『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』――1to1マーケティングの仕組みを知ろう 

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近年、ITの技術革新に伴い、マーケティングの手法も劇的に進化している。あなたは潜在顧客として、「何を知っているのか」「何に興味があるのか」「何にどんな印象を抱いているのか」が売り手側に分析され、自動化されたプログラム(マーケティングオートメーション)によって、まるでベルトコンベアーに乗るように少しずつ買い物をする方向へと導かれている――そう聞いたら、一体どんな仕組みによって自分は購買へと知らずに導かれているのか、興味が沸かないだろうか?

本書は元電通マンがマーケター向けに書いた実践的な書籍だが、私はこの本をひとりの消費者の目線で読むことをお勧めしたい。例えばクルマを購入するとしよう。何の前触れもなくある日「これを買います!」と言って販売店に行き特定の車種を指定しその場で購入する人はまずいないだろう。多くの人は「そろそろクルマを買い換えようかな」という不確かな購買意欲から始まり、やがてふと流れているTVのCMをいつもより注意深く見たり、「人気」「燃費」「SUV」など気になるキーワードで検索したり、たまたま目にしたバナー広告をクリックして自動車メーカーのサイトに訪れたりする。やがては複数の車種を念入りに検討の上、ディーラーでの試乗や、営業パーソンからの詳細な説明を受け、最終的には「今の自分が買いたいのはこれだ!」という確信のもとで購買に至る。

こうした私たち消費者の意思決定のスタートからゴールまでの流れは今も昔も変わらない。いわゆる”AIDMA”という古典的フレームワークで説明されるそれである。ただし、昔に比べて違うのは、消費者ひとりひとりの状態に合わせて、その人のその瞬間に合致したコミュニケーションを売り手側が仕掛けてきていることである。これを、従来型のマスマーケティングに対して「1to1マーケティング(エンゲージメントマーケティング)」と呼んでいる。売り手側は、私たち消費者の行動(検索履歴、自社ウェブサイト訪問、閲覧時間、カタログ請求、試乗会申し込みなど)に応じて「今」欲しい情報をコンテンツとして作り込み、的確なタイミングで届けることができる。

本書はこれをいかにして仕掛けていくか(カスタマージャーニーを描き、マーケティングオートメーションに落とし込む)の具体的方法を述べているが、普段仕掛けられる側の私たち消費者としても、こうした手法を知っておけば、「今、自分がどんな状態だと売り手側に分析されているのか」を認知することができて面白い。

実際、ネットを通じて情報を収集する頻度が高まっている昨今においては、1to1マーケティングの仕組みを理解している方が、賢く買い物ができるかもしれない。「ああ、今自分はカスタマージャーニーのこのあたりか」とか、「自分はおそらくペルソナど真ん中だな」などと呟けるようになれば、あなたも一流の消費者(?)である。

また、1to1マーケティングが有効なシーンはなにも自動車や家電のような実用品にとどまらない。温泉街の町おこし、リゾート施設への誘客、健康食品のプロモーション、マンションの販売、大学の学生募集、企業の人材採用など、さまざまなシーンで活用されている。こう幅広く捉えると、あなたも消費者ではなく、いつか仕掛ける側に回ることがあるかもしれない。そんな時は本書を手に取り、世の中の潜在顧客が最後は自分たちのファンになってくれるような、精緻なシナリオを描いて、ぜひそれをマーケティングプランに落とし込み実践してみてほしい。

『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』
小川 共和(著)クロスメディア・マーケティング(インプレス)
1,706円

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