「もっとデータを活用して業績を上げてほしい」――社内外からそんな要望や指示を受けたことがあるビジネスパーソンは、少なくないのではないでしょうか。一口に「データ」とは言っても何から始めたらよいのか。そもそも、データを活用する意義はどこにあるのか。そんな悩めるビジネスパーソンのために、Tableau Japan 株式会社でEnterprise営業部門長を務め、グロービス学び放題の「ビジネスでのデータ活用」にも出演する福島隆文氏にデータ活用の勘所を伺いました。
ビジネスパーソンがデータと向き合うことの必要性
リアルだけでは成り立たなくなっている現在のビジネス環境において、事業を拡大していくにあたり、インターネットは必要不可欠なものになりました。それに伴って、データの使い方にまで目を向けることが重要だと福島氏は語ります。
「ビジネスを拡大していくためにはインターネットを駆使する必要があります。そうすると、データが自然に取れていきます。でもそのデータは散在している状態なので、それらを全体で捉え、いかにして分析に役立てていくかが大事なんです。それができている企業はやはり業績を伸ばしています」
クラウドサービスの普及もあり、企業が保有するデータは膨大かつ散在している状態です。それらを全体で捉えられないということは、宝を捨てながら旧来の手法でしかビジネスをできないのと同じなのです。
当然、データを活用できる成長企業には自然といい人材が集まるという現実がある以上、採用面の競争力強化においてもデータ活用が重要である、と福島氏は力を込めて語ります。
データ活用の鍵は外部分析にあり
データを活用すること、さらに言えば分析をして戦略設計に役立て、実行するというサイクルを回していく人材には、それなりのスキルと知見が求められます。
企業にとって、そのような人材を確保したり社内で育てたりしていくことは、なかなか難しい課題ではないでしょうか。また、それを実現するためには、どのような視点が必要なのでしょうか。
「ひとつは外を見ること。ビジネスを回していくと、近視眼的になりますが、競争力を常に高く持つためには外部環境の理解が重要です。特に、今はいないけれど数年後に競合が出てきそうな領域において、企業が何をしているか見ておかなくてはいけません。そうすると自然と他社がどういうレベルで何を維持しているか、どういうスキルを磨いているか、どういう素質のある人間を得ているかがわかります」
定量的データだけではなく、場合によっては直接のインタビューなど定性的なデータも活用している、と答える福島氏。同業種だけではなく異業種との連携にも注目しながら、外部環境を見ていくことが重要です。
さらに福島氏は、同時に「データ活用人材を社内で育てること」の限界についても触れています。
「どういう人間が必要で、どう育てていくかを考えないといけない。そういうモデルはまだないので、社内から考えていかないといけないんです。でも、『今いないものを社内で創りだす』と芸がない、結局先に行けない、という壁にあたります。つまり、何かをリードするということは『誰もやっていないことを創りながらやっていく』という考えを根底に持ち、社内人材だけにこだわらないことが重要なんです」
福島氏が語るように、データ活用人材育成に戦略的に取り組んでいくにあたっても、外部環境を見ることが重要になります。人材開発を考える起点は「社内」であったとしても、育成の視点は外部に置いて実践を重ねていくのです。
データ活用は身近なことから始められる
データを活用していくにはデータだけを見るのではなく、外部要因の分析、データ活用人材を育てることも必要です。単純に目の前のデータだけに向かうのではなく、より広い視点でビジネス全体を捉えていくことが重要なのです。
「データ活用はまったく恐くありません。身近なところから始められることなんです。恐らくもうあと何年かすると、ビッグデータを全く恐れずに取り扱えるようにならないと、ビジネスパーソンとしてバリューを発揮しづらくなっていきます。それはAIやクラウドなどテクノロジーの進歩の速度を見ても明らかです。勝ち抜いていくためには、まず身近なことからやっていくことが重要なんです」
なんとなく「ハードルの高いもの」「コストのかかるもの」と考えがちなデータ活用ですが、これからのビジネスにおいて避けては通れないものです。ならば、自分のものにするしかありません。
福島氏が講師を務める「ビジネスでのデータ活用」コースでは、データ活用の意義に始まり、データを元に分析されたファクトを語っていく「データ・ストーリーテリング」の考え方まで実践的な手法を学べます。ぜひデータ活用時代のビジネススキルを学習してみましょう。