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シリアルアントレプレナーだからこそたどり着いた、組織と事業の強さ――スマートバンク堀井氏インタビュー(後編)

投稿日:2022/11/02

目次

「家計簿プリカ」B/43(ビーヨンサン)を提供する、スマートバンクCEO:堀井翔太氏へのインタビュー。後編ではプロダクト開発や事業経営、組織構築において意識することを伺うと共に、GCP高宮・深川による投資サイドの目線からもスマートバンクという企業/堀井氏という経営者・シリアルアントレプレナーの魅力を堀り下げていく。そして堀井氏自身がこれからのスマートバンクに思うことや、いま必要とする組織・人材とは。(前後編、後編)(前編はこちら

使われる・欲しがられるサービスにこだわりながら、勝つ

――:過去のインタビューや、スマートバンクのバリューを拝見しますと、「N1インタビュー」へのこだわりが垣間見えます。なぜこれを重視されているのでしょうか。

堀井:特定の1人を深く分析し示唆を得るN1インタビューは、顧客視点重視の一環として取り入れています。
実は最初の創業前から、今まで続く共同創業者の3人でサービスをいくつかリリースしていたんです。ただ、多くは海外で流行っていたサービスを真似たもので、どれもほぼ使われませんでした。
半年以上をかけてつくってリリースしても誰にも使われないと、構想した自分も、デザイナーとエンジニアという作り手の他2人も落胆してしまって。だからこそ「目の前のユーザーの声を聞き、使われるものをつくろう」と思ったんです。この姿勢が1社目の成長に繋がったと思い、今に続いています。

深川:サービスは、取り組む課題が実際の市場やユーザーがどんな状況にあるとき生まれるのかを突き詰めてつくるべきです。それらを捉えて事業の構想を描いていくために、N1インタビューはとても有効な手段なのだなと堀井さんとご一緒していて感じています。

堀井:確かに課題の発生状況を具体的に突き詰めて伺う場面で、大きな成果を得られることが多いように思います。加えて言えば、そこで何をどう使って代替していたかが分かると、よりよい方法を発明すればいいだけになるので更にいい。現実ではみなさんペインをなんとかしようと、多少非効率な方法を取っているんですよね。 

――:そうしてサービスを磨いた上で、事業をどう大きくするか?のお考えも伺えればと思います。フリルもかなりの規模に成長しましたが、ご経験から今に活きる気づきはありますか。

堀井:事業のスケールには、テーマや市場余地の見極めが重要です。ただ、どれだけそれらに即しサービス・プロダクトをつくり込んだとしても、コンシューマー向けの製品は最終的にはコモディティ化すると最初の創業で学びました。フリルはフリマアプリとして最初にバーニングニーズを捉え、スケール余地もあったのに、最後はメルカリに勝てなかった。2つの使い勝手はそこまで差がありませんでしたが、認知や規模で差があったんです。

もちろんプロダクトにはこだわるべきですが、最後はプロダクトではない部分でも差がつく。これを念頭に置いて会社づくりができているのは、今回の創業で大きいですね。

――:プロダクトではない部分というと組織づくりや資金投入のタイミングなどありますが、中でも特に意識されていることがあれば教えてください。

堀井:権限移譲して自らは事業を俯瞰する側になる、ということを意識しています。フリルでは創業チームがEXIT直前まで手を動かしていたんです。その分、事業の全体と数字を見ながら「ここで踏み込む」という判断には力が割けていなかったんですよね。

なぜ権限移譲できなかったかというと、理由は2つあります。まず、任せられる人がいないと思い込んでいた。任せたらできる人もいたかもしれませんし、多少無理にでも渡してみるべきだった。今はそもそも、権限移譲できる組織構造に改善できていない創業チーム側に問題があると考えています。

もう1つは採用です。業務を渡せる人が周りにいなければ、外部からできる人を採用することに時間を割くべきだったなと。

――:特に初めての創業では、権限委譲に悩む経営者は多そうです。その点を踏まえ、今のスマートバンクはどんなフェーズですか。

堀井:権限移譲はもちろんタイミングも重要で、PMFが見えるまでは創業者が手を動かしたほうがいいと思います。この段階まではおそらく創業者が最もインサイトに詳しいからです。
スマートバンクは今、そこを少し超えたタイミングです。なのでPL、キャッシュフローなどの数字管理や、重要な機能実装におけるプロダクトオーナーをやったり、仕様に口を出したり……といった自分の役割は、専任担当を挟みながら動かしていく体制に移行しています。前回課題でもあった、権限移譲を進めるために、組織の階層化とマネジメントレイヤーの設置を早期に意識し、更に最近は採用にも力を入れており、組織も順調に拡大出来ていると感じています。

[caption id="attachment_77646" align="alignnone" width="1920"] スマートバンクメンバーのみなさん[/caption]

投資家サイドから見たスマートバンク/堀井氏の魅力とは

――:そんなスマートバンクを、投資担当として深川さんはどんな組織だと捉えていますか。

深川:それで言うと、私はB/43についてのSNS投稿やレビューを見まくってるんですが。

堀井:社内でも「深川さんまたアプリストアのコメント拾ってくれてる、なんてコミットだ」と話しています(笑)

深川:我ながら相当見てますね (笑)でも、必ず私より先に誰かがチェックしてるんですよね。みなさんユーザーを徹底的に観察し、気づきを組織内でフィードバックしあうことで、各自の健全なハングリーさに繋がっています。バリューの‘Think N1’を体現し、メンバー全員がB/43というサービスの作り手としてユーザーに対して責任を持って、かつそうあることを愛し、楽しんでいるようにお見受けしていますね。

――:そうしたいわゆるオーナーシップは各自の素質にもよりますが、環境にも左右されます。何か意識されている点やメンバーの気持ちをかき立てていそうな要素はありますか。

堀井:環境という点では入社時に創業メンバーがユーザーインタビューをした膨大なドキュメントを目にしたり、創業者が日々のコミュニケーションでインタビュー内容に対して深い問いかけをしたり、ソーシャルメディアでのユーザーの反応に素早く返したりしているんですよね。恐らくですが、「ユーザーに徹底して向き合う姿勢」を経営陣も体現する文化となっている。最近だと、UXリサーチャー以外にエンジニアなどの別職種がユーザーインタビューに同席したり、インタビューをリードしたりもしています。それを入社時点で魅力に思ってジョインしていたり、経営陣の行動を見て真似してくれていたりというメンバーが多いのではないかと思いますね。

――:組織に加え、堀井さんへの所感も聞いてみたいと思います。高宮さんはGCPから、当時フリルと切磋琢磨していたメルカリへの投資も担当されていました。多くの経営者/シリアルアントレプレナーを見てこられた中で、堀井さんをどう捉えていらっしゃいますか。

堀井:初めてお会いしたのは多分まだ2社目の起業前、フリル譲渡後すぐでしたね。

高宮:フリマ戦争の勃発当時はコンタクトを控えていて……お会いして感じたのは、自己の客観視や振り返りの力が非常に強い方だということ。フリルで何をやれて何がうまくいかなかったか、だから次には何を活かし、何をやってやろう、という意志がかなり明確で。
シリアルの場合、自分の成功パターンにとらわれてしまったり、逆に失敗パターンを認められなかったりという人もいます。しかし、堀井さんは心の持ちようがニュートラルなんです。自然体で淡々と事実を受け入れて、実利的に、感情論で何をすべきかをぶれさせずにSo Whatに取り組める

今回取り組まれているFintechの領域は、一定規模の資本が必要とされます。ユーザーに支持されるプロダクトの良さは当たり前な上に、パワープレーで勝ち切ることも必要な領域なんです。そこに堀井さんの、前回の反省を糧に大人の経営力で勝ち切るぞという非常に強い意志と実装力が合致するように感じますね。

――: B/43という事業については、投資サイドはどうとらえているのでしょうか。

深川:ユーザー調査の結果、「3カ月使ったユーザーはその後もほぼ全員使い続ける」「利用額が一気に大きく伸びている」という2点がわかりました。つまりB/43はtoCのサービスでも他に類を見ないほどの明確なPMFをしていて、足元はもう固いと言えます。
肝は「家計」という単位で利用して頂いていること。1人当たりでも「家計」に紐づく額は大きいですし、基本的に「家計」は家族単位なので、1人のファンを作ると家族の中で拡張性があり、家族という「面」で使ってもらうことが出来るんです。資産運用、貯蓄、あるいは保険などの金融資産形成は基本的に家族/家計単位のアジェンダだと思っています。だからこそ、家族の家計管理サービスとして利用して頂くことで、将来的にサービスを複層化しながら提供価値を拡張していける可能性が大きいと考えています。
更に言えば、この盤石な事業を、ここまでお話ししてきたような、期待値のかなり高い組織で進めている点も魅力ですね。フリル時代に年間数千億円のGMV(Gross Merchandise Value:流通取引総額)をつくったことがあるチームが、これだけ明確なPMFを既に達成した上で、複層化・規模化の挑戦をしているのは相当強いと思っています。

バリューにはこだわりながら、新しいフェーズへ

――今後さらに非連続なスケールを目指すうえで、これまでとは異なる組織のありかた、人材も必要になっているのではないでしょうか。

堀井:確かにこれまで以上にスケールやスピードの変化に対応できる組織にすることは、この先重要だと感じます。

深川:プロダクトづくりに関しては全員が本当にプロフェッショナリティ高く、いいものをつくるうえでの勝手をわかっている方々ばかりで、かなり効率がいい組織ですよね。初期のフルタイムメンバーの半数はフリル出身の優秀な方々だったと伺っています。

堀井:ブースト力もある優秀なメンバーで早々に固められているのは、シリアルの強みかもしれません。ただ、戦略を考えて手を打てるメンバーは正直まだまだ必要です。ベースとしてN1にはこだわりながら、同時に次の展開を狙える、CFO・COOのような経営幹部人材を求める時期に来たと考えています。

深川:よいサービスをスムーズにユーザーに届けるという理想に対して、想いや力はあってもこれぞという会社に出会えずはがゆい想いをしている方もいらっしゃると思います。市場創出力とプロダクト構築力についてはスマートバンクが日本でも指折りなのは間違いないですから、数千万人に届くサービスへのスケール化、そして「ペアる」「シェアる」文化の構築に挑戦したい方には素晴らしい環境だと思います。

凄腕の経営者がいるチームは、優秀な方ほど、自分の色は出しにくいのではと思われるものだと思います。しかしスマートバンクはいい意味で、皆さんしっかりと自分の色を出しているからこそ今の姿が実現されている組織だと感じますね。

取材時の一枚。B/43の「4」「3」のポーズで

――高宮さんのお話にもあった、堀井さんのある種自然体な姿勢が反映されているのかもしれませんね。

高宮:同時に堀井さんはユーザーの新しい習慣をつくる、あるいは新しいマーケットを切り拓くような大きなテーマにチャレンジされる方だと思っています。それはシリアルに与えられたある種特権かもしれなくて。ユーザーのペイン解消、もしくは生活の変化そのものを加速させるソリューションとして、B/43も大きくなっていけると思っています。

堀井:今はニッチからスタートしていますが、この先は「ふつうの人」にも使ってもらうことでスケールしていく重要なフェーズになってきます。だからこそ、それに耐えうる組織と認知度・ユーザー獲得の方法をどう発明していくかがテーマとしては大きいと考えています。

心がけているのは、スタートアップとして「大きなビジョンで新しい市場を切り拓いているNo.1の会社だ」という認知を日頃から作っていくことです。伸びる熱い市場の中で、明確なPMFを達成している。だからスマートバンクは、今このタイミングで大きくスケールしていこうとしているんです。

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