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【速報】G1@Clubhouse㉒「日本社会の機会平等を担保する-その2)各課題解決の為の具体的行動」今村久美×安部敏樹×柳川範之×駒崎弘樹×堀義人

投稿日:2021/02/20更新日:2021/03/26

昨日、2月19日22:00 ~23:00に行われたG1@Clubhouse㉒の内容のポイントをご紹介します。

テーマと出演者

テーマ:「日本社会の機会平等を担保する-その2)各課題解決の為の具体的行動」。

出演者:今村久美(認定NPO法人カタリバ)、安部敏樹(一般社団法人リディラバ)、柳川範之(東京大学大学院経済学研究科教授)、駒崎弘樹(NPO法人フローレンス)、白井智子(NPO法人新公益連盟)、佐藤大吾(一般財団法人ジャパンギビング)、村田早耶香(NPO法人かものはしプロジェクト)、堀義人

発言のポイント

※上記出演者のご了解を得たうえで、記録、公開しています。

1)日本の格差や貧困について、どのような問題があると認識しているか

・現場では熾烈な風景を見ている。子ども2人のひとり親世帯が毎日パン1袋で生きていたり、川辺に住む方が野草を食べて飢えをしのいでいたり。日本でそんなことが起きていると、今はあまり共有されていないと感じる。一方で、テレビでは「コロナ怖い。ロックダウンしよう」なんて話になっていたりして、コロナでなく経済に殺される人が本当に出てくるという危機感がある。

・子ども支援の立場で難しいと感じるのが、相対的貧困という言葉で語られる問題だ。(相対的に恵まれた)友だちと自分の環境を比較しながら、自己肯定感の持ち方も分からないまま大人になっていく子どもが数多くいることは、言葉にしづらい貧困の1つの現象だと思う。

・勉強や努力で何かを勝ち取るという行動は、親御さんに愛してもらい、抱きしめてもらうことによって育まれる安心という土台のうえに成り立つ。それがない状態で人とつながっていくことは、その先にある努力の機会や能力に大きな影響をおよぼすと感じる。努力できる人になる、もっと手前のところで奪われているものがたくさんある、と。ただ、それは貧困の問題として語りづらい。むしろ「ちゃんとやれ」と叱られ、できないことがあれば「できない人」として扱われたまま大人になるのが現状だ。

・保育園の現場でも、ルールを守らなかったりして「困ったお母さん」と言われる人たちがいる。ただ、困ったお母さんは、困っているお母さん。サポートがなく、追い詰められたり孤立したりしていることが、困った行動として発露してしまう。だから困った方にこそ寄り添って話を聞かないといけないのに、社会的に疎外され続け、その結果、もっと困った人になるという連鎖がある。

・かつて不登校の子どもたちは国に無視され、「不登校というものはない」とされていた。そうした子どもの支援を、ときには国賊扱いをされながら続けてきた20年を経て、現在は教育機会確保法ができ、「そういう子どもたちを助けるべきだ」との方向へ社会が動いている。それで与えられた機会を生かし、今は教育や福祉の世界で活躍するような子も多い。やはり格差是正のためには機会を与えることが大事なのだと、改めて思う。

・日本では、学校教育法第一条に掲げられている要件をクリアした一条校に子どもを通わせる義務が、親にあった。お上が決めた学校に行かないのは悪い行為であり、それを擁護する人間は「子どもを甘やかし道を誤らせる国賊である」と。そんな考え方が長らく続いていたし、それで親も責められていた。

・離婚等さまざまな問題を抱え、子どもに望ましい教育環境を与えられない親御さんは多い。あるいは、親だからといって自動的に愛情が持てるわけではないということを、我々は現場で長らく突きつけられてきた。ただ、子どもは親を選ぶことができないから、セーフティネットで支えていく。今はそういうことを考えるべき局面に来ていると思う。

・警察庁のデータによると、国内における人身売買被害については、たとえばタイやフィリピンの人々が日本に連れてこられ、管理売春をさせられるようなケースが今までは多かった。ただ、数年前からはその被害者も日本人が最多となっている。虐待や暴力から逃れるためにオンラインで「神待ち」をした結果、監禁されて売春をさせられるといったこともある。公表されている数は多くはないが、暗数も多いと思う。

2)行政およびソーシャルセクターによるサポートの現状について

・コロナ禍をチャンスだと捉えて成長しているところと、危機に陥っているところで、ソーシャルセクター側も2極化していると感じる。歴史や知名度がある大手の団体や、困っている人をサポートしている“絵”が直接見えるような団体に支援が集中する面がある。

・高校や大学の無償化はすでに実現しているし、給付金や寄付金、あるいは奨学金の制度もある。ただ、困っている人ほどそうした制度を知らない。目に見えて困っている人はサポートしやすいが、困りきっている人は孤立して情報源もなくなっているので。ソーシャルセクターが向き合っているあらゆる問題に関して、潜在の困窮層にどうやってアウトリーチするかという課題があると思う。

・もっと困窮の実態が共有されなければいけないと感じる。生活者のさまざまな苦しみがソーシャルセクターの外にまで伝わっていない点について、ソーシャルセクター側も「外の人たちは分かってくれないのでは?」といった気持ちになっているのかもしれない。あるいは外の人々が、「俺たちだって昔は困っていたんだ」といった昭和おじさん的な話にしてしまうことで断絶が生まれているのか。

・教育を提供する側が、「機会の平等」と言いながら画一的な教育システムに乗ることを強要していなかったか。多様性を認めることで機会の平等を確保する必要がある。今はオンライン授業もあるわけで、物理的に通えなくても教育を受けられるなど、もっと多様性を認めることで、教育機会の平等が確保できる面がある。

3)今、日本のソーシャルセクターが求められていること

・課題を「発見」し、それを社会に発信するというイシューレイジングを担うソーシャルセクターが少なく、かつ脆弱だ。オバマ元大統領は、かつてシカゴのNPOで働いていた。各国で社会のリーダーがソーシャルセクターから輩出されている。翻って日本はどうか。自己反省的に述べると、ソーシャルセクターの2極化どころではない。全体がダメ。もっと強く大きくならないと政府に提言もできないし企業も巻き込めない。

・もっとビジネスセクターに踏み込むべき。ソーシャルセクターだけでやれることは、ちっぽけだ。今はどこまでいってもビジネスセクターがサポーター。そうではなく、主体になってもらう必要がある。

・今日、少年法の改正案が閣議決定された。18~19歳の厳罰化や実名報道を盛り込んだものだ。これは分断の1つの表れではないか。どんな環境の子どもたちが、どんな孤独のなかに生きてきた結果、犯罪に至っているのか。そこに想像力を働かせる方が政策をつくる側にいたら、本当に今回のような政策決定をしていたかなと思う。見たくないものを見ないよう、社会構造としても政策としても「ややこしい人たち」を排除しているように見える。

・格差や貧困の問題に対し、いち市民ができることは数多くあると信じている。数年前、「保育園落ちた。日本死ね」という投稿が爆発的に広まって政策が動くきっかけになったこともある。ことほど左様に人々の声は大きな力を持つから、萎えずに声を挙げ続けて欲しい。また、ソーシャルセクターと企業が一緒になって世の中に訴えられることはもっとあると思う。アメリカではNPOが理事に企業経験者を迎えている例は多いし、その逆もしかりだ。そんな風に垣根を超えて1つひとつ積み上げていきたい。

・政策等が当事者の声を反映していないように感じる。ユーザーの声をもっと聞いて、反映させていくことができないかと思うし、その点で、サポートすべき人々を行政等につないでいくのが我々の役割でもあると考えている。

G1@CH#22「日本社会の機会平等を担保する-その2)各課題解決の為の具体的行動」

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