ダボスを離れ、スイス鉄道の旅を堪能します。ダボスに行く時は、車だけど、帰りはゆっくりと鉄道で帰ることにしている。 理由はシンプルで、行きは早く行きたいし、レジストレーションがあるから。帰りは、のんびりと景色を楽しみたいから。 車窓に広がる景色を逐次共有しますね。(^^)
車窓には絵葉書の様な景色が広がっている。緑の車窓は、新鮮だ。今回鉄道で帰ることに決めたのは、冬の景色と初夏の景色の違いを楽しみたかったからだ。
LuckyFesに出演するアーティストの音楽をAirPods Proで聴きながら、スイス鉄道の旅を楽しんでいます。 いつもは白い岩壁なのが、緑の岩壁に代わっているのが、新鮮だ。 LuckyFesのプロデューサーになってから人間の幅が広がった気がする。今かかっている曲はCreepy Nutsの「のびしろ」。楽しいね!
スイス鉄道の旅の途中にダボス会議のまとめを書く予定だったが、車窓の景色があまりにも美しく、LuckyFes出演アーティストの音楽が最高過ぎて全くその気にならない 。総合プロデューサーに就任してからは音楽を聴くのが仕事になった。僕が好きなアーティストばっかり呼んでいるから、そりゃ楽しいよね!
楽しかったスイス鉄道の旅は、チューリッヒ空港に列車が到着して終えた。帰路に着く前に、簡単にダボス会議を振り返ってみることにした。
コロナの影響で2年4ヶ月ぶりの開催となったダボス会議。僕にとっては、海外に出ることすらも2年4ヶ月ぶりとなる。久しぶりの海外が、初夏のダボス。初めてだったが、新鮮であった。
コロナの影響で会議の開催の有無、渡航の有無も不明だったし、7月23-24日に開催予定のLuckyFesの準備に忙殺されていたことを言い訳にして、今回は全く準備してこなかった。例年であれば、グロービス・ナイト、アジアン・フレンズ・ディナー、登壇、取材を受けるためのメディアとの折衝、バイラテラルのアポ入れ、およびプライベート会合への参加など、徹底的に準備するが、今回は全く用意せずに参加することになった。
3つのキーワード
感じたことを3つのキーワードで紹介することにしたい。それらの言葉はダボスの前はそれほど聞くことがなかった言葉ばかりだ。
1)UNITY:
ウクライナ情勢を受けて、欧州そして世界が一致団結する方向に向かっていく必要性を表す言葉としてよくUNITYが使われていた。日本では多少の温度差があるが、欧州に来ると緊迫感そしてコミットメントは半端ではないことがわかる。キーワードの一つが「UNITY」である。今まで聞かなかった言葉であったが、今回はNATO事務総長、欧州の首脳、そして経済人の中でも頻出して使われていた。
2)Superpowered Individuals:
個人のパワーが増大し、企業行動そして政府の行動も左右する時代になったという言葉としてトム・フリードマンが使っていた。ダボス会議は、今回反ロシアの明確なポジションをとった。中立を是としてきた国際機関が、明確にロシアを排除したのだ。長年ダボス会議に参加してきた僕としては、「紛争の時こそ対話が重要だ」と訴えてきた主催者WEFの姿勢と反するのでビックリした。
一方企業も政治的中立を是として、ポジションや発言を控えてきた。ところが、個人のSNSを通しての発信が、経営者に政治的なポジションを取らないと、「沈黙は容認とみなす」というプレッシャーを与えられて、言動が必要となる。そのSuperpowered Individualsの力によって、これだけ早期の多数の企業のロシアからの撤退につながった。
トム・フリードマン氏は「Superpower」と「Superpowered Individual」との戦いだと言っていた。Superpowerのロシアは、ウクライナと戦っているばかりでなくNATOそして背後にあるSuperpowered Individualと戦っているのだ。
3)Deglobalization:
聞きなれない言葉だが、脱国際化の流れをさしている。「世界はフラットだ」と著したトム・フリードマン氏はそもそも「国際化は何で定義するのか?」という前提から疑問を呈示し、SNSを通しての国際的な繋がりを増していると明確に否定していた。だが、実態はロシア・中国などの権威主義的な国と民主的な国との戦争や冷戦が起こっている。分断によってDecouplingされた経済圏が生まれつつあると言うのが実態だ。
今回のダボス会議では、ロシアは排除され、中国はゼロコロナ政策で出国できず不在な中で開催された。余計にそれら以外の国々のUNITIYが顕著になり、それ以外の国とのDeglobalizationが浮き彫りにされた気がする。
* * *
他に気になったのは、世界の複雑性が増していることだ。食糧難、エネルギー価格の台頭、戦争やコロナによるサプライチェーンの寸断、インフレーション、気候変動問題。企業を取り巻く環境では、リモートワークからどうハイブリッド型に戻すのか、War for Talentによる賃金の高騰など。テクノロジー的には、メタバース、NFTや暗号資産などが話題になっていた。
これから世界的な大問題になりそうなのが、食糧難だ。ランチ会場に入る前に立ち話をしていた人に「何が一番のTake Awayですか?」と聞いたら、「食糧難」だと明確に言っていた。ウクライナから黒海を通して輸出される穀物がブロックされ、戦争で秋に向けての種まきもできない状況だ。その結果、食糧価格が高騰し、アフリカ諸国を中心に飢餓のリスクがあるというのだ。
いずれにせよ、さまざまな意味で不確実性が高い時代に入ってきたことは明白である。初夏のダボスの日差しは強いが、世界情勢は晴れていないのが今年のダボスの印象だったと思う。
僕は、帰ったら7月23(土)、24日(日)に開催されるLuckyFesの準備に忙殺される。ロッキンジャパンが千葉に移転することとなり急遽「茨城のフェス文化の灯を消すな!」と僕が立ち上がり創っているフェスだ。ダボス会議で議論される政治、経済、ビジネス、テクノロジーもいいが、たまには、「音楽と食とアートの祭典」でエンタメに触れるのも最高だと思う。チケットは好評発売中です。↓
https://luckyfes.com/
最後は、LuckyFesの宣伝で終わりましたが(笑)、これにてダボス会議報告は終わりです。来年は1月16日から開催されるらしいので、楽しみにしていてくださいね。
LuckyFes総合プロデューサー
堀義人
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