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技術としてのWeb3-Web3で変わる世界 vol.2

投稿日:2022/10/18

ブロックチェーン黎明期より、同技術の本質的な価値と可能性に賭け、社会システムの構造展開に挑戦してきた株式会社Ginco代表取締役の森川夢佑斗氏による「Web3とは何か」の連載。Vol.1で紹介した「Web3の思想」に続き、今回は「技術(ブロックチェーン)」に焦点を当てる。(全5回、第2回)(第1回はこちら

※本記事は、2022年6月9日にグロービスのテクノベート勉強会で実施した森川氏の講演「Web3で変わる世界」をもとに再編集しています。また、本稿は投資や購買の勧誘を目的とするものではありません。

ビットコインの登場とブロックチェーン技術

Web3.0を支える技術という側面から見ると、デジタル通貨とそれを支えるブロックチェーン技術の進展が大きいと思います。

ブロックチェーン技術は、ビットコインから始まりました。そのビットコインは、サトシナカモトという匿名の人物が書いた論文をきっかけに、「電子メールを送るくらい簡単にお金のやり取りができる」というコンセプトで生まれています。銀行のような中央管理者に頼らずとも、電子的な価値を個人間で移転する、また残高の記録が可能であることが特徴で、これは言い換えるとWeb3の要素の一つ、「管理者のいないトランザクション」をさすものです。

ビットコインは、何度か暴落を経験していますが、時価総額は10年足らずの間に日経トップのトヨタの倍に当たる74兆円にまで膨らんでいます(講演時点)。これもひとつのWebサービスだと捉えると、とてつもないスピードで成長していると言えます。

ビットコインをきっかけに、ブロックチェーン上で中央管理者なしに電子的な価値を扱えるようになったことで、オルトコインと呼ばれるビットコインのさまざまなコピーが生まれ暗号資産が拡大していきました。また、有価証券のデジタル化という文脈でセキュリティトークンが登場し、さらには法定通貨とペッグしたステーブルコインなどが登場します。このようなブロックチェーン上でやり取りされる価値を総称してトークンと呼ばれています     。    

ただし、トークンとは抽象的な価値の概念を直感的に扱えるように可視化しただけのもので、それ自体にはブロックチェーン特有の概念はありません。たとえば、預金残高などの数値情報もトークンと言えます。

図表2-1 Web3を支えるブロックチェーン技術

図表2-2 トークンとは?

Web3の特徴的な要素は「Own」

トークンがデジタル通貨とニアリーイコールだとすると、Web3とトークンは切っても切り離せません。

Vol.1で紹介したギャビン・ウッド氏(Ethereumブロックチェーンの共同創業者)が提唱した定義に当てはめていくと、スマートフォンやブラウザなどの統合ユーザーインターフェースに、静的なコンテンツ「Web1.0」と動的なメッセージ「Web2.0」があり、そして、Web3の特徴的な要素であるトランザクションを介して表現されるトークンが加わります。トークンはトランザクションの積み重ねによって残高情報が記録されていくため、中央管理されません。つまりは、誰もがトークンを個別に所有(Ownできる、これが革新的なポイントといえます。

図表2-3 Web3における新要素「トークン」

英語では、Web1.0が「Read」、Web2.0が「Read and Write」、Web3は「Read Write Own」と表現されます。    

ブロックチェーンは、Web3サービスにおいて、トークンが正しく記録される参照先としての役割があります。トークンという大切な情報をユーザー各々で管理ができていることが重要であり、その処理を行う機能としてブロックチェーンが位置づけられています。

つまり、Web3サービスの全てがブロックチェーン上で処理されているわけではなく、実際はWeb3サービスの大半は今まで通りのシステムの構成になっています。別世界で生まれた全く未知のサービスではなく、オプションの一つとして考えるべきだと思います。

Web3はWeb2.0にトークンという要素が組み合わさったもの

Web3のサービスの構造をもう少しブレイクダウンすると、Web3サービスとは、Web2.0というサービスにトークンという要素が組み合わさったものと捉えることができます

Web3においてはウォレットがブラウザの代わりともいわれますが、Chromeのエクステンション(拡張)で、ブラウザと併用しています。ブラウザを使いながら、トークンを扱うたびにウォレットを「使っている=併用している」のです。

図表2-4 Web3サービスの基本構成

よく、「Web3サービスはWeb2.0サービスから分離した全く新しい何かだ」と見る人もいますが、それは誤解があると思います。Web2.0というサービスに、ブロックチェーン上で記録された各々が管理できるトークンを内包したサービスがWeb3サービスなのです。Web3のトークンを扱う時に、Web2.0のシステムにはないけれども必要になるのが、ウォレットや、ブロックチェーンのデータの受け取り、やり取りするためのサーバーに当たるノードやプロトコルとしてのブロックチェーンになります。

補足:ブロックチェーンについて

図表2-5 補足:ブロックチェーンの基本イメージ

図表2-6 補足:ブロックチェーンの特徴

Vol.3に続く

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