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財務諸表: ビジネスリーダーを目指すなら読めて当然

投稿日:2016/09/03更新日:2021/11/24

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書から成る財務諸表は、いまやビジネスパーソンとしては読めて当たり前の必須教養となっています。言い方を変えれば、財務諸表くらい読めなければ、ビジネスリーダーとして活躍することはできないということです。
財務諸表は企業の成績表や医療診断書に例えられることもあります。企業活動が好調なのかそうでないのか、企業の状況が健全なのかどうなのか、財務諸表を読むことで大よそ判断できるからです。実際には、財務諸表にはかなり専門的な項目などもあり、そのすべてを理解するのは容易ではありません。重要なのは、見るべきポイントや「勘所」を正しく理解しておくことです。それさえできれば、取引きすべき企業なのかそうでないのか、投資すべき企業なのかそうでないのかといったことが判断できるからです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

財務諸表

財務諸表は新聞の経済面をはじめ、企業についての記事で目にすることの多い言葉だ。これは会社の状況を数字で示したいくつかの表の総称で、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書がその中心となっている。

貸借対照表の成り立ち

貸借対照表(Balance Sheet : B/S)とは、ある一時点(決算日)での会社の姿を数字で表したものであり、ストックの概念と言える。貸借対照表は3つの部分、つまり資産、負債、純資産から構成されており、資産の合計が負債と純資産の合計と常に一致しているため(資産=負債+純資産)、絶えずバランスしているという意味で、英語ではバランスシートと呼ばれている

資産とは、会社がどういう形の財産を持っているかという「資金の運用形態」のことであり、現金、売掛金(売上代金のうち未回収のもの)、商品、不動産、のれんといった会社の財産で構成されている。負債は「資金の調達源泉」の1つとして、買掛金(商品や原材料の購入代金のうち未払いのもの)、借入金、社債といった株主以外からの資金の調達分で構成されている。純資産も「資金の調達源泉」の1つであり、株主からの出資分と、創業からの事業活動の結果である利益の累積分などの合計で構成されている。

損益益計算書の成り立ち

損益計算書(Profit and Loss Statement : P/L)とは、ある一定期間における会社の活動を数字で集計した結果であり、売上高などの収益から費用を差し引いて、会社がある一定期間にどれだけの儲け、つまり利益を生み出すことができたのかを表している。貸借対照表が一時点での状況を表すストックの概念であるのに対して、損益計算書は一定期間の会社の活動をすべて集計したフローの概念と言える。ふつう、この一定期間は1年であるが、決算期間を変更したり、合併したりしたような場合には1年以内の期間となることもある。英語では、一定期間に得られた利益を計算する表として、インカム・ステートメント(Income Statement : アメリカ的な呼び方)、あるいはプロフィット・アンド・ロス・ステートメント(イギリス系の国あるいは日本的な呼び方)と呼ばれている。

損益計算書は、収益を売上高、営業外収益、特別利益の3つに、費用を売上原価、販売費および一般管理費(販管費)、営業外費用、特別損失、法人税、住民税および事業税の5つに分類し、5段階の利益、つまり売上総利益、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益、当期純利益を算出していくように構成されている。

このうち収益については、会社の本業からの収益を売上高、受取利息など財務活動を中心とした通常の状態で得られる本業以外の収益を営業外収益、工場の売却による利益など臨時あるいは異常な状態で発生する収益を特別利益としている。

費用については、売上げの直接的なコストである商品の仕入原価あるいは製品の製造原価を売上原価、営業担当者の給与や営業所の家賃などの販売あるいは一般的な管理のための費用を販売費および一般管理費、支払利息などの財務活動を中心とした通常の状態で発生する本業以外の費用を営業外費用、固定資産売却による損失など臨時あるいは異常な状態で発生する費用を特別損失、税金をまとめて法人税、住民税および事業税としている。

各利益の意味は下記のとおりである。

売上総利益 = 売上高 - 売上原価

売上総利益は粗利益とも言われ、会社の利益の源泉を示している。つまり、商品あるいは製品を販売することによって、人件費をはじめとする経費を支払う原資となる利益、つまりマージンがどれだけ得られたかを意味している。

営業利益 = 売上総利益 - 販売費および一般管理費

営業利益は会社本来の営業活動からもたらされた利益であり、本業の利益水準を示している。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

経常利益は、営業活動に財務活動などを加えた通常の活動からもたらされる利益であり、会社としての総合的な利益水準を示している。

税金等調整前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失

税金等調整前当期純利益(慣例的に税引前当期純利益と呼ぶこともある)は、臨時あるいは異常な状況における損益まで含めた、会社のすべての活動からもたらされる利益であり、税金を控除する前の最終的な利益水準を示している。

当期純利益 = 税金等調整前当期純利益 - 法人税、住民税および事業税

当期純利益は税金を控除した後の、会社の一定期間における最終利益を示している。なお、連結の損益計算書では、税金だけではなく、少数株主利益を差し引いて当期純利益を求める。

このように損益計算書では、一定期間に会社が活動した結果を、売上総利益、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益という4段階の利益として算出しながら、最終利益である当期純利益を示している。当期純利益は剰余金の一部として、貸借対照表の純資産をその金額だけ増加させることになる。つまり、当期純利益を通して、貸借対照表と損益計算書は結びついている。

キャッシュフロー計算書の成り立ち

損益計算書は、実際の現金の動き(現金主義)ではなく、商品や製品が販売された、あるいは費用が発生したというように実態に基づく発生主義/実現主義で会社の事業活動を表そうとしているため、必ずしも利益(損失)と現金の増減が一致しない。しかし企業活動を安定的に続けていくためには、事業活動と現金収支の関係を明確にし、現金の増減の状況を把握しておく必要がある。そこで、会社の活動を営業活動、投資活動、財務活動の3つに分け、それぞれについて各期の現金の増減に対する影響を整理して示すキャッシュフロー計算書の作成が義務づけられている。

営業活動によるキャッシュフローとは、本業の営業活動でキャッシュ(現金)をいくら稼いだかを示すもので、最も重視されるキャッシュフローである。これに対し、投資活動によるキャッシュフローは、設備投資に伴う固定資産の取得・売却、あるいは株式など有価証券の売買などによるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローは、銀行からの借り入れによる現金増(借入金返済による現金減)、増資による資金調達などによるキャッシュフローであり、いずれも本業の営業活動を支援する活動から生まれるキャッシュフローである。

(本項担当執筆者: 西山茂)

次回は、『グロービスMBAアカウンティング』から「比率分析の体系」を紹介します。

 

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グロービス経営大学院 編著
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