キャンペーン終了まで

割引情報をチェック!

原則立脚型交渉とは?勝ち負けを超えた Win-Win の交渉術を身につけよう

投稿日:2025/07/22更新日:2025/08/19タイマーのアイコン 読了時間 6分

原則立脚型交渉とは、勝ち負けではなく全員が満足できる結果を目指す交渉手法です。創造的に価値を拡大し、長期的関係を築く現代的アプローチとして注目されています。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

原則立脚型交渉とは - 全員が勝者になる交渉の新しいカタチ

原則立脚型交渉とは、従来の「勝つか負けるか」という発想を根本から変え、交渉に関わる全ての人が満足できる結果を目指す交渉手法のことです。

この手法は、ハーバード大学交渉学研究所のロジャー・フィッシャーらによって提唱され、『ハーバード流交渉術』という名著で世界に広く知られるようになりました。一般的な交渉では「相手に勝つ」ことが目標になりがちですが、原則立脚型交渉では「みんなで一緒により良い結果を作り出す」ことを重視します。

この交渉スタイルの最大の特徴は、限られたパイを奪い合うのではなく、パイ自体を大きくするという考え方にあります。つまり、創意工夫によって全体の利益を拡大し、関係者全員がより多くの価値を得られるような解決策を見つけ出すことを目指すのです。

なぜ原則立脚型交渉が重要なのか - 現代ビジネスに欠かせない理由

①長期的な関係性を重視する時代の要請

現代のビジネス環境では、一度きりの取引よりも継続的なパートナーシップが重視されるようになっています。従来の「勝ち負け」を争う交渉では、負けた側に不満や恨みが残り、将来の関係に悪影響を与える可能性があります。

一方、原則立脚型交渉では双方が満足できる結果を目指すため、交渉後も良好な関係を維持できます。これは、長期的なビジネスの成功において極めて重要な要素となります。

②複雑化する課題への対応力

現在のビジネス課題は以前よりもはるかに複雑になっており、単純な妥協では解決できない問題が増えています。原則立脚型交渉では、問題を多角的に分析し、創造的な解決策を模索するため、こうした複雑な課題にも効果的に対応できます。

また、この手法を身につけることで、交渉相手との対立を避けながら、建設的な話し合いを進めることができるようになります。結果として、組織内外でのコミュニケーション能力も大幅に向上するのです。

原則立脚型交渉の詳しい解説 - 具体的な仕組みと手法を理解しよう

①立場駆け引き型交渉との根本的な違い

まず、従来の「立場駆け引き型交渉」と原則立脚型交渉の違いを明確にしましょう。

立場駆け引き型交渉では、各当事者が自分の立場を主張し、相手を説得したり圧力をかけたりして自分に有利な条件を引き出そうとします。この場合、一方が得をすれば他方が損をするという「ゼロサム」の関係になってしまいます。

これに対して原則立脚型交渉では、当事者同士が協力して問題解決に取り組む姿勢を重視します。相手を敵ではなくパートナーと捉え、一緒により良い解決策を見つけ出そうと努力するのです。

②複数争点の活用による Win-Win の実現

原則立脚型交渉の核心となるのが、単一争点を複数争点に展開するという考え方です。

例えば、給与交渉において「年収を上げてほしい」という単一争点だけで話し合うと、会社側は予算の制約から断るしかないかもしれません。しかし、これを複数争点に展開して考えてみると、年収以外にも「勤務時間の柔軟性」「研修機会の提供」「昇進のスピード」「福利厚生の充実」など、様々な要素があることが分かります。

このように争点を複数に広げることで、ある項目では会社が譲り、別の項目では従業員が譲るという形で、双方が満足できる合意点を見つけやすくなるのです。

③創造的な問題解決アプローチ

たとえ争点が単一であっても、原則立脚型交渉では創造性を発揮して新しい解決策を編み出すことを重視します。

例えば、納期に関する交渉において、発注側は「できるだけ早く」、受注側は「十分な時間がほしい」という対立があったとします。従来の交渉では、どちらかが妥協するしかありませんでした。

しかし原則立脚型交渉では、「なぜ早い納期が必要なのか」「なぜ時間がかかるのか」という根本的な理由を探ります。その結果、「部分納入による段階的な進行」「優先度の高い部分を先行して完成させる」「追加リソースの投入による短縮」といった創造的な解決策が生まれる可能性があります。

原則立脚型交渉を実務で活かす方法 - 実践的なアプローチを身につけよう

①社内会議での合意形成に活用する

原則立脚型交渉の手法は、社内の会議や企画検討でも大いに活用できます。

部門間で意見が対立した際、従来であれば声の大きい人や立場の強い人の意見が通ることが多かったかもしれません。しかし、原則立脚型の考え方を取り入れることで、「なぜその意見なのか」「本当に解決したい課題は何か」という根本部分から話し合いを始めることができます。

具体的には、まず各部門の真の利害や関心事を明確にし、その上でみんなが納得できる解決策を一緒に考えていきます。このプロセスを通じて、単なる妥協ではない、より良いアイデアが生まれることが多いのです。

②取引先との長期的なパートナーシップ構築

取引先との価格交渉や契約条件の調整においても、原則立脚型交渉は威力を発揮します。

従来の「安く買い叩く」「高く売りつける」という発想ではなく、「どうすればお互いにとって価値のある取引ができるか」を考えます。例えば、単純に価格を下げる代わりに、「長期契約による安定発注」「支払い条件の改善」「技術サポートの提供」「共同開発プロジェクトの実施」など、様々な価値を組み合わせた提案を行います。

このようなアプローチにより、単なる取引相手から戦略的なパートナーへと関係性を発展させることができ、長期的な競争優位性につながります。

③チーム内での対立解決とモチベーション向上

プロジェクトチーム内で意見の対立が生じた場合も、原則立脚型交渉の考え方が役立ちます。

**メンバー同士の対立を「敵対関係」ではなく「異なる視点を持つ仲間同士の建設的な議論」**として捉え直すことで、チーム全体のクリエイティビティを高めることができます。重要なのは、対立する意見の背後にある「なぜそう考えるのか」という理由や価値観を理解し合うことです。

この過程を通じて、チームメンバーは互いをより深く理解し、信頼関係が強化されます。結果として、チーム全体のモチベーションと成果の質が向上するのです。

参考ページ

MBA経営辞書「原則立脚型交渉」

  • GLOBIS学び放題×知見録

    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

関連動画

学びを深くする

記事に関連する、一緒に学ぶべき動画学習コースをまとめました。

関連記事

合わせて読みたい

一緒に読みたい、関連するトピックをまとめました。

サブスクリプション

学ぶ習慣が、
あなたを強くする

スキマ時間を使った動画学習で、効率的に仕事スキルをアップデート。

17,800本以上の
ビジネス動画が見放題

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

利用者の97%以上から
好評価をいただきました

スマホを眺める5分
学びの時間に。

まずは7日間無料
体験してみよう!!

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

新着記事

新着動画コース

10分以内の動画コース

再生回数の多い動画コース

コメントの多い動画コース