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三角形の関係を増やすことが、あなたもまわりも幸せにする――『トリニティ組織』

投稿日:2025/09/25更新日:2025/09/25

「管理職になったら、働く人が幸せで生産性も上がる、そんな理想的な組織をつくりたいと意気込んでいた」

「だけど実際に管理職になった今、目の前の状況に対応するので精一杯」

「組織をつくるって、思っていた以上に難しい」

ふと、遠くを眺めて、このような物思いにふけっている自分がいることに気づいたときに、本書を手に取ってみてほしい。本書は働く人の幸せと生産性の共存を実現するために、もっとも重要なことは何かを示してくれる一冊だ。きっとあなたに希望をもたらしてくれるだろう。

人や組織の幸せに影響を与えるのは、人と人とのつながりの形だった

従来までは「何が幸せかは人それぞれ」であり、「幸せに決まった法則はない」という風潮が強かった。しかし、著者が超小型のウエアラブルセンサを開発し、個人に加えて、その人と関わり合う周囲の人との関係性に関する膨大なデータを分析した結果、ついに人や組織の幸せ・不幸せに決定的な影響を与える法則を発見したのである。

その法則とは、「よく会話をする相手」との人間関係の中で、「V字が多いと、不幸せになりやすい」、一方で「三角形が多いと、幸せになりやすい」というものだった。

V字とは、あなたがよく会話をするAさんとBさん同士には会話がない関係を指す。これが意味することは、あなたはAさんとBさんとはそれぞれ別の用事で繋がっている「用事」の関係と記載されている。
次に三角形とは、あなたとよく会話をするAさんとBさん同士にも会話がある関係を指す。つまり3人が「仲間同士」の関係といえる。

なぜ、V字が多いと不幸せになりやすいのか。理由は2つ。

  1. 区別や優先度の決定ばかりにエネルギーを費やしてしまうから
  2. 分割・板挟みになりやすく、落ち込んだり、憂鬱になったりしやすいから

例えば利害が異なるAさん、Bさんの要求に応えられないときには、どちらかを選び、その過程の中で調整をすることにエネルギーを割く必要がある。時にはネガティブな思いをすることもあり、疲弊が続くだろう。これが積み重なれば、不幸せになりやすい。

一方で三角形だとなぜ幸せになりやすいのか。私は本書を読んで3つだと理解した。

  1. 仲間が多ければ組織内で答えやヒントをもっている人にたどりつける確率が高まるため、問題解決能力が上がるから
  2. 周りが仲間ばかりだと心理的安全性が高まり、どう思われるかを気にせずに仕事に集中でき、パフォーマンスが高まるから
  3. 優先度の決定に悩む際や板挟みになる際に、2人が仲間であれば、協力してその時点における最善案を見つけ出すことができるから

例えば3であれば、その時はAさんを優先することになったとしても、Bさんも納得しやすく、「次はこちらを優先してね!」と気持ちの良いコミュニケーションになりやすいことが想像できるだろう。こうした環境であれば、心理的安全性が高まり、結束も高まりやすい。だからこそ、三角形の関係が多いと人や組織は幸せになりやすいのだ。

管理職が疲弊しやすい現代、全員の幸せと生産性は共存できるのか?

ここまでで、人や組織の幸せには三角形の関係性が重要であることはご理解いただけたと思う。
次に、幸せと生産性についてみていきたい。

現代は管理職が疲弊しやすい時代だと言われている。そのような時代において、三角形の関係性が多くなることは、管理職も含めた全員の幸せと生産性の共存に繋がるのだろうか。

筆者の結論としては繋がると考える。理由は2つ。

  1. チームメンバーにとっては管理職以外からも答えやヒントを得られるようになることで、ストレスなく仕事を進めやすくなるため。
  2. 管理職にとっても自身に業務が集中しない状況ができることで、心の余裕ができる。管理職の心に余裕が生まれると、組織の心理的安全性が高まるとともに、中長期のメンバーの成長を考えた業務アサインや有事のフォローがしやすくなるため

マネージャー育成事業を展開する株式会社EVeMが発表した「管理職の実態調査 2025」によると、管理職としてのお悩みのトップは「業務過多」だった。しかも、約8割が「今後の業務量の見直しは期待できない」と回答している。

メンバーの人間関係に三角形が多く、複数の相談先があれば、予定が空いていない上司の時間を苦慮して見つけることはなくなる。管理職にとっても自身に多くの業務が集中する状態から負荷が分散することで、メンバーの一人ひとりを見る時間をつくることができ、育成や組織づくりに注力することができるだろう。

かくいう私も今年から、マネジメントの一部の業務と新たなプロジェクトに参画することになった。従来と比べて、業務量も増え、業務内容も多様化したことで、自らの能力が追い付かない状況に陥ったことがあった。そのことを上長に相談したところ、上長とプロジェクトリーダーは仲間の関係であったため、私の業務量の最適化に向けて調整してくれた。それによって、私は心の余裕を取り戻し、また高いモチベーションで仕事に向かえるようになった。

「用事」の関係ではなく「仲間同士」の関係を、自分だけではなく組織の中にいかに増やしていけるかが、管理職も含めた組織で働く人たちの幸せと生産性の共存に繋がるのではないか。
私自身もこれから組織の中で三角形の関係を多くしていけるよう、周囲の人をより一層大切にしていく。


トリニティ組織: 人が幸せになり、生産性が上がる「三角形の法則」
著:矢野和男、平岡さつき 発行日:2025/07/11 価格:本体1980円 発行元:草思社

  • 荒木 貴之

    グロービス コーポレート・ソリューション・チーム シニアコンサルタント

    グロービス大阪のコーポレートソリューションチームにて、シニアコンサルタントとして、製造業を中心とした企業様の人材育成・組織能力開発の企画・運営・コンサルティング活動に従事している。チームのサブリーダーとして、部門運営の役割も担っている。経営戦略ファカルティにも所属。

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