なぜセブンイレブンは全国展開していなかったのか?密度の経済性で考える 

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先日、沖縄県の地元企業グループがコンビニ大手「セブン-イレブン」のフランチャイズ店を来年(2019年)夏頃から展開する意向を表明した、と沖縄タイムスが報じました。セブンイレブンは5年間で約250店舗の県内での展開計画を発表しています。

同社は1974年5月の日本1号店オープンから、これまで46都道府県に店舗を展開し、その店舗数は2万を超えています。ようやく全都道府県を網羅する区切りの良さと、競合に遅れまだ未展開の県があった意外性が話題となりました。

なぜコンビニ業界最大手のセブンイレブンが、これまで沖縄県に店舗を出店しなかったのでしょうか。ビジネスでどの地域に事業展開や店舗出店を行うべきかを考える際に、忘れてはいけない視点が「密度の経済性」です。

■密度の経済性とは(視聴時間:46秒)


密度の経済性は、一つの地域に店舗や物流センターを集中配置することで、物流や広告などのコストが削減できることです。限られた地域への集中出店でコスト面の優位を作り、自社が競合を圧倒する地域を構築することを、「ドミナント方式」と呼びます。セブンイレブンは、競合が幅広く全国展開する中で、逆に出店先を絞り込んで順にドミナント方式を実現し、それぞれの地域で競合に勝る売上と利益を実現してきたのです。

展開エリアを考える際には、地域の需要や競合状況など、売上に関する市場分析も必要です。それに加えて、「密度を高める」ことで強みを作ることができれば、競合との差別化に役立ちます。密度の経済性はコスト優位を生み、それを原資にした差別化された商品開発や強力な販促への投資ができます。さらに、市場を絞りそこに集中することで、より多くの消費データから地域のニーズを誰よりも深く学習することもできるのです。

ただし、密度の経済性を重視しすぎれば、近すぎる距離で自社の店舗同士が共食いすることになり、結果的にどの店も売上が伸び悩むことがあります。特に、今後多くの地域で人口減少が見込まれる国内市場を考える際には、こうした意図しなかったカニバリゼーションの増加に注意する必要があるでしょう。

さらに、密度の経済性の成功には、条件に合う立地に絞った選択的出店が必須です。店舗開拓では、市場に出ている不動産物件は限られ、フランチャイズオーナーが保有する物件ありきの意向を無視できないなど、制約が多くあります。しかし、こうした外部条件に合わせ過ぎると密度の経済性は十分に実現できないため、企業として強いスタンスで臨む必要があります。実際にセブンイレブンの場合、フランチャイズであっても、新しい店舗立地を自社が用意するなど、出店立地は本部が戦略に従って判断するとされています。

そして、そのような本部主導の出店戦略を可能にするのが、ドミナント方式の成功により各地で蓄積した、店舗の成功ノウハウとその仕組み化です。どの立地なら成功するのか、どの商品がどの地域でヒットするか、どのように店舗運営すれば利益が最大化できるか。こうした暗黙知を新店舗でも再現できる仕組みがあることで、フランチャイズ先もその成果を期待し指導に従います。セブンイレブンの場合、同社が莫大なIT投資を続け、データに基づき日販を最大化する強力なノウハウを持つことはよく知られています。


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