※この記事は、GLOBIS学び放題で配信中の『リーダーの挑戦』の中から、「能力開発」にまつわる一部の内容をご紹介するものです。
「何もわからなかった」家業再建の出発点
中川氏は2002年、富士通を経て家業である中川政七商店に入社した。経営知識ゼロの状態で直面したのは、赤字の事業と混乱した現場だった。
「もう本当に何も分かってなかったんで、家業に戻って目の前が赤字の事業でぐちゃぐちゃだったんで、生産管理も変えなきゃ、業務改善しなきゃ、みたいなことの度にそれに関する本を読んで翌日実践して、痛い目にあってまた繰り返して、みたいなことをやってました」
知識ゼロからの出発において、書籍による自己学習が最大の武器だった。中川氏は300冊にのぼるビジネス書を読み漁り、自社の課題ごとに該当する書籍を選び、実践と失敗を重ねながら知見を深めていった。
書籍が導く「体系理解」と意思決定力
中川氏が特に重視していたのが、「全体像の理解」である。
「全体を調べるのはインターネットでいいけど、体系的に3時間で知識を入れるのに本はめちゃめちゃ効率がいいですね」
セミナーなどの刺激的な学びもあるが、「体系理解」の面では書籍が圧倒的に優れているという。良書に出会うと、メモを取りながらの読書や要約作成を通じて、知識を単なる情報としてではなく、自分の中に再構築することを徹底していた。
実践と試行錯誤が生んだ独自の経営理論
読書だけではなく、その知識を「現場で試す」ことも中川氏の信条だった。
「実際に本に読んだものを実践してみて、必ずしもその通り行くわけじゃなかったりとか。特に人の関係とかって一番難しいんじゃないかと」
人材マネジメントに関しては、理論通りにいかない現実に直面。心理学の知見などは後年になってから取り入れたが、当初は「人の問題はある程度致し方なし」と割り切っていたという。
富士通で得たビジネスの基本
京都大学卒業後に入社した富士通での2年間の経験も、中川氏にとっては大きな基盤となった。
「やっぱり一般的な会社というものがどういう仕組みで動いていくのか、その基本はやっぱり富士通で知ったし、上司にも恵まれて、当時の部長の影響とかは多分受けてたと思いますね」
ビジネスマナー、権限規定、組織運営などの基礎が、後の経営に活きる力となった。クールな上司のもとで、リーダーシップや組織の機能を学んだことが、現場での指導力につながった。中川氏の原点には、厳しくも的確な指導と、そこで得た実務感覚があった。それは後に自らの意思で築いていく経営スタイルの礎となり、彼が長年にわたって挑戦を続ける上での確かな背骨となったのである。

※GLOBIS学び放題で配信中の『リーダーの挑戦』の中から、中川政七氏の「能力開発」にまつわる内容をご紹介しました。
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