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のびしろしかない!日本の営業組織

投稿日:2025/09/16更新日:2025/09/16

今年9月発売の『強くて元気な営業組織のつくりかた』から「はじめに」の一部を紹介します。今回は、「日本の営業組織が飛躍するためには」がテーマです。

今年9月発売の『強くて元気な営業組織のつくりかた』から「はじめに」の一部を紹介します。

営業(セールス)はあらゆるビジネスにおいて重要で、特に比較的高額商材を扱う企業やBtoBビジネスにおいては成功のカギとなる非常に大切な機能です。どれだけ製品・サービスが優れていたとしても、営業が弱ければ成約に至らず、キャッシュは入ってきません。そうなると給与も上がりませんし達成意欲も満たされませんから社員の士気は下がります。次のプロダクト開発などの先行投資もできず、企業はじり貧に陥ってしまいます。

しかしながら、日本企業においては「自社の営業組織は十分に強い」と言い切れるセールスマネジャーは少数派です。
ほとんどの企業は何らかの問題を抱え、四苦八苦しながら仕事を回しています。結果として営業現場は疲弊し、退職率が高くなったりして、生産性が上がらない状況になっています。いったん悪循環に入ってしまうと、そこから抜け出すことは簡単ではありません。

ただ、問題のある状況というのは、逆に言えば問題さえ解決してしまえば、大きく飛躍できるチャンスがあるということです。本書の調査によれば、その鍵を握るのは概ね「ヒト」に関わる部分です。もちろんITの活用なども大切ですが、根源となる「ヒト」に関わる問題を解決し「セールス・サクセス・チェーン」と我々が命名した好循環を回すことが、営業組織の生産性を劇的に向上させる肝となるのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

伸びしろのある日本の営業組織

「日本の労働生産性は低い」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。営業も例に漏れず、グローバルな企業と比較すると営業生産性が低いことが知られています(マッキンゼー・アンド・カンパニー「日本の営業生産性はなぜ低いのか」)。原囚は多岐にわたり、営業組織にすべての責任があるわけではありません。ただ、営業組織起点で改善できることも多くあります。

我々は今回、営業力の強さについて、300人のセールスマネジャーに独自のアンケート調査を行いました。その結果、自己評価(1~10の10段階評価で、数字が大きいほど強いと考えている)では平均土標準偏差が5.6±2.0という結果が出ました。自社の営業力に強い自信があるであろう8点以上の評価をした人は16.3%と少数派で、多くの営業組織が課題を抱えていることがわかります。

謙虚な日本人の性格が出ているのかもしれませんが、前向きに捉えると「非常に大きな伸びしろがある」ということです。

「課題」と一口に言っても実態がつかめませんので、同じ調査では、所属する営業組織で最も課題に感じていることについても答えてもらっています。結果として、人材不足や人材育成などの「ヒト」に関する内容が目立つという結果が得られました。

人材が不足する原囚としては、体育会系の雰囲気でノルマに追われる、あるいは顧客のわがままに付き合わないといけないなど、働き方改革が叫ばれる中で「きつい仕事」というイメージがあるからかもしれません。人材不足が顕著であれば、なかなか人材育成に時間をかけられませんし、すぐ辞めるかもしれない人を熱心に教育しようとも思わないでしょう。つい短期的な視点でコスト削減を優先し、教育への投資が後回しになることもあります。

また我々は別の独自調査でさまざまな業界のセールスマネジャーの方々にヒアリングを行いました。そこでもやはり「ヒト」に関する課題が多く挙げられました。加えて、営業活動そのものや社内連携に関しても多くの指摘がありました。具体的には、営業プロセスが属人化してしまっている、ナレッジなど社内の情報共有がうまくいっていない、マーケティング部署から提言される施策に現場感がないなど、多くの課題を抱えていることがわかりました。読者の皆さんも、「うちも同じだ」とうなずかれるのではないでしょうか。

営業組織にはとにかくたくさんの課題があります。ただ、言い換えれば、先述したように伸びしろがあるということです。こうした伸びしろを埋めていくヒントを提供したいというのが本書の趣旨です。

大切なのは好循環を構築・回転させること

では、この状況を打破するために、どうすればよいのでしょうか。皆さんの組織でも、日々いろいろな課題に対して原因を考え、分析し、課題解決に向けた取り組みをされていると思います。たとえば、近年注目されるデジタル化や顧客のデータ活用、あるいはAIエージェント活用などによる営業効率化ももちろん大切でしょう。それはそれで他社事例なども参考にしながら進めるべきです。

しかし今回、我々は調査を進める中で「もっと大切なもの」があることに気付きました。それは「生産性・働きがい・顧客満足を実現する好循環」、すなわちセールス・サクセス・チェーン(詳細は後述)の構築です。この好循環を構築し、回転させることが、営業生産性を高める取り組みとして、最も費用対効果が高く、持続性も高いのです。そしてセールスパーソン・営業組織・顧客といった人々・組織を幸せな状態にする鍵ともなるというのが、我々の導き出した結論です。セールス・サクセス・チェーンが構築されていない中でIT投資を急いでも、効果は限定的なものになってしまいます。

本書ではこの発見を踏まえ、「セールスパーソンが所属するそれぞれの企業で、どのようにこの好循環を構築していけばよいのか」を解説していきます。

グロービス出版


強くて元気な営業組織のつくりかた
著:グロービス経営大学院 発行日:2025/9/3 価格:2,200円 発行元:東洋経済新報社

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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