コインランドリーにシェア自転車、コンビニが多角化する理由を範囲の経済性で考える 

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最近、大手コンビニチェーンが新しいサービスに参入するというニュースが相次ぎました。最大手のセブン-イレブン・ジャパンは、既に一部のエリアで提供している自転車シェアリングを全国的に展開すると発表。店舗の駐車場内に、シェア自転車の駐輪・返却スペースを設置するというのです。またファミリーマートは、コンビニ併設型のコインランドリー事業を開始すると発表した翌週に、やはり店舗併設型の24時間フィットネス・ジムの計画を発表し、話題をまきました。

こうした動きは、「範囲の経済性」というコンセプトで説明できます。範囲の経済性とは一般に、自社が持っている経営資源を他の事業と共有すると、その事業を単独で行う場合よりも単位当たりで低いコストを実現できることを指します。

■範囲の経済性とは(視聴時間:44秒)

今回の動きに当てはめてみると、「共有できる経営資源」の筆頭は既存の店舗用地でしょう。シェア自転車のステーションにしてもコインランドリーにしても、一定の立地条件を満たす拠点を数百規模で確保しようとすればかなりのコストと時間がかかりそうですが、その点コンビニチェーンであれば既存の店舗網の中から適する場所を探せばよいのですから、相当の効率化となるでしょう。用地獲得コストだけでなく賃借料や維持費といったランニングコストもコンビニ本来の小売ビジネスと共有できるので、それ専門の店舗網を展開する場合より安く済む可能性は高いと言えます。

もともと、コンビニのサービスは、範囲の経済性を活かした多角化の歴史でもありました。シンプルな日用品・食品の小売を母体としつつ、コピー、公共料金の収納、宅配便の受渡、DPE、チケット発行、銀行ATM…という具合に、次々とラインアップを増やしてきたことは皆さんご承知のとおりです。

ただ、これまで上記のサービス多角化で共有していた経営資源は、情報システムや「24時間、ある程度以上複雑な接客(あるいは店内に置かれた端末機の保守管理)のできる店員が準備している状態」だったわけですが、今回の流れは「好立地のスペース」に焦点が移っているように見えます。人手不足と言われる昨今の環境を反映しているようで興味深いです。

さて、ここまでですと「範囲の経済性」は良いことずくめに見えるかもしれませんが、資源を共有できるサービスラインを増やせば常に成功かというと、そうとは限りません。ある資源を共有してコスト削減できたとしても別の部分で追加コストが増大してしまったり、売上を打ち消しあったりする可能性もあります。また、共有する資源が競争優位性になりうるかも重要な視点です。

今回の例でいえば、仮にコインランドリー事業において、競合企業だけがとても便利な洗濯・乾燥機を有していて、いくら立地がよくてもかなわないという状況だとしたら、せっかくの範囲の経済性も効きません。こうした不経済を避けつつ、これからのコンビニにどんな新しいサービスが生まれてくるでしょうか。楽しみですね。

 

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