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定性データとは?数値にできない情報の本当の価値と活用法

投稿日:2025/06/18更新日:2025/07/15タイマーのアイコン 読了時間 6分

定性データとは、数値化が難しい感情や印象などの情報です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

定性データとは

定性データ(qualitative data)とは、「強い/弱い」「きれい/きたない」「快/不快」など、直接的には数値化しにくい情報のことです。

個人の主観や感性に委ねられがちな領域に多く存在し、一般的にはテキストデータを指すことが多いですが、広義には画像や音声の生データなども含まれます。

たとえば、顧客からの感謝の声やクレームの内容、商品に対する印象や感想、サービスを利用した時の体験談などが典型的な定性データといえるでしょう。

これらの情報は数値化が困難であるため、一見すると分析や比較が難しく思えるかもしれません。しかし、実際のビジネスにおいては、数値データでは捉えきれない重要な洞察を提供してくれる貴重な情報源なのです。

なぜ定性データが重要なのか - 経営判断に欠かせない現場の声

定性データの重要性は、その情報が持つ「生の声」としての価値にあります。数値化された統計データでは見えてこない、顧客の本音や現場の実情を知ることができるからです。

①リアルな顧客体験を把握できる

顧客満足度を数値で測ることは可能ですが、その背景にある感情や体験の詳細は定性データでしか知ることができません。

「満足度4.2点」という数値だけでは、なぜその評価になったのか、どの部分が良かったのか、改善点はどこにあるのかが分からないのです。

一方で、「スタッフの対応が温かくて、まるで友人に接してもらっているような安心感があった」という顧客のコメントからは、サービスの質の高さや改善すべき具体的なポイントが見えてきます。

②経営の意思決定に深い洞察を提供

定性データは、たとえ少数の意見であっても、経営の重要な意思決定に大いに参考になります。

顧客からの一通のクレームメールや感謝の声が、商品開発の方向性を変えたり、新しいサービスのアイデアを生み出したりすることも珍しくありません。

数値化された満足度やクレーム件数だけに頼っていては、競合と差別化できるような大胆な意思決定はしにくくなってしまうのです。

定性データの詳しい解説 - 種類と特徴を理解しよう

定性データを効果的に活用するためには、その種類と特徴を正しく理解することが重要です。

①定性データの主な種類

定性データには様々な形態があります。

テキストデータでは、顧客のレビューやコメント、アンケートの自由記述欄、インタビューの記録、SNSでの投稿などがあります。これらは最も一般的な定性データの形態です。 音声データでは、コールセンターでの顧客との会話記録、インタビューの録音、会議での発言などが含まれます。声のトーンや話し方からも多くの情報を得ることができます。 画像・映像データでは、顧客の表情や行動、店舗での様子、商品の使用状況などが含まれます。言葉では表現しにくい情報を視覚的に捉えることができます。

②定性データの特徴と限界

定性データは非常に豊富な情報を含んでいますが、同時にいくつかの特徴と限界も持っています。

主観性の高さが最も大きな特徴です。同じ体験でも人によって感じ方や表現が大きく異なるため、客観的な比較や分析が困難になることがあります。 解釈の多様性も重要な特徴です。同じコメントでも読み手によって受け取り方が変わる可能性があるため、分析には注意深さが必要です。 量的な処理の困難さもあります。大量のテキストデータを効率的に分析するには、特別な技術や手法が必要になることが多いです。

③定性データと定量データの違い

定性データと定量データは、それぞれ異なる価値を持っています。

定量データは客観性と比較可能性に優れており、統計的な分析や傾向の把握に適しています。一方、定性データは深い洞察と文脈的な理解を提供し、「なぜ」という問いに答えるのに適しています。

たとえば、「商品の満足度が3.8点」という定量データからは、満足度の水準は分かりますが、その理由は分からません。しかし、「パッケージのデザインが洗練されていて、プレゼントとして選びやすい」という定性データからは、満足度の具体的な理由が明確になります。

定性データを実務で活かす方法 - 効果的な収集と分析のポイント

定性データを実務で効果的に活用するためには、適切な収集方法と分析手法を知っておくことが重要です。

①効果的な定性データの収集方法

質の高い情報源の確保が最も重要です。

多くの企業では、商品開発に活かすためのフォーカスグループの人選に大きな労力を割いています。適切な属性や経験を持つ参加者を選ぶことで、より有用な情報を得ることができるからです。

多様な収集チャネルの活用も効果的です。顧客アンケートだけでなく、SNS監視、コールセンターでの会話記録、店舗スタッフからの報告など、様々な情報源から定性データを収集することで、より包括的な理解が可能になります。 継続的な収集体制の構築も大切です。一度だけの調査ではなく、定期的に顧客の声を収集し、変化を追跡することで、トレンドや課題の発見につなげることができます。

②定性データの分析と活用のコツ

テーマやパターンの発見が分析の基本です。大量のテキストデータから共通するテーマや頻出するキーワードを見つけ出し、顧客の関心事や課題を整理します。 具体的なエピソードの活用も重要です。印象的な顧客の声や体験談は、社内でのプレゼンテーションや意思決定の際に強力な説得材料となります。 定量データとの組み合わせにより、より深い洞察を得ることができます。数値データで傾向を把握し、定性データでその背景や理由を理解することで、包括的な分析が可能になります。

たとえば、ある出版社では、読者アンケートとは別に外部識者からなるモニターパネルを充実させ、ここで得られた声を紙面作りに活かしています。これは定性データの収集と活用の優れた例といえるでしょう。

定性データは、適切に収集・分析することで、経営の意思決定に大きな価値をもたらします。数値だけでは見えない顧客の本音や現場の実情を知ることで、より効果的な戦略立案が可能になるのです。

参考ページ

MBA経営辞書「定性データ」

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