知識ゼロで飛び込んだAI業界での起業ーバオバブ社 相良美織氏インタビュー<後編>

「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2022」企業総合部門で1位に輝くバオバブ。高品質なAI学習データで世界中の大学や研究機関、企業から高い評価を受けている。創業者の相良美織氏はなんと商社の事務職出身とAI業界では異色の経歴を持つ。知識ゼロでAI業界に飛び込み、女性起業家として逆風の中を歩んできた彼女の軌跡を追った。(聞き手=田村菜津記 グロービス KIBOW社会投資、文=西川敦子)【KIBOW社会投資投資先企業インタビューシリーズ】(全2回後編、前編はこちら

知識ゼロで飛び込んだAI業界での起業―「失敗してもいいから挑戦する」

田村:今回、バオバブは「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2022」企業総合部門従業員規模100名以下の部で1位を受賞されました。創業者である相良さんに、これまでのご自身の歩みについてお教えいただきたいのですが。

相良: よく「リケジョなんですか」とか「コンピュータサイエンスを専攻していたんですか」と聞かれたりするんですけれども、そういったバックグラウンドは一切ありません。大学を卒業して、最初に入社したのは住友商事でした。それから外資系金融企業、みずほ証券などを経て資産運用会社の創業にかかわりました。

経済産業省からお声がけいただいたのは、会社の出資先のベンチャー企業で取締役を務めていたとき。「eコマースを海外展開するため、国産で自動翻訳エンジンをつくりたい。プロジェクトを立ち上げるので事務局をやってほしい」ということでした。

残念ながらその案件は立ち消えになってしまったのですが、かかわっていた大学や研究所、企業のみなさんから「プロジェクトを継続してほしい」と背中を押されまして。それでスピンアウトして、自分でバオバブを創業することにしたのです。もちろん、「面白そう!やりたい」という気持ちがあったのは事実ですが、起業したいとか、自動翻訳をやりたい、といった動機はもともとなかったんですよ。ところてんのように押し出されただけで(笑)。

田村:でも、創業にジョインしたり、そこからスピンアウトしたりという機会は、普通そうそうないですよね。チャンスがめぐってきたのはなぜだと思いますか。

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