いよいよリオデジャネイロ五輪が開幕しました。4年後には東京五輪も予定されており、競技はもちろんのこと、映像技術やITをはじめとする技術進化の活用や、スポーツ・マーケティングの進化にも注目の集まるところです。(五輪の商業化の歴史については、ロンドン五輪の際にコラムを書きましたのでぜひご覧ください)。今回は近年注目されている1つの潮流である、スポンサーシップのアクティベーションについて紹介します。
アクティベーションとは、スポンサーとしての権利を活用して企業が行う、これまでのスポンサー活動とは異なる新しいタイプのマーケティング活動全般を指します。五輪へのスポンサーシップというと、テレビでの五輪マークを使用した協賛CMを思い出される方がほとんどでしょう。しかし、実はスポンサー企業にはその他にもさまざまな権利が与えられており(もちろん契約にもよるのですが)、最近はそれをより効果的に活用しようという企業が増えているのです。
たとえば、五輪のスタジアム内でのボランティアの選定にスポンサー企業がある程度関与できるとしましょう。飲料メーカーであれば、「○○の商品を5本以上買った方は抽選でスタジアムでのボランティアになれます」というキャンペーンを打つことが案として考えられます。これはその商品の売上げを増やすだけではなく、実際に当選した顧客にとっては、「五論の空気を味わいながら、選手の間近でボランティア活動が出来た」という何物にも代えがたい「体験」を提供することにもなります。
近年はメーカーであっても「モノ」を売る以上の存在となることが重視されています。「自分を五輪に連れて行ってくれた」という体験の提供は、その企業に対する顧客の生涯価値を劇的に高める可能性があるのです。
他にも、スポンサー同士がコラボしたプロモーションなど、様々なアクティベーションがすでに行われています。皆さんが五論のスポンサーだったら、どのようなアクティベーションが考えられるか、ぜひ検討してみてください。また、五輪中継を観られる際には、「これってひょっとしたらアクティベーションかな」などと考えながら観ると、また違った楽しみ方が出来ると思います。