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セールスフォース宇陀栄次氏×オプト鉢嶺登氏×LINE森川亮氏「ソーシャルメディアが企業経営に与えるインパクト」後編

投稿日:2014/01/23更新日:2021/11/30

「炎上はある意味で仕方のないこと。怖がっていても『やらない』という話にはできない」(鉢嶺)

神原:ここまで攻めの部分を見てきたが、「とは言っても、ソーシャルメディアは怖いよね」と思う方も多いし、炎上という言葉もよく聞く。実際、そのリスクは大きいだろう。会場で炎上のご経験がある方はどれほどいらっしゃるだろうか。(会場若干挙手)…、少ないが、今日はそうした守りの視点でも議論したい。ソーシャルメディアを活用する一つのポイントは傾聴と言われている。自社のことをインターネット上で顧客やステークホルダーがどのような形で話題にしているか。そうしたことをしっかり聞くことが重要なポイントだ。その辺の取り組みに関し、今度は鉢嶺さんから伺っていきたい。(32:01)

鉢嶺:社名や商品名を登録すればツイッターや2ちゃんねるといったあらゆるメディアへの投稿を毎日クローリングするツールが、グループ会社から出ている。そのうえでプラスの投稿かマイナスの投稿かといったことまで毎日報告するサービスだ。リスク管理の観点から、特に大手BtoC企業のご利用が多い。(33:16)

一方、BtoBでは、たとえば2008年に電通と提携した。で、そのときに電通社員さんが当社に10名ほどいらしたのだが、そこで彼らが一番驚いていたのは「社内の情報共有方法がこれほどデジタル化しているのか」ということだった。それによって、「デジタル・アンド・グローバル」という経営戦略を掲げていた電通のデジタル化も大いに進展した。同様に、今はデジタル化が上手く進まずに悩む大手企業から、デジタル化のために人を派遣して欲しいというオーダーを幾つかいただいている。(33:52)

神原:そこで、若い世代はソーシャルメディア活用が比較的上手いと言われる一方、コミュニケーションそのものやビジネスパーソンとしてのリテラシーが低いといった点を指摘されることもある。それで最近は色々問題も起きているが、皆さんはソーシャルメディア活用に関する社内ガイドラインのようなものを整備しているだろうか。(34:38)

森川:特別厳しいものは設けておらず、なるべく自由にしている。基本的にはビジネスの理解が深いメンバーばかりなので、失敗も起きていない状況だ。(35:24)

鉢嶺:当社では飲み会で裸になって踊っているところを社員が撮って投稿してしまったことがあった(会場笑)。僕ではない(笑)。また、クライアントさんで炎上した事例も我々のほうで数多く貯まっている。それらが社内で共有されているため…、一応ガイドラインもつくったが、むしろ事例によって「怖い」ということを社員が知った。それで今は危ないこともしなくなっている。ただ、炎上はある意味で仕方のないことだと僕は思っている。むしろ炎上してしまったときの対応策として、「あまり慌てず、こうすれば鎮静化します」といったサポートをさせていただくことが今は多いように思う。(35:58)

先般は冷蔵庫に入って写真を撮るといった行為もニュースになっていたし、結局、会社として「ソーシャルメディアを使いません」と言ってみたところで、個人のユーザーとして使ってしまうから巻き込まれてしまう。怖がっていても、「やらない」という話には出来ない。それならば活用していくなかでどう対応するのかという知見を貯める一方、問題が起きたときは誠意を持って対応するということにすればお客様にも伝わる。変なものを投稿したからといってすぐに削除しても、それを記録している人が必ずいる。それでまた「この会社は消した」という話が一気に流れたりするので。(36:57)

神原:どれほど誠実に対応したかという履歴まで含めて残しておくべきというお話だと思う。悪い情報を自社HPで消してもネットのどこかに残っているし、逆に覚悟を決めてやっていくべきだと感じる。宇陀さんはいかがだろう。(37:47)

宇陀:電子マネーの楽天Edyを使っていた方々から、ケータイ機種変更時にポイントが移動しないといった話が出たこともある。で、皆がそれを拡散したそうだ。ただ、楽天はそこできちんとソーシャルモニタリングをしていた。「楽天」、「Edy」、「携帯」といったキーワードからその話を見つけたそうだ。そこですぐに、「いや、実はこういうことで、こうすれば必ずポイントは引き継ぐことが出来ます」といった説明をしたら、ネガティブだった声がポジティブに変わっていったというケースがある。(38:45)

炎上を恐れてみたところで、そもそも企業が本当に悪いことをやっていたのならそれが広がるのはどうしようもない。ソーシャルメディア以前の問題で、普通のメディアでも広がるだろう。ただ、事実ではないのに炎上してしまったような場合は、堂々と「それは事実でない」と言って押さえるような対応が必要なのだと思う。「私は嫌だから」と言ってみてもSNSという社会インフラは世の中に存在している。それならば企業である以上はある程度モニタリングして、正しいことはきちんと伝え、間違っていることは訂正するという考え方でやっていくことが重要になると思う。(39:30)

「変化することでリスクがある一方、変化しないことでもリスクがある」(宇陀)

宇陀:最近、あるコンサル会社の社長さんと話していて「面白いな」と思ったことがある。昔は「知っているか否か」ということでブランドが大事だった。しかし最近はレピュテーションが重要なのだという。ブランドであればまったく知らない状態から皆が知っている状態ということで、ゼロから100まで。しかしリピテーションはマイナス100からプラス100まである。マイナス状態を放っておく訳にはいかない。それを把握してプラスに持っていくアクティビティが必要な時代という話だと思う。(40:31)

神原:こと人事・採用についてはBtoC企業もBtoB企業も同じ土俵にいて、取り組んでおかなければいけない状況だと思う。また、宇陀さんも仰っていた通り、間違った情報に対して正しい情報をタイムリーに出していく仕組みも不可欠だ。それでプラスマイナス両面からネット上の声をモニタリングするようなツールも出ている訳だが、セールスフォースでもその辺で何かご提供しているものがあるのだろうか。(41:03)

宇陀:ラディアンシックスというシステムはかなり広まっている。単にキーワードで抽出するだけでなく、ネガティブとポジティブに分類してグラフで表示するようなツールだ。また、日本ではホットリンクの…、我々も参加させていただいたが、クチコミ@係長というツールもある。日本語には、たとえば「“死ぬ気で頑張れ”と言うのはポジティブなのかネガティブなのか」という難しさがある。英語の「死ね」は絶対に忌み言葉だが、日本語では褒める意味を含んでいることがある。そうした微妙な差をきちんと見極めるのも大事だ。いずれにせよ、自社あるいは自社製品に対するネガティブなイメージが勝手に広がるのを防ぐためのツールは色々と出している。(42:15)

神原:御三方ともご自身で積極的にソーシャルメディアを使っていらっしゃるが、ご自身でやらない方にも「なりすまし」という問題が付きまとう。その辺の対策はどうか。LINEは携帯電話に1つずつということで、そうした問題はあまりないのだろうか。(43:30)

森川:細かくモニタリングしているが、そうしたトラブルはほぼ発生していない。(44:01)

神原:ソーシャルメディアになかなか入っていくことが出来ない経営者の方々にはどのようなアドバイスがあるだろう。(44:11)

森川:目的次第だと思う。使う必要がなければ使わなければ良いのかなと。ただ、より多くの人々が使うメディアを活用することで、色々とメリットは出てくる。結局、その利点がどこにあり、それを各自でどう使うのかが重要なポイントではないか。(44:23)

鉢嶺:ブログを友人社長等に勧めても、「怖いから嫌だ」、「目立つとマイナスにしかならない」と言われる。それは良く理解出来るそれ以上は勧めないが(笑)。ただ、僕はフェイスブックでも同様だがプライベートな投稿は一切せず、仕事と割り切って仕事の話ばかり投稿していて、それでブログに変なコメントが来たこともない。真面目なことを発信しているぶんには、今のところマイナスもない状態だ。従って企業トップの顔が見えることだし、採用にもIRにもプラスだし、「皆、何故やらないのかな」とは思う。出来たら全社員にやって欲しいと思っているほどだ。(44:59)

宇陀:絶対やるべきだとは思わないし、きちんと理解したうえでそれでも使わないというのは一つの判断だし戦略だと思う。ただ、漠然とした不安感からやらないと決めるのはどうだろう。それで守ることが出来れば良いが、それで被害を受けることだってある。変化することでリスクがある一方、変化しないことでもリスクがある。周囲や世の中がどんどん変わっていくのに自分だけが変わらないのであれば、相対的に自分にとってリスクが増えていく。僕としてはそんな価値観を持っている。(46:12)

神原:トップがソーシャルメディアを活用すると働いている方々やステークホルダーの方々にも安心感が生まれると感じる。たとえば工場で事故があったとき、トップがソーシャルメディアを使っていないと、「情報を早く消してしまえ」といった指示を出してしまうかもしれない。マスメディアだけの時代であれば新聞の扱いを小さくして貰うといった手法があったかもしれないが、今はそれが通用しない。そこに気付いていないトップが間違った指示をすることで企業の損失がさらに大きくなるケースもあると思う。そうした視点からも、トップにはぜひ活用していただきたいと感じる。(47:28)

森川:企業の利用という点で言うと、たとえばLINEにはリアルタイムの翻訳機能がある。外国語に翻訳するツールがあれば、特に外国人が多い組織ではリアルタイムで情報を共有出来る。これはかなり使い勝手が良い。あと、災害時の連絡網。我々は地震等があれば速報を流すようにしているが、メールでは緊急情報を見ないときもある。その点、LINEであれば社内の緊急時対応にも利用出来ると思う。(48:29)

「標準化したほうが便利だが、それで皆、似たようなサービスになってしまうのもつまらない」(森川)

会場:当社はベンチャーで知名度が低いため、新商品を出す際に炎上マーケティングから入る。「こういう風に炎上するな」という方向に誘導し、そのうえで一つひとつの質問等に答えるのだが、それがSEOとなり、狙った検索キーワードでは1ページ目に表示されるようになった。そうした手法もソーシャルメディアを使ううえでは投資対効果が高いと思うのだが、その辺についてどうお考えだろう。(49:38)

鉢嶺:オーダーは少ない(笑)。以前、あるネット通販会社でトップの方が送料に関してお客様から批判を受ける発言をして、結果的には送料無料にしなければいけなくなる出来事があった。真意は僕も分からないが、「もしかしたら計算だったのかな」と思ったりもする。従って炎上マーケティングはリスクまで計算したうえでやるのは有りかもしれないが、特に大手企業ではリスクが大き過ぎるので難しいだろう。仮にそうした戦略を提案しても乗っていただけないと思う。ゲリラ戦法というか(笑)、ベンチャーならではだと思う。(50:37)

宇陀:セールフフォースはコンシューマ系のサービスではないので今でも一般の方でご存知ない方は多い。私が当社に入ったのは10年ほど前だが、当時の売上は国内で3億〜4億。だから知って貰うのも大変だったが、一つ大事にしていたのはお客様の成功事例をきちんとつくり、それをメディアに発信することだった。で、記事にして貰ったたらお金を払って抜き刷りにして貰い、またそれを配るといった地味なことをしていた。一気に名前を広めるのも有りだが、ネガティブな評判は消すのが大変だ。だから、炎上はかなり高度なテクニックかもしれないが(笑)、リスクもあると感じる。(51:35)

森川:ターゲットにもよると思う。比較的“尖った”ユーザーなら分かったうえで楽しみながらコミュニケーションを行うこともあるし、ケースバイケースかなと感じる。(52:40)

神原:問題があって炎上するケースもあれば、お客様の声を聞きながらサービス等をつくりあげ、バージョンアップするケースもあると思う。テストマーケティング的に、「完成度は80%だけれども残りの20%に関してご意見ください」と。そうしたユーザーとのコミュニケーションとともに進めるマーケティングも、今後は広がると思う。(52:54)

会場:神原さんも仰っていたが、今はたくさんのソーシャルメディアがありプロファイル管理が大変だ。そこで最適なBYOS(Bring Your Own Services)の仕組みが出来ないものかなと以前から思っていた。関係性や目的によって、それぞれ好きなインターフェースを使ってBYOSをまとめる仕組みがどこかから出て来て欲しい。この課題に気付いている人は多いと思うが、解決を図る会社の話を聞かない。そうしたベンチャー等の例があれば、または皆さんでそうしたリリース予定があれば教えて欲しい。早く使いたい(会場笑)(53:57)

鉢嶺:シリコンバレーで2年ほど前、ツイッターをはじめとしたあらゆるソーシャルメディアを統合したうえで一元管理して、それで窓口として対応するカスタマーセンターのベンチャーを見たことがある。それの発展型なのかなという気がする。(55:59)

宇陀:おっしゃる通りで、モニタリングでも同様の問題が出てくる。私の場合、フェイスブック上でもツイッター上でもブログ上でも、とにかく公開されている情報であればキーワードですべて抽出出来る仕組みはあるので、今はそれを見たうえで相手の使っているメディアで返していくというやり方になる。ただ、一般ユーザーが毎日それをすべて見ることが出来るかというと難しい。私自身もすべて監視している訳ではなく、社員がモニタリングのうえで報告してきたものにアクションを取る状態だ。いずれそうしたツールが標準化され、ばらばらに対応せずとも済むものが出てくると思う。(56:40)

ただ、そこでは、「これは社内の問題だ」、「これは個人情報だから発信しても良い」という風に、情報発信側の基準も大切になると思う。プライベートでも発信したくない情報はあると思うし、皆、自然とそうしたものを分けている。そうしたものが日本社会でもう少し深く定着すると、さらに発展するのではないかと常々思っていた。(58:01)

森川:標準化したほうが便利だが、それで皆似たようなサービスになってしまう面もある。僕達はどちらかというと個性を出すのがサービス提供者としての価値だと思っていて、その意味ではあまり標準化しないほうが良いのかなという考えだ。(58:45)

神原:米国ではリンクトインの次にツイッターやフェイスブックが広がった一方、日本ではツイッターやフェイスブックが先に広まり、プライベートもビジネスもごちゃ混ぜになった状況でリンクトインが出てきた。その辺で混沌としているようにも思う。(59:05)
会場現在、会員制リゾート事業を担当しているが、およそ3万人におよぶ会員様の多くが50〜70代の方々だ。企業はシニアのボリュームゾーンで何か新しいことが起きないかと期待している。シニアのソーシャルメディア利用に関して今どのような動きがあり、今後どのような動きが起きるとお考えだろう。(59:52)

鉢嶺:世代別メディア接触時間を見ると、50〜60代は未だテレビをはじめとしたマスメディアへの接触時間が圧倒的に高い。従って、どちらかというとテレビや新聞といったマスメディア側がデジタル化するなかで動画コンテンツ等を上手く取り込む流れになっていくと思う。企業側がテレビでつくった素材を動画化し、コンテンツをアーカイブにしたうえでオウンドメディアに提供していくというのが一つの流れかと思う。(01:00:44)

森川:LINEでは家族内利用が増えていて、夫婦や親子のコミュニケーション活性化に繋がっている。その次は孫と祖父母だ。何が良いかというと、文字を打たなくても良い。スタンプだけの応酬だ。また、おじいちゃんおばあちゃんの健康が心配な両親であれば既読がつくだけで安心するので、iPadを渡すケースもある。シニアの方々からすると、やはりローマ字入力が出来ないし、かな入力も「いらいらする」と。そこで、スタンプや写真を通したコミュニケーションが活性化している状態だ。孫にスタンプをプレゼントして、それでラブラブ、みたいな(会場笑)(01:01:53)

宇陀:うちの営業には「クラウドを説明するのにパワーポイントを使うな」と言っている(会場笑)。今の時代は動画やデモがあれば、年代に関係なく興味を持つ人にアクセスしていただける環境がある。また、今は世代的にも…、たとえば当社の顧問は僕よりもかなり年上の方だが、正直、僕よりも詳しい。そういう方々も出てきて、さらには孫とのコミュニケーションでも使いはじめている。そこでさらに動画等を上手く使っていけばとても良い形になると思う。(01:03:01)

「情報が残り続けるウェブにおいて過去に発信したものをいかに“片付けるか”も確かに面白い視点」(鉢嶺)

会場:トップがソーシャルメディアで発信するとなると炎上の心配もあれば、逆に「凡庸と思われてもなんだしな…」という心配もあり(会場笑)、結構なエネルギーを使う。また、ソーシャルメディアのライフサイクルはそれほど長いものでもない。僕も昔はブログやツイッターで発信していたが、今は辛うじてフェイスブックで「今日、走った」といった話だけを書く状況だ。ブログは2〜3年更新していないが、残っているのが嫌だと感じる(会場笑)。僕も消さないというポリシーで残してはいるが。こうしたものを最後、どう片付けていけば良いのだろう(会場笑)。あと、鉢嶺さんのブログは僕も読んでいて「すごいな」と感じているのだが、あれはどれほどの時間をかけて書いていらっしゃるのだろうか。(01:04:07)

鉢嶺: “片付ける”というのは新しいニーズだ(会場笑)。考えたことがなかった。ブログに関して言うと、毎週一度の更新と決めていて、忙しいときや新しいネタがないときのために「OPT創業物語」というネタで書き溜めをしている。ネタがないときはそこから引用するので比較的ラクだ。あと、やはり発信しようとすると勉強するようになる。たとえばダイバーシティというキーワードに関しては軽々しく表面的な話も出来ないと感じるから、それで書籍を読んだりする。そんな風にしてブログを書くことで勉強するモチベーションが上がる点も自分にとってプラスだと思う。(01:05:21)

森川:引き際は難しい。スナップチャットというアプリが話題になっているのも、自動的に消えてしまう点が良いというのがある。読む人が増えると不用意なことも言えないし、そうすると…、やはりフェイドイン-フェイドアウトが一番良いのかなと(笑)。突然過ぎると目立つので。発言も適度にするのがいいと思う。朝から晩まで発言していると「仕事をしているのか?」と思われるし(笑)、バランスが重要だなと思う。ただ、残ってしまっているものについては、ある日突然消えたほうが良いかなと思う。(01:06:34)

宇陀:ブログはやっていないが、ご質問の懸念はなきにしもあらず、だ。僕の場合はツイッターやフェイスブックといったメディアごとに自分なりの基準を持っている。その範囲であれば多少間があっても構わないし、気まずければ突然思い出したように書いてみるのもいいかなと思う。そのメディアが自分にとってどんなことを表現する場なのかということを決めていれば問題ないという気がしている。(01:07:24)

神原:私は昨年末まで10年近く毎日ブログを書いていた。ただ、昨年あたりからきつくなってきたので、「どうしようか」ということを社内で話していたら、「更新頻度をブログに明記してみては?」と言われた。そこで年明け早々、「今年からは月に一回程度の更新に変えます」とアナウンスした。今の時代、たとえば3カ月も企業HPを更新しないと、「やる気がないのかな」と思われるし、社長ブログであれば「事業への愛が冷めたのでは?」と疑われる懸念もある(笑)。従って、ブログの目的を明確にしたうえで、「このような形で更新します」、「創業期に書いていたもののアーカイブです」といったアナウンスをすると良いのではないか。(01:08:14)

会場:外国人がよく言うのは、「日本人は感情を表に出さないのにLINEのスタンプでは大変情熱的になる」という点だ(会場笑)。目から血が流れている人がいたり(会場笑)、「日本人の気持ちを本当に知りたければLINEを見るしかない」なんていうジョークもある。古い日本企業であればそうした強烈なデザインへの心配も出たと思うが、スタンプの方向性に関して何か議論はあったのだろうか。(01:09:34)

森川:今はそれでもかなり抑えていて、実はもっと危険なアイディアもある(笑)。いずれにせよ人の気持ちというものはすごく多様で、一部しか表現出来ないと窮屈だ。従って、スタンプも言葉も同じでバリエーションは豊かであればあるほど良いのかなと思う。気分を害するようなデザインはサービス価値を下げるので、なるべくポジティブなものを中心に考えてはいるが。日本人がどうなのかというのは正直分からないが、気持ちがあるからこそそうした表現になっているのかなと思う。(01:10:39)

会場(続き):LINEはアジアで大変人気があり、欧米だと何故かスペインでのみ利用者が多いと言われるが、今後は欧米他の地域も狙うご予定だろうか。(01:11:27)

森川:そのつもりだ。実際、すでにフランスやドイツあるいはイタリアでテレビCMを打つ等、幅広く進めている。で、ラテン系の方々には現在のスタンプデザインでもかなり面白く使っていただけている状態だ。ただ、ヨーロッパや北米では…、お子さんには使って貰っているが、大人の方は「あのデザインだと…」という話になる。だから今は三頭身のものを五頭身にしたり、リアルな写真を使ったりしていて、それで大人の方も使いはじめている状態だ。スタンプ自体でなくスタンプのデザイン特性が原因なのかなということで、今はチューンナップしている。(01:11:53)

会場:前回の東京五輪はカラーテレビが普及するきっかけとなった。次の東京五輪が開催される2020年にはソーシャルメディアがどのような形で使われているとお考えだろう。ウェアラブルデバイス等も話題になっているが、何かイメージがあれば教えていただきたい。(01:13:02)

宇陀:我々は2010年、南アフリカW杯でサポートを行った。そこで海外から来る方々が、「観光地はどこが良いのか」といった用途でソーシャルメディアをかなり使っていた。サポートのリクエストも同様だ。多言語対応が不可欠なので、ボランティアを含めたサポートのマッチング機能のようなところはすごく広まっていると思う。(01:13:40)

森川:現在は何にでも先頭に「スマート」がつくトレンドがある。従って、2020年には車はスマートカー、家はスマートハウス、そして街はスマートシティといった話になるのかなと思う。そこですべてがWi-Fiか何かで繋がって、色々な情報が流通し、すべてがデジタルでコントロール出来るような時代になると感じる。従って、そうしたものの使い分けがリテラシーより大事になっていくと思う。(01:14:22)

鉢嶺:デバイスの面で言うとおっしゃる通り、ウェアラブルということで色々出てくると思うし、新しいソーシャルメディアも出てくるだろう。あと、コンテンツに関して言うと、今は4大コンテンツの流通革命として音楽のあとにゲームが来ているから、その次は映像だ。「動画等が主流になるのかな?」ということを、なんとなく感じる。(01:14:59)

神原:ソーシャルメディアが持つ、「企業が伝えたいことを正しく伝えるプラットフォーム」としての魅力については皆様にご理解いただけていると思う。今後はそれを実際のビジネスでいかに活用していくかがポイントになると感じた。本日は誠にありがとうございました(会場拍手)(01:15:28)

※開催日:2013年11月4日。前編はこちら

講演者

  • 宇陀 栄次

    株式会社セールスフォース・ドットコム 代表取締役社長 兼 米国セールスフォース・ドットコム EVP(上級副社長)

    慶應義塾大学法学部卒業後、1981年に日本アイ・ビー・エム株式会社入社。2000年までの20年間にわたる日本アイ・ビー・エム在任中、大手企業担当の営業部門を経て、社長補佐、製品事業部長、理事情報サービス産業事業部長などを歴任し、情報サービス産業各社との提携や協業の事業責任を担当。2001年以降、ソフトバンクコマース代表取締役社長を歴任。2004年3月、米国セールスフォース・ドットコムSenior Vice President(上級副社長)に就任 。2004年4月、株式会社セールスフォース・ドットコム代表取締役社長に就任。2012年4月より、米国セールスフォース・ドットコムExecutive Vice President(上級副社長)を兼任。
  • 鉢嶺 登

    株式会社オプトホールディング代表取締役会長

    1967年6月生まれ。千葉県出身。1991年早稲田大学商学部卒。森ビル株式会社にて3年間の勤務の後、1994年米国で急成長しているダイレクトマーケティング業を日本で展開するため、オプト設立。1999年にeマーケティングに特化。2004年にJASDAQ(2389)に株式公開。2005年には、株式会社電通とeマーケティング分野全般における資本・業務提携を結ぶ。また、2010年には、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社とデータベースマーケティング事業において、資本・業務提携を結ぶ。2012年度の売上高は789億円、ネット広告取扱高は日本一。社員数は約1200名。2013年10月には東京証券取引所 第一部へ市場変更。「eマーケティング×データベース」をドメ
    インに、全ての企業のデジタルマーケティング支援を行っている。

  • 森川 亮

    C Channel株式会社 代表取締役

    1967年生。1989年に筑波大学卒業後、日本テレビ放送網株式会社に入社。システム部門配属後、ネット広告事業や映像配信、モバイル事業ならびに、国際放送事業、BSデジタル放送事業などの新規事業プロジェクトを中心に幅広いメディア事業に関わる傍ら、1999年には青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程を修了しMBA取得。
    その後ソニー株式会社に入社。新規モバイルコンテンツ事業、ブロードバンド事業を担当。事業・サービスの企画、営業などコンテンツビジネスの責任者として事業全般に関わる。
    2003年にハンゲームジャパン株式会社(現・LINE株式会社)に入社。事業部長としてハンゲーム事業全般の運営を担当。取締役を経て、2006年10月、取締役副社長、2007年10月NHN Japan代表取締役社長に就任。 同年11月、ネイバージャパン株式会社設立に伴い、ネイバージャパン代表取締役社長を兼務。
    2012年1月、NHN Japanとネイバージャパン、ライブドアの3社が経営統合、引き続き代表取締役社長を務める。
    2013年4月、NHN Japanの会社分割・商号変更により、「LINE」「NAVER」「livedoor」のウェブサービス関連事業を行う、LINE株式会社代表取締役社長に就任。2015年3月、同社代表取締役社長を退任。同年4月、C Channel株式会社代表取締役に就任。
    2020年5月C Channelは東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場。

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