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近視眼とは?短期思考の罠から抜け出すビジネス思考法

投稿日:2025/07/26更新日:2025/08/21タイマーのアイコン 読了時間 6分

近視眼とは、短期的成果にとらわれて長期的視点を欠いた判断をしてしまう思考の偏りです。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

近視眼とは - 短期の成果に目を奪われる危険な思考パターン

近視眼(きんしがん)とは、短期的な効果や成果にばかり注目してしまい、長期的には望ましくない結果をもたらすような意思決定をしてしまう心理的な落とし穴のことです。

ビジネスの世界では「目先の利益を追い過ぎて、将来の成長機会を失う」「短期的なコスト削減を優先して、長期的な競争力を損なう」といった状況がよく見られます。この現象は、人間が本能的に持っている心理的な特性に起因しており、誰もが陥る可能性がある思考の偏りなのです。

まるで近視の人が遠くのものがぼんやりとしか見えないように、将来の可能性や長期的な影響がはっきりと見えなくなってしまう状態といえるでしょう。

なぜ近視眼が重要なのか - 現代ビジネスに潜む大きなリスク

現代のビジネス環境において、近視眼的思考は企業の持続的成長を脅かす重大なリスクとなっています。

特に、四半期決算に追われる上場企業や、短期的な業績向上を求められる管理職にとって、この問題は避けて通れません。株主からのプレッシャーや競合他社との競争激化により、どうしても目先の数字に意識が向きがちになるからです。

①企業価値の長期的な毀損リスク

近視眼的な経営判断は、一時的には良い結果をもたらすかもしれませんが、長期的には企業価値を大きく損なう可能性があります。例えば、短期的な利益確保のために研究開発費を削減したり、人材育成への投資を怠ったりすると、将来の競争力が著しく低下してしまいます。

②ステークホルダーとの信頼関係悪化

顧客、従業員、取引先といったステークホルダーとの長期的な信頼関係を軽視し、短期的な利益を優先する姿勢は、結果的にビジネス基盤そのものを不安定にすることにつながります。一度失った信頼を回復するには、長い時間と多大なコストが必要になってしまいます。

近視眼の詳しい解説 - なぜ人は短期思考に陥るのか

近視眼的思考が生まれる背景には、人間の心理的な特性と環境要因が複雑に絡み合っています。この現象を深く理解することで、より効果的な対策を講じることができるでしょう。

①心理的要因:不確実性への恐れと損失回避

人間には予測しやすい短期的なことを重視し、不確実性の高い未来のことを軽視する心理的傾向があります。これは、私たちの祖先が生存のために身につけた本能的な特性でもあります。

さらに、同じ金額であっても利益よりも損失の方を重く感じる「損失回避の傾向」も、近視眼的思考を強化します。長期的には大きなリターンが期待できる投資であっても、短期的な損失やリスクを過度に恐れてしまうのです。

例えば、新しい技術への投資は将来的には大きな競争優位をもたらす可能性がありますが、初期投資のコストや失敗のリスクに注目してしまい、機会を逃してしまうことがよくあります。

②認知バイアス:楽観的すぎる未来予測

多くの人は**「そのうち状況は好転するだろう」という根拠のない楽観的な見方**をしてしまいがちです。これは「自信過剰バイアス」と呼ばれる心理的傾向で、自分は他人よりも優れた判断ができると思い込む現象です。

この楽観的な予測により、現在の問題を先送りしたり、長期的な対策を怠ったりしてしまいます。「来期には市場が回復するから大丈夫」「競合の脅威はそれほど深刻ではない」といった思考パターンが典型的な例です。

③思考の限界:システム思考の不足

現代のビジネス環境は複雑で、さまざまな要素が相互に関連し合っています。しかし、多くの人は個別の事象に注目してしまい、全体像や要素間のつながりを見失いがちです。

システム思考とは、独立した事象に目を奪われることなく、各要素間の相互依存性や相互関連性に着目し、全体像とその動きを捉える思考方法です。この思考が不足していると、「この施策を実行したら、他の部門や長期的な戦略にどのような影響があるか」を十分に検討できなくなってしまいます。

近視眼を実務で避ける方法 - 長期視点を養う実践的アプローチ

近視眼的思考から脱却するためには、意識的に長期的な視点を持つ仕組みや習慣を構築することが重要です。以下に、実際のビジネスシーンで活用できる具体的な方法をご紹介します。

①戦略的思考フレームワークの活用

長期的な視点を維持するためには、体系的な思考フレームワークを活用することが効果的です。例えば、**5年後、10年後のあるべき姿から逆算して現在の施策を検討する「バックキャスティング思考」**や、**複数のシナリオを想定した「シナリオプランニング」**などが有効です。

また、意思決定の際には必ず「短期・中期・長期の影響」を整理する習慣をつけましょう。一つの施策について、1年後、3年後、5年後にどのような結果が予想されるかを具体的に検討することで、近視眼的な判断を避けることができます。

定期的な戦略見直しの機会を設けることも重要です。四半期ごとの業績レビューと併せて、長期戦略の進捗状況や環境変化への適応状況を確認する仕組みを作りましょう。

②多様な視点を取り入れる組織運営

個人の認知能力には限界があるため、組織として多様な視点を取り入れる仕組みを構築することが不可欠です。異なる部門、異なる経験を持つメンバーを意思決定プロセスに参加させることで、一人では気づけない長期的な影響や リスクを発見できます。

外部の専門家やアドバイザーの意見を定期的に聞く機会も設けましょう。社内にいると気づきにくい業界動向や技術革新の兆しを、第三者の視点から指摘してもらうことができます。

さらに、若手社員の意見も積極的に取り入れることをお勧めします。長期的な戦略の影響を最も受けるのは若い世代であり、彼らの視点は将来のビジネス環境を考える上で貴重な示唆を与えてくれます。

参考ページ

MBA経営辞書「近視眼」

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