部長ともなると、自分の業務からは少し遠いように思えても、より広く知っておかなければならないことが増える。たとえば株式総会や取締役会の役割、会社法の全体像、コーポレイト・ガババンスコードやスチュワードシップ・コードの意義などだ。
昨今ではどのような部署を統括していようとも、テクノロジー関係の言葉についても全く無知というわけにはいかない。たとえば部下に「AIエージェントって何ですか?」と聞かれて何も答えられないようでは自分の評価も下がってしまう。
それまで以上に広い職責を担うからこそ、時流を踏まえたキーワードに対するアンテナの高さは欠かせないのである。
今回は、多くの企業にとってより身近になりつつある不祥事対応について解説する。不祥事のタイプには法令違反や不正、事故、情報漏洩、ハラスメントなど、多くのものがある。時にはニュースやネットで取り上げられる大事件となることもある。その影響を最小限に抑え、信頼回復と再発防止を図るためのプロセスを理解しておくことは、いまやあらゆる部長の必須の素養と言えよう。
(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)
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不祥事対応
どのような企業であっても、不祥事と完全に無縁でいることは難しい。不祥事を未然に防ぐ努力はもちろん重要だが、起きてしまった際に迅速かつ誠実な対応を取れるかどうかが、企業の命運を左右する。対応を誤れば、長年培ってきたブランド価値や社会的信頼を一瞬で失うことにもなりかねない。
近年では、SNSの普及により「炎上」が瞬時に拡散する事例が増え、対応のスピードと正確性がいっそう求められている。
一般的に、不祥事対応のプロセスは次のように整理できる。
1)事実確認:発生事象について正確な情報を収集し、影響範囲や重大性を評価する。
2)指揮命令系統の確立:経営層が主導し、必要に応じて外部専門家(弁護士・会計士・広報コンサルタントなど)と連携する。
3)公表:発生事実、対応方針、今後の再発防止策などを誠実な姿勢で社会に公表する。発表のタイミングやメディア選定も慎重に判断する。
4)ステークホルダーへの説明:影響の大きい取引先や株主などに対して、個別に誠意を持って説明する。従業員にも社内説明を行い、組織内の混乱を防ぐ。
5)再発防止策の策定と実行:原因分析を踏まえ、再発防止策を具体的かつ実効的に設 計・実行する。形式的な「再発防止策」では意味がない。
不祥事対応は危機管理の一部でありながら、企業文化や倫理観の成熟度を映す鏡でもある。隠蔽や先送りではなく、迅速・誠実・透明な対応を行うことが、長期的な信頼回復の唯一の道である。
関連用語
社会的非難/炎上/ブランド毀損/内部通報制度
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