一橋大学経済研究所 小黒一正氏 世代間を巡る課題~一体改革は止血剤(前編・動画)
現在の10歳代以下の生涯受益は、60歳代以上よりも1億円近く少ない――これほど大規模な年金の受益と負担の世代間格差は、いつまでに何をどうすれば改善可能なのか。平準化には消費税は税率アップを先送りにすればするほど負担額が増える上に、増税だけでは実は不十分であり、社会保障予算の独立採算化、事前積立の導入が必要になるという。一橋経済研究所の小黒一正准教授が説く、現在の社会保障費のしくみと積立方式への移行の仕組みと道すじ(肩書は2012年9月6日登壇当時のもの)。
スピーカー:小黒一正 一橋大学経済研究所 准教授
2012年9月6日 於グロービス経営大学院東京校
・社会保障費を賄うには、消費税率を2020年までに16~7%必要(2:15)
・消費税1%増で、2.5兆円の収入増になる(4:30)
・社会保障費は毎年1兆円増なので、消費税増でまかなうには10年間で消費税率4%増が必要(4:35)
・消費税率の増は、先送りにすればするほど負担が増えていく(5:45)
・孫世代は祖父母世代と比べ1億円損するのが現状(10:00)
・今は社会保障という赤字部門に投資し、将来の成長のための投資がなく、将来の成長率が落ちる(16:00)
・解決策1)社会保障予算への一般会計国庫負担をやめ独立予算にすべき
・2050年、一人が一人の老人を支える時代(19:45)
・解決策2)事前積立の導入:民間保険会社のように現代の高齢者と将来の高齢者の給付金を平準化した保険料に設定(18:45)
・現在、最低給付額を先に決めて足りない額を将来世代に押し付けている。最初に全体設計して給付額を調整していくべき(24:30)
・公債が増えると民間に回る資金が減り、経済成長を妨げる(28:25)