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ビジネスデザイン・ロードマップで新たな事業を創造する

投稿日:2018/06/14更新日:2019/08/08

前回のコラムでは、ビジネスデザインとは、The Long And Winding Road(長く曲がりくねった道)であり、行ったり来たりする双六(すごろく)のようなものとお伝えしました。今回は、その道のりにある7つのゾーンを示します。

ビジネスデザイン・ロードマップの目的

ビジネスデザイン・ロードマップを描く目的は、端的に言うと「アイデアをアイデアのまま終わらせずビジネスとして成立する形に仕上げること」です。アイデアは、一部の天才だけのものでもなく、ましてや夜中に降りてくるものでもなく、日常生活のいたるところに潜んでいます。例えば社内での雑談、異業種の人たちとの情報交換、気の許せる仲間との飲み会など。面白い・新しいアイデアに対して「それいいねー!あったらいいねー!やろうやろう!」と盛り上がることが少なからずあるはずです。ただし、ほとんどの場合において、その場で消えてしまいスタートラインに立つことがないのです。

消えてしまう理由の多くは、「やり方が分からない」であり、本コラムを書いている目的でもあります。もう1つの理由に、「誰も引き取れない問題」があります。やりたいが、現在の立場では自社に提案できない、ビジネス領域が違いすぎる、などの理由でアイデアがフェードアウトするのです。しかし、働き方が変化してパラレルキャリアが一般的になったり、意図して「引き取れる人」との交友関係を持つことによって、今後は対処できる可能性もあります。

もちろん多くはその場のノリで出たアイデアかもしれませんが、中には検討ステージに移行すれば、ビジネスとして大成するアイデアも含まれています。Amazon.comの創業前、ジェフ・ベゾスが友人とカフェで雑談しながら紙ナプキンにメモをしたアイデアが実際に現在のビジネスに成長しているのは有名な話です。

新規性のあるアイデアが趣味の世界や個人の生活の範囲内のものであれば、特段検討ステージに移行する必要はないでしょう。ビジネスとして成立させたかったら、クリエイティブなアイデアという芽を、社会にとって価値がある状態に仕組みとともに育て上げなければなりません。そこまでできて初めてイノベーションと呼ぶのでしょう。ビジネスデザイン・ロードマップの役割は、アイデアをイノベーションというゴールに辿り着かせるための道標なのです。

ビジネスロードマップ
ビジネスデザイン・ロードマップを構成する7つのゾーン:Seven Islands

ロードマップは7つのゾーン(Seven Islands)からなり、1つのゾーンは、各ゾーンで検討すべきステップや要素があります。考えるべき大きな問いは以下の通りです。

コンポーネント1Vision:未来のマクロ環境に対し、我々はどうあるべきか?
2)
Idea:満たされていない隙間やツボはどこか?
3)
Concept:誰にどのような価値を提供するのか?
4)
Prototype:実際どのような特徴があり顧客はどう感じるのか?
5)
Business model:社会に価値を届けるための仕組みは?
6)
Strategy & Story:どのように市場と向き合い、顧客の行動を変えるのか?
7)
Planning & Execution:世に出すことを納得してもらうために何を伝えるべきか?

スタートは、必ずゾーン1からではなく、既にアイデアが存在している場合にはゾーン2からスタートし、各ゾーンを行ったり来たり、戻ったりすることになります。例えば、ゾーン6のStrategy & Storyを検討する際に、なかなか前に進まない場合などは、Visionに戻って「そもそも我々はどうしたいのか?」を問い直したり、Conceptに戻って「拠り所とすべき、我々の提供価値は何か?」を確認します。場合によっては一度決めたConceptを修正することも出てくるでしょう。

持っておきたいスタンス:疑心暗鬼・優柔不断・臨機応変

ビジネスデザイン・ロードマップで新たなビジネスを創造する際には、次の3つのスタンスを持っておくべきでしょう。

1)疑心暗鬼
これまでの常識や過去のルールに囚われず、未来の環境について「これではまだ十分ではない」とポジティブな疑心暗鬼になることです。現場で得られる一次情報や、他に入手できる二次情報などできるだけ情報量を増やすようにしましょう。

2)優柔不断
迷えるほどのオプションを持っておくことが、良いアイデアを多く残すために必要なことです。少ないオプションから決め打ちをせず、「拡散と収束」を複数回繰り返しましょう。拡げる際には「Yes, but…」と否定せずに、「Yes, and...」と1つのアイデアに対してアイデアを乗せていくことが大事です。

3)臨機応変
これまでの主流は計画型・意図的戦略で、当初計画したゴールに向けて(多少ズレてきているのは知りながらも)忠実に実行していく戦い方でした。しかし、実際は一旦計画した戦略は往々にしてズレが生じるものです。将来を100%予見することは不可能なので、走りながら現場から学習し、新たな戦略を考えるという創発型戦略が求められます。先の見通しにズレが起こりにくい事業の場合は計画型が適しているでしょう。加えて、前述した「迷えるほどのオプション」を手元に持った上で、周囲の環境に応じてオプションを選ぶ(あるいは選び直す)柔軟性を意識しましょう。

次回以降は、ビジネスデザイン・ロードマップの各ゾーンの構成要素と考えるべきポイントについて詳細を示していきます。

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  • 長尾 景紀

    グロービス経営大学院 教員

    早稲田大学大学院商学研究科修了(Technology Management) 大手広告会社にて、流通・食品業界のマーケティングを経験後、新規事業のビジネスモデル構築を行う。その後、研究開発型ベンチャーに参画(COO)し、食品保存技術の研究開発、特許戦略、チャネル構築、資本政策、など企業経営に携わる。同時にグループ企業において飲食店、ワインスクールの経営も行う。その後はグロービスに参画し、企業の人材育成支援、大学院の教材開発、講師の育成に従事し、経営大学院においては、経営戦略・マーケティング・デザインシンキング・ベンチャー戦略領域の講座を担当。 現在は、株式会社Naked Bulbの代表取締役として、新規事業・スタートアップのコンサルティング、エンジェル投資家としてスタートアップのインキュベーション事業を展開する。

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