日本企業が好む経営環境分析に「強み」「弱み」「機会」「脅威」を洗い出すSWOT分析がある。これは経営環境をスピーディに調べたり、チームメンバーの意識合わせを行ったりするにはメリットの多い良いツールなのだが、「そこからすぐに戦略的な示唆を出せるわけではない(出そうとすると難しい)」という課題がある。
分析の結果を見て「強みを活かせ」「弱みを克服せよ」「機会をとらえよ」「脅威に対応せよ」と言うのは、単なるコインの裏返し的発想であり、必ずしも有効な施策につながらないことも多い。
クロスSWOTは、そうした弱点を克服するものだ。「強み」「弱み」「機会」「脅威」のそれぞれで得られた発見や分析事項を強引に組み合わせることで、より実務上役に立つかもしれない仮説を生み出すことができるのである。SWOT分析までで止めていた人は一度挑戦してみるといいだろう。
4つのセルで考え、より具体的な戦略を導く

クロスSWOTでは、図表に示したように、4つのセルごとにどのような示唆が得られるかを検討します。
(1)強み×機会(SO戦略):
左上の「強み×機会(SO戦略)」は、組織の強みを利用して外部環境の機会を活用するにはどうしたらいいかと考えます。最も考えやすいセルであり、実際に効果的な施策が生まれることも多いので、いの一番に検討したい部分です。アマゾンやマイクロソフトのクラウド事業は、彼らの強みであるリソース(人材やコンピューティングパワー)と、社内サーバーでは処理が間に合わないという企業のニーズを機会ととらえ、組み合わせた施策と言えます。
(2)強み×脅威(ST戦略):
左下の「強み×脅威(ST戦略)」は、強みを利用して脅威を克服することを考えます。たとえば、日本コカ・コーラは、少子高齢化の中、若年層が好む炭酸飲料の需要が減るかもしれない脅威に直面していました。そこで開発したのが、同社としては初のアルコール製品「檸檬堂」です。果汁に関する彼らの知見や原料の調達ルート、さらにはマーケティング力という強みを活かし、激戦のレモンサワー市場で独自の地位を築きました。
(3)弱み×機会(WO戦略):
右上の「弱み×機会(WO戦略)」には、弱みを改善・克服しながら機会を活用する戦略が入ります。たとえば、初期のネットフリックスは郵送でDVDをレンタルするビジネスモデルをとっていました。当時の最大のライバルは、全米に店舗を張り巡らし、作品数も豊富なレンタルビデオ・DVD大手のブロックバスターです。店舗がない、新作の仕入れで劣後するという当時のネットフリックスの弱みを克服すべく、レコメンデーションに力を入れることで「自分の趣味に合ったおもしろいDVDを提案してくれるレンタル業者」として成長していきました(その後、さらに現在のような動画配信事業へとビジネスモデルを変更していきました)。
(4)弱み×脅威(WT戦略):
右下の「弱み×脅威(WT戦略)」には、弱みと脅威を緩和するための防御的戦略が入ります。たとえば、ヨーロッパの自動車各社は、CO2排出量など環境関連の規制が強まる中、EVの比率を高めたり、生産のエネルギー使用量の過半を再生可能エネルギーに変更したりすることで対応しています。
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