が増しつつあるとは言え、まずは社内に自分の味方になってくれる人をたくさん作っておかないとなかなか仕事の成果は出ません。人脈のレベル感にはさまざまなものがありますが、極力自分を助けてくれる人が要所要所にいることが望ましいのは言うまでもありません。そうした人脈は一朝一夕にできるものではありません。前回紹介した信用の残高も意識しながら、自ら積極的に「人脈を作るべき場所」に出向き、地道に関係性を作っていくことが必要です。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

人脈作り 社内編

一般的に仕事を進める場合には、何といっても社内のメンバーと協力することが多いはずです。それにもかかわらず、経営大学院や企業研修で講師をしていると、こんな声をよく聞きます。

「昔は社内で円滑に仕事を進めるために、いろいろな人に話を聞きに行ったり、飲みに行ったりしたものだけど、最近は……」
「若い人は、社内より社外のネットワーク作りに熱心なんだよね」

社内に閉じこもっていてはダメ、社外の人とのネットワーク作りや異業種交流会を積極的に、といった話は、若手向けのビジネス雑誌などでも盛んに言われており、実際に大切なことだと思います。しかし、冷静に考えてください。社内人脈と社外人脈、どちらを優先して構築すべきでしょうか。

もちろん、二者択一ではありませんが、今一度、社内人脈をどの程度真剣に作ってきているかを振り返ってみてください。いくら社外に出て人脈作りにいそしんでいても、社内にネットワークを作れない人とつながりたいと思う人は少ないはずです。

そもそも社内の人々は、同じミッションやビジョン、事業内容に憧れて入社してきた仲間であり、どこかしら共感するところがあるはずです。味方につければ、きっと頼りになるでしょう。社内に意味あるネットワークを作ることは非常に有用であり、時間の無駄ではないのです。

では、意味ある社内人脈とは何でしようか? それは、「自らのパワーを大きくしてくれる=成長させてくれる人脈」だということです。具体的には、図に示したような要素を満たしていることが重要です。

図
特に「昇進させてくれる、自分を引き上げてくれる」というポイントは大切です。付き合いやすい人、話しかけやすい人とはネットワークを作りやすいですが、それだけでは不十分です。近づきがたい、厳しい人であっても、自らを高めてくれる人を避けて通っては、意味ある人脈とは言えません。

私が新入社員の頃、先輩からこう言われました。

「同期とは夜の飲みに行けばいい。ただ、昼ごはんは、できるだけ自分の席から遠い年上の社員と一緒に食べに行って、いろいろ話をするように」

このアドバイスは、今でもよく覚えています。

ケースの主人公・吉田さんは、身近なチームの人間や、リサーチ代わりに意見を集めた以外に、誰かときちんと話し合った形跡が見られません。通常、企業内には意思決定に影響を及ぼす人々が何人もいるはずなのに、組織図上の上司である部長以外にルートを持っていなかったように見受けられます。これでは、物事を動かすことは難しいはずです。とりわけ異動や転職の直後は、チームや部署のインサイダーとなる(つまり仲間として認めてもらう)べく、人脈を構築しなければなりません。

ちなみに、グロ-ビス経営大学院には、私のいる東京校の他に、大阪校、名古屋校の計3拠点があります(注:2011年時点。2018年現在は、さらに仙台校、福岡校、オンラインプログラムがある)。私は月に2回ぐらい、大阪と名古屋の拠点に顔を出すことを5年以上続けています。同じ部屋の空気を吸う、同じ地下鉄に乗るといったことをしばらく続けて同じことを感じない限り、現場のメンバーは心の底から、リーダーをリーダーとしては認めてくれないからです。

大阪校に通い始めて1年ぐらい経ったある日、外出先や帰社時間を書き込むホワイトボードに私の名前の欄が追加されました。それを見て、ああ、受け入れてもらった、という実感を持てたことを覚えています。

また、人脈は1つでは危険です。複数の「脈」を持つことを忘れないでください。誰か一人に頼ってしまうと情報やものの見方が偏るかもしれませんし、万一、その人と疎遠になったら身動きが取れなくなってしまいます。

特に、転職した直後は、社内の複数のキーパーソンとのネットワークを作るべく努力してください。古くからその会社にいる人であれば、企業文化を熟知していますし、その人が持つ人脈も豊富でしょうから、是非とも信頼関係を構築しておきたいものです。

(本項担当執筆者:田久保善彦 グロービス経営大学院研究科長)

『社内を動かす力』
田久保善彦(著)、ダイヤモンド社
1620円

東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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