都道府県や政令市が発売している宝くじの売上額が年々減少し、2017年は前年度比6.9%減の7866億円になったというニュースが先日総務省から発表されました。時事通信によると、前年度を下回るのは2年連続で、1997年度以来、20年ぶりに7000億円台に落ち込んだということです。2005年度には1兆1047億円もあった売り上げの減少傾向に歯止めがかかっていないようです。
宝くじは地方自治体にとって大切な財源なので、売上の減少に歯止めをかけるべく総務省に宝くじ活性化検討会が発足し、様々な対策が考えられています。このような問題解決の際に大切なのは、打ち手を考える前に、売上減少の原因を考えることです。この原因と結果、すなわち「因果関係」を考察するプロセスを飛ばしていきなり打ち手を実行してしまうと、原因とは関係のない打ち手を選択してしまう可能性が高まり、努力が無駄になりかねません。
因果関係とは
さて、この因果関係とは、ある物事の結果が原因と繋がっていることを指します。因果関係が成立するには、以下のような条件が必要です。
- 時間的な順序が正しい
- 相関関係がある
- 第三因子がない
動画で詳しく見てみましょう。
宝くじの売上減少に関しては、多くの有識者のコメント、マスコミの記事などで原因が推測されています。例えば、「個人平均年収の低下が原因なのでは?」「販売窓口の減少で購入できない人が増えたのでは?」「少額投資非課税制度NISAが始まり、宝くじよりは確実性が高い投資に購買層が取られてしまったのでは?」などです。
因果関係を考える時によく起こる間違い
直感で判断する
因果関係を考える際にありがちなのは、1つには、直感で判断をしがちなことです。例えば、「収入が落ちたら宝くじを買う余裕がなくなるよね」と言う人がいたとします。それを聞いて、そういえば友人も「ボーナスが減ったから宝くじを買うのをやめよう」と言っていた等の身近な例を思い出して、「合っているのでは?」と決めつけるといった具合です。ですが、調査して確認しない限り、因果関係があるとは言えません。
因果の取り違え
また、因果の取り違えもよくあります。「宝くじ売り場が減ってしまったので、購入できなくなったのでは?」という場合、宝くじの売上が減少しているので、売り場が縮小されている、というように実は原因と結果の関係が逆という可能性があります。
他にも、大安吉日の日に買うと当選確率が高まるなど、因果関係を誤認させるような表現は一般的によくありがちです。その認識を持っておくと、誤った選択を防ぐことができるので、皆さんも日ごろ意識しておくといいですね。