【インタビュー事例紹介】コミュニティの何が“幸せ”に作用するのか?コミュニティの力とは Vol.4

Vol.3では、幸せを得られるコミュニティの分類、および各分類のコミュニティ参加により得られる幸せの因子を見てきました。
最終回の今回は、Vol.3で紹介したコミュニティ分類に参加した4名へのインタビューを通して、コミュニティのどのような要素が幸せに作用するのかについて紹介します。
事例①周囲に感謝するようになったー競合調査目的でコミュニティに参加して
分類A(交流親睦・役割明確型)コミュニティ事例:山口正徳さん 40代 通信会社勤務

2列目、右から3人目が山口さん
山口さんは、元々AWSの対抗製品エンジニアでしたが、ライバル製品を調査する目的でJAWS―UGのコミュニティに参加。それが、自身にとってとてもよい機会になったといいます。
●コミュニティの特徴
コミュニティメンバーがビジネスライクではなく、みなが楽しそうで生き生きしていて、熱気を感じました。技術的にも新しいものが多く、みんなが真剣に学んでいる姿が刺激的でした。
最初はAWSのことを知らないという引け目や負い目のようなものを感じていましたが、仕事でもAWSに触れるようになり、知識が付いてきました。知り合いや繋がりも増えてきたことで、参加することに自信が持てるようになりました。ただの参加者のままでは終わりたくなくて、「山口正徳」という自分を認知してもらいたいと考えるようになりました。
●コミュニティに参加して得られたこと
①自分から情報発信・アウトプットすることを意識するようになった
もともとイベントなどで登壇者になることに憧れをもっていましたが、自信がありませんでした。仕事を通じAWSの知識を積み重ね、コミュニティのイベントに参加する中で思い切って、2017 JAWG-UG 東京のイベントで登壇者に応募しました。これが大きな一歩を踏み出した成功体験のようなものになりました。
自分が話した内容に対して感想をもらえることが次へのモチベーションとなり、次にまたどこかで話をしたいな、誰かの役に立てたらいいなと思えるようになりました。
②自分の強みが明確になり、目標に対しても自分の想いが強ければ実現の可能性が高まるという確信を得た
もともとリードすることに自分の強みがあるとは感じていましたが、実際にコミュニティでイベントの実行委員長などを担う中で、成功体験を経て自分の強みに確信を持てました。
また、コミュニティ活動をする上で最初はぼんやりとだが、AWS Samurai(AWSコミュニティで活躍した人に与えられる称号)にいつか自分もなりたいという想いは持っていました。
③周囲に感謝を感じる頻度が増えてきた
コミュニティを通じて関わる人が増えたことや、大きいイベントに向けて、みんなボランティアでいろいろと動いていたため、実行委員長という立場も重なり、協力してくれる人にはすごく感謝するようになりました。
ですが、コミュニティ参加にプライベートの時間を割くことで、家族にも負担がかかってしまうこともありました。自分にとって一番大切なのは、家族という想いもあり、家族の支えがあってこそこういう活動ができるということで、家族にも常に感謝するようになりました。
事例②いろんな価値観に触れ楽観的にー初めて知った走る楽しさ
分類B(交流親睦・役割自由型)コミュニティ参加事例:則長美穂さん 40代 メーカー勤務

前列、一番右が則長さん
2016年の上京を機に誘われて参加したランニングクラブで初めて走る面白さに目覚めた則長さんは、以来ずっと参加しているといいます。
●コミュニティの特徴
200人程が所属しているコミュニティですが、とても緩やかなネットワークでつながっていて、参加の義務や何かをしなくてはいけない役割のようなものはありません。また、走りたい人や懇親会などのイベントを開催したい人が、この指とまれと参加者を募ると一定以上の参加者が集まります。そういった緩さや気楽さが長く所属している理由の一つでもあります。
●コミュニティに参加して得られたこと
①自分や相手のありのままを受け入れ、頼りたいという思いになった
ランニングクラブ参加前までは、同質的な集まりの中で、自分と他者を比較することもありました。また、仲間との関係性としてベタベタするのはあまり好きではありませんでした。
コミュニティ参加後、大会前日に同じ旅館に泊まった際に、一見キラキラしているように見える人であっても実際には悩んでいるところもあるという別の側面を知ることができました。様々な価値観を持つ人に触れることで、自分以外の価値観を受容できるようになりました。また、元々は距離感が近すぎる人間関係は苦手でしたが、ランニングという共通点がある繋がりだけでもありがとうと思えるようになり、頼りたいとも思えるようにもなりました。
②楽観的な思考になった
コミュニティ参加前は、将来自分はどうなるのだろうか?という漠然とした想いがありました。 ランニングクラブ参加後、大ケガをして約1ヶ月入院生活をしたのですが、その際に必ず誰かがお見舞いに来てくれていました。この経験から、たとえケガをしたとしても何とかなるのだな、という楽観的な思考になることができました。