G1サミット2023
第2部全体会E「世界に積極的に貢献する日本~デジタル/アカデミック編~」
(2023年3月18日開催/北海道ルスツリゾート)
世界が歴史的な転換点を迎えている中で、テクノロジーは凄まじいスピードでさらに進化している。ChatGPTをはじめとしたGenerativeAIの登場はさらにその変化のスピードを加速するだろう。激しく進化し、変化する時代にあって、デジタル、グリーンといった分野で日本が世界に貢献していくことはこれからの肝となるだろう。そうしたイノベーションを起こす日本のアカデミックの最新潮流を俯瞰する。(肩書きは2023年3月18日登壇当時のもの)
01:13 デジタルとアカデミックに対する意見
-(宮田氏)何よりも語らなければいけないのは生成型AI。今までの知識を編集するようなコストは圧倒的に変わった。学び方と働き方が根本的に変わる。今の受験勉強はやっている場合ではない。問いを立てる力が必要になる。日本の教育そのものを早く変えないといけない。GoogleやMetaが滞在時間最大化モデルでお金を生み出すことによって生まれたのが、分断。データを共有して未来を創っていくことに価値があるのではないか。
-(秋山氏)GAFAMを使う側に回ってしまった日本。後発だからこそまだ出来ることがあるのではないかということか。
-(宮田氏)日本は高度経済成長期で成長しすぎたことにより手詰まりになっていた。アメリカ・中国でも同じことが起きる可能性がある。そのときに日本が描く未来が見せられるかどうかが大事。
07:25 東大が世界のトップ50から落ちた。日本として、アカデミックで世界にどう貢献できるか
-(藤井氏)グローバルな大学の中のネットワークを構築することが大事。G7サミットに先立って行われたU7+というアライアンスの中で、「innovation in peace and security」が重要だということでこれを推進していきたい。大学としては人と人、組織と組織、国と国を結び付ける存在でありたい。
12:10 世界と一緒に協業する上で感じる難しさとは
-(藤井氏)中国やウクライナなどのシチュエーション。企業のマインドセットとして必要なのは、無形資産への投資。インタンジブルなものをいかに支えるかが重要。ChatGPTのようなものが出てきたときにすぐに大学として取り掛かりたいが、自前のリソースがないので難しい。
-(宮田氏)東大だからこそ出来ることと、だからこそ出来ないこともある。ChatGPTもテックジャイアントが出来なかったことを、OpenAIが踏み倒しながらやった結果。飛騨に新設予定の大学のようなスタートアップがチャレンジして、うまく行けば他の大学が真似をすればいい。これまでは全て日本で取りそろえなくてはならない、ということがあったが、これからは取り去る必要がある。これからは共創がキーワードになる。
17:54 日本だからこそ出来ることとは
-(藤井氏)大学が上手く繋がっていれば、世界の様々な国との橋渡しが出来る。アントレプレナーシップに力を入れているし、ソーシャルな問題にも対応することもプッシュしようとしている。
ー(秋山氏)なぜ東大は、産学連携の取り組みが出来たのか。
-(藤井氏)スタートが早かった。2000年前後のベンチャーブームのときにTLOなどが出来ていた。エコシステムを強化するのと同時に、グループが出来た。もうひとつは「産学協創」という取り組みで無形資産の重要性を理解していただけたのが大きい。組織間で共通のビジョンを造ってそれを実現するということを進めている。
22:38 チャレンジしたけどうまくいかなかった例は?
-(藤井氏)いくつもある。ただスタートアップで仕事している人の集団が出来るのが重要。人のコミュニティ、エコシステムが出来るのが重要。
23:41 日本だからこそ出来ることとは
-(宮田氏)領域をぶち破って未来を創る力。Appleは健康を作る企業になると言っている。行政もアカデミアも壁をぶち抜いて、未来を作りに行かないといけない。ドバイ万博で出てきた重要な言葉はエンパシー(共感)。自分たちの持つステレオタイプを超えて未来を考えることが大事。グローバルサウスと対話して未来を作っていくことが重要。
-(藤井氏)昨年、ストックホルム+50というグローバルサウスのプレゼンスが高い会議があった。ノースはこれまで恩恵を受けてきたので、サウスに投資すべきと言う議論と、ユースの世代の声を入れていくことも重要だという議論があった。
29:40 会場からの質疑(DFFTに対するブロックチェーンやWeb3のインパクトは?)
-(宮田氏)活動単位でコミュニティを見ていく必要ある。NFTのポジティブな価値を作ることが重要。 持続可能かつウェルビーイングな世界を実現する手段としての経済という形でアップデートする必要がある。
33:00 会場からの質疑 (データドリブンの中で特許はどうするのか?東大の入試が変わればインパクトは大きい。それは出来ないのか?)
-(藤井氏)現在学校推薦型選抜を最大100人行なっている。もう少し入口を多様化したいという想いはある。
-(宮田氏)知財について。全部提供したら競争力はなくなるが、例えば5%共有するだけでも全然違うことが出来る。パテント(特許)で固めた部分とその周囲のフリーフローの中で作るビジネスの組み合わせが大事。
-(藤井氏)オープンクローズで言うと、デジタルの方がコントロールしやすい。
38:18 それぞれが考える「世界に積極的に貢献する日本」というストーリー
-(宮田氏)これまで経済のために生きる時代だった。デジタルが到来したことによって、多様な軸の中で世界を回していけるような時代になってくる。デジタル庁が取り組んでいることの先にどのような未来が創造できるかが大事で、アカデミアも共に創っていくことが大事。
-(藤井氏)さまざまな危機に対して、アカデミアとして人と人の間、組織と組織の間の対話を通して知を生み出していきたい。そうした困難を乗り越える道標を生み出すことをしなければならない。よりグローバル化を進め、ダイバーシティ&インクルージョンも進めていくべき。