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チャットGPT、生成AIの登場で経営戦略はどう変わる?~安宅和人×松尾豊×上野山勝也

投稿日:2023/07/20更新日:2023/12/13

【この動画の要約記事はこちら】
安宅和人氏×松尾豊氏×上野山勝也氏、生成AIで変わる、日本の価値創造の現場

G1ベンチャー2023
第8部全体会「世界で勝てるテクノベート経営~Chat GPT等を活用した新たな経営戦略の方法論~」
(2023年6月11日/グロービス経営大学院 東京校)

「世界で勝てるテクノベート経営~Generative AI等の活用~」を統一テーマとしてテクノロジーと経営の進化をあらゆる側面から深堀した今年のG1ベンチャー。ChatGPT等のGenerative AIは、これからの企業経営をどのように変え、企業は新たなテクノロジーをどのように活用することで競争力を得ることが出来るのか。最後の全体会は、AI時代における新たな経営戦略を考える。(肩書きは2023年6月11日登壇当時のもの)

00:21 3か月前にG1サミットで議論して以降の雑感

(関連動画 チャットGPTは何がすごい?今後、何が起きる?~安宅和人×松尾豊×平野未来×上野山勝也【ChatGPT】)

-文科省の指針や東京大学の声明、AI戦略会議が出来て議論が始まったり、G7でも広島AIプロセスが始動したりと、2カ月の間でこれだけのことが起こった。
-LLMを知らない人はいない時代が来た。ChatGPTはTwitterと利用時間は変わらないので、巨大メディアの登場とも言える。異常なスピードで、単一のものがどんどん出てきている。本当に今、歴史的な瞬間を生きている。Apple Vision Proも登場した。

03:46 経営において、今の環境をどう認識すべきか。どこからどう変わっていくか?

-文章の生成やブレストはやりやすい。RPAなど社内業務が相当自動化出来てくる。
-LLMは将来何レイヤーになる?ひとつになる?複数になる?
-ハルシネーションみたいなものは、1年後ほとんど気にならなくなる。旧来のマシンラーニング、ディープラーニングの登場によって言語の壁がほぼなくなっているし、ディフュージョンモデルが出て画像・音楽も出来てたところで、LLMがやってきて、ロボティクスと繋がろうとしている。この4+1で考えないと理解できない。LLMだけ見ていると、転ぶことになる。産業の話で言うと、ハードを中心としたオールドエコノミー、データワールドで生きているニューエコノミー、テスラやUberのようなリアルワールドをサイバーの力で確信していく第三勢力がある。これらを一緒くたに議論するのは危険。いずれにしてもLLMはホワイトカラーの仕事をアシストすることは確実。ただ本当の問題は、多くの人が自分の仕事がなくなるんじゃないかとい議論しているのが問題。どのように新しい未来を作っていくのかという議論に寄せるべき。
-ほとんどの付加価値業務は、PDCA速度みたいなもの。だが生成AIを積極的に使う企業と、危険だと思いブレーキがかかる企業がいる。何がストッパーになっているのか。
-メンタリティがあるのではないか。松尾研でも学生は新しいものを持ってくるし、香川県三豊市でもゴミ出し案内のGPTをリリースできた。

12:56 既に人間は「雇用慣習」と「人事制度」というアルゴリズムによって、行動変容が起こっているのではないか。

-日本は法律よりも空気の方が重い国。法律でやれてもやらないことが、最大の重しになっている。
-これだけ1年で動きが早い中で、予算を計画するのは無理。大学も国も1年の予算で動いていて、これに全く合っていない。
-結果でコントロールしない社会が元凶。チェックリストにチェックがついていたらOKという発想ではダメ。
-上場社長がAIになることをヤフー小澤氏が言っていたし、シリコンバレーでは既に社長がChatGPTです、とピッチして資金調達が完了している会社が出ている。人事制度や1on1をAIがやると、相互作用が生まれる可能性があるのではないか。

18:44 技術的観点で、GPTの限界や今後どう変わるのか -今の大規模化がどこまで行くのか。それに伴ってデータも必要になるし、どこまで精度が上がるのか。何らかの技術的な突破が必要になる。

-現実世界を操作するリスクについて。制御不能になるというのは、過剰に心配し過ぎだと思う。デジタル上の行動だけでもできるようになると、相当インパクトは大きい。

21:30 OpenAIはAGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)が目的で、これを世の中が良くなると話している。

-既にAGIに近づいている。ただ生物的な意思のようなものは人間特異的なもの。この数カ月で多くの人が気付いたことは、LLMやAIを使い倒そうとするとそれ相応の能力が必要になるということ。人間でも頻繁に間違える。だから、機械の時にだけ文句を言うのはやめて欲しい。
-人間の知能はある種のアルゴリズム。そこが解明されれば、それを工学的に実現することは可能。ただ現状の技術と人間の知能は、まだ少し差がある。そのことと、人間の人間らしさみたいなことは別の話。
-ヒトの脳は、未解決な問題がたくさんある。どうやって動いているのか、まだわかっていない。どう神経回路が発達しているのかもわからない。
-色々感じて新しいアイディアやコンセプトを言語化することは、重要な知的活動。LLMでは出来ないこと。我々がやっていることの深さは、かなり広い。完全にLLMが人間に置き換わるというのは安易すぎる。

31:53 我々は何が出来るのか、何をすべきなのか

-日本がそもそも、戦略を作って世界に勝ったことがない。スタートアップが頑張って大きくなったことはあるが、国が何かやって大きくなったことは基本的にあまりない。計算リソースは要なので、国全体でレベルアップしてやっていくべき。あとはみんなで頑張ってやっていくしかない。
-日本が目指すのは、AIを使って応用すること。AIを使う会社の側でもあり、作ると使うの融合体が重要。AIを支える側も、日本は今まじめにやっていない。AIで世界で勝つ前にやることがたくさんある。その上で方向性としては、AI For Realが日本の勝ち筋になるのではないか。

36:48 質疑応答①「どこまでの会社が日本において独自のLLMを作るべきか」

-バーティカルがどのくらい成立するのか、個社ごとのLLMがどのくらい進んでくるのかにもよる。パブリックじゃないデータで学習させて精度が結構上がるなら、自社で作る意味も大きい。ただ計算リソースで膨大にお金がかかる。
-1個ボトルネックがあって、日本は異常に電気代が高い。この問題を何とかしないといけない。7~8年までの実績値で、アメリカのデータセンターと日本では産業用電気代が5~10倍の差がある。

41:22 質疑応答②「AIを使う側の会社は、どのようなバックグラウンドの人材を採用すべきか」「生成系AIの普及に伴う、プライバシーポリシーを守るための規制の設定方法」

-人材について。生成系AIは新規参入しやすい。あまり気負わずに、人材登用したら良いのではないか。学生や新卒、経験のない社員がチャレンジしても通用する。規制について。ヨーロッパで今規制作りがされていてその動向やアメリカの動向も見ながら、逸脱しないようにやっていくべき。
-人材について。推奨として見たら良いのは、スペースXとテスラのジョブポスティング。ここに書いてあることが、未来の人材の基本。そこはそんなに心配はいらない。意図的に採った方が良いと思うのは、色んな領域を繋いで何かを仕掛けようとする、長いものに巻かれていないタイプの人材。規制について。あまり激しくかけない方がいいと思っているが、人命・人の尊厳にかかわるところはレギュレーションをかけないといけない。

47:48 AI時代の教育 子どもに何を学ばせるべきか

-今の教育は、評価学習が効く人には良いものになっている。効かない人に対しては一人ひとりにハマるポイントを見つけてあげて、そこに対してコンテンツを提供することが重要。
-ひとつはデータ・AIの力を解き放つ力。その上で、決まった答えがあるケースで、正確な答えを出す重要性は急激に低くなっている。むしろ答える力より、問う力を育てることが重要。じんりぃが今抱えている最大の問題は、AIよりも地球との共存。問題と新しい技術を繋ぎ合わせて考えることが猛烈に重要。分離・分断の時代は終わった。両方に軸足があった方が、未来を見出せる。

52:14 この不確実な世界で、何をやっていきたいか。

-想像もしてないところに一番大きな アプリケーション変化が起きるんじゃないかなと常に思っている。
-競合優位を考えると、他の人たちができないことをやるか、うまくやるか、早くやるか。日本の芸風は、うまくやる、もしくは早くやる。うまくやっているうちにマーケットシェイパーになっている、ということが起きるのではないか。

  • 安宅 和人

    慶應義塾大学 環境情報学部 教授/LINEヤフー株式会社 シニアストラテジスト

    マッキンゼーにて11年間、幅広い商品・事業開発、ブランド再生に携わった後、 2008年からヤフー、2012年より10年間CSOを務め、2022年よりZホールディングス シニアストラテジスト。2016年より慶應義塾SFCで教え、2018年秋より現職。総合科学技術イノベーション会議(CSTI)専門委員、教育未来創造会議 委員、新AI戦略検討会議委員ほか公職多数。データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長。一般社団法人 残すに値する未来 代表。イェール大学脳神経科学PhD。著書に『イシューからはじめよ』(英治出版)、『シン・ニホン』(NewsPicks)ほか
  • 松尾 豊

    東京大学大学院工学系研究科 教授

    2002年東京大学大学院工学系研究科電子情報工学博士課程修了。博士(工学)。産業技術総合研究所研究員、スタンフォード大学客員研究員を経て、2007年より東京大学大学院工学系研究科准教授。2019年より同教授。専門分野は、人工知能、深層学習、ウェブマイニング。2020-2022年、人工知能学会理事。2017年より日本ディープラーニング協会理事長。2019年よりソフトバンクグループ社外取締役。2021年より新しい資本主義実現会議 有識者構成員。2023年よりAI戦略会議座長。

モデレーター

  • 上野山 勝也

    株式会社PKSHA Technology 代表取締役

    未来のソフトウエアの研究開発と社会実装をライフワークとし、人と共進化 / 対話をする多様なAIアシスタントを創業以来累計約2600社に導入。 ボストン コンサルティング グループ、グリー・インターナショナルを経て、東京大学松尾研究室にて博士(機械学習)取得後、2012年PKSHATechnologyを創業。 内閣官房デジタル行財政改革会議構成員、内閣官房デジタル市場競争会議構成員、デジタル庁参与等の公務に従事し、社会におけるAI / ソフトウエアの在り方を検討。

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