レピュテーション・マネジメント(reputationmanagement)
良きレピュテーションの獲得・維持、傷ついたレピュテーションの回復などを目的とした活動。特に企業が注目しているのは、悪いレピュテーションを初期の段階で食い止めることだ。もともと、悪いレピュテーションの方が良いレピュテーションよりも広がり易いものだが、近年、特にこの傾向は強まっているからだ。
また、良きレピュテーションを獲得・維持するためには、弛まぬ努力(製品・サービスの向上やCSR活動など)や継続的かつ能動的なコミュニケーションが必要で、一朝一夕にできるものではないが、レピュテーションの毀損については、やるべきこと、やってはいけないことを知らなかったがゆえに、みすみす毀損してしまうことが多いからである。事故や不祥事が起こった際の、経営陣の不用意な発言などはその典型である。
現代人は忙しく、情報の山に埋もれてしまいがちだ。企業のさまざまな活動やコミュニケーションが、そのまま人々に伝わることを期待してはいけない。人々は、情報の断片を組みあわせてその企業のレピュテーションを頭の中に形成する。人々を不用意に刺激する発言や行動は、他の真面目なレピュテーション向上・維持の努力を台無しにしてしまう。認識は受け手が決定するのである。
レピュテーション・マネジメントは、広義には企業の評判維持・向上活動全体を指すが、狭義には、クライシス(不祥事や事故)対応、あるいはメディア対応を指す。特に、経営陣の発言や行動は企業のレピュテーションに大きく影響を与えることから、欧米企業では、経営陣を対象とした危機管理トレーニングや、メディアトレーニングなどを実施していることが多い。
次回は「アドボカシー・マーケティング」を取り上げます。
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グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。