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地政学リスク――日本に影響を与える3大リスクを解説

投稿日:2017/08/24更新日:2019/04/09

ユーラシア・グループ日本代表の坂口恵氏をグロービスにお呼びして開催したセミナー、「日本に影響を与える地政学リスクトップ3」の内容をお届けします。


坂口恵氏(以下、敬称略):
こんばんは。坂口と申します。今日は「日本に影響を与える地政学リスクトップ3」についてお話しするほか、我々ユーラシア・グループがグロービスさん(以下、グロービス)とともに今秋提供する戦略的リスクマネジメント講座についてご紹介できればと思います。

さて、まずはユーラシア・グループについて簡単にご紹介します。我々は、政治リスクが企業のビジネス活動にもたらすインパクトに関して企業に情報を提供するという、非常にニッチなコンサルティングを専門とする企業です。

本社はニューヨーク。1998年に政治学者のイアン・ブレマーが設立した会社です。ブレマーは当時28歳。スタンフォード大学でPh.D.を取得したのち、同大学フーバー研究所の史上最年少フェローとして教鞭を執っていました。ただ、彼は政治学に関する自分の知識をアカデミアの世界だけで使うことに毛頭興味がありませんでした。ベルリンの壁崩壊後、政治インパクトがますます経済に影響をおよぼすようになっていった状況を目の当たりにし、「政治学の知識を使って、グローバル化を進める企業の役に立ちたい」と。そうして設立したのがユーラシア・グループになります。

ユーラシア・グループという社名はブレマー自身が旧ソ連邦の政治を専門にしていたということに由来しています。当初はユーラシア地域の政治に関して企業にアドバイスしていたのですが、現在は全世界で60名のアナリストがいます。今はその60名が世界およそ100ヶ国の政治リスクを恒常的にカバーしています。その100ヶ国で世界GNPの95%をカバーしているとご理解ください。

また、クライアント数は来年の設立20年目を控え、現在世界で約300社。そのうちの半数は、市場への政治リスクに揺れ動くケースが多い金融サービス系の企業で、残りが各分野のメーカーです。日本でも約50社にクライアントとなっていただいています。日本では、金融サービス、商社、資源、エネルギー系の企業で約6割。そして残りの4割が、自動車、自動車部品、IT、産業機械、ヘルスケアといった各分野のメーカーになります。

我々のビジネスモデルはというと、まずは60名のアナリストが、デイリー、ウィークリー、マンスリー、クォータリーと、各種分析レポートを作成しています。クライアント企業にはその分析レポートを購読していただくほか、60名のアナリストが交替で頻繁に日本を訪れ、直接クライアントを訪問します。そうして各社が関心を持つ地域の情勢について対面でブリーフィングをさせていただき、レポートの補完として知識を深めていただく。これが基本的なサービスモデルになります。

2017年の10大リスク

なぜビジネスの世界にいる人々が政治リスクについて今まで以上に気を配る必要があるのか。ここで、ユーラシア・グループを有名にした1つの対外的発表案件をご紹介させてください。我々は毎年、年初にその年の「10大リスク」というリストを発表しています。2017年に関しては以下のような10のリスクを提示しました。

1.「わが道を行くアメリカ」
2.「中国の過剰反応」
3.「弱体化するメルケル」
4.「改革の欠如」
5.「テクノロジーと中東」
6.「中央銀行の政治化」
7.「ホワイトハウス対シリコンバレー」
8.「トルコ」
9.「北朝鮮」
10.「南アフリカ」

まずは「わが道を行くアメリカ」。トランプ政権の誕生を踏まえ、予測不能で過去のコンテクストを無視した、一方的かつトランザクショナルに振る舞うトランプ大統領を戴いたアメリカのリスクです。それが、これまで想定できなかったリスクをビジネス活動に与える可能性が非常に高いということで、トランプリスクに代表されるアメリカのリスクをトップに挙げました。

続いて「中国の過剰な反応」。今秋には中国共産党第19回全国人民代表大会(以下、全人代)が開催されますが、それに向けて習近平が権力基盤を強固なものとするため、いろいろな手を打ってくる。そこで外からの干渉や刺激にも過剰に反応することによって、ビジネスに想定外のリスクを与える可能性が高いのではないかということで、中国のリスクを2番目に挙げました。

それから3番目は移民政策を巡って支持基盤を弱めたメルケル首相のリスクです。これまでEU統合を引っ張ってきた中心的リーダーであるメルケルの弱体化は、EU統合にも大きな影を投げかけるのではないか、と。弱体化が継続または深まるのならEU統合にも大きな影響があるだろうということで、ヨーロッパのリスクを代表するメルケルの弱体化が3番目のポイントです。

4番目の「改革の欠如」とは何か。特に新興国を見てみると今年は国政レベルでリーダーを選ぶ選挙が少ないと言えます。新興国では新しいリーダーの誕生が国の経済改革につながる大きなきっかけになるケースが多いものの、その機会が少ない。従って、現在は日本企業も積極的に展開を図っている新興国ですが、今年はその経済改革があまり進まない年になるのではないかということで、リスク要因に挙げさせていただきました。

そして5番目は「テクノロジーと中東」。テクノロジーが中東におよぼす影響が各種リスクにつながるだろう、と。1つは、アメリカがシェールガス・シェールオイルの開発をどんどん進めてエネルギー大国になっている点。これによって、今まで石油に依存して、石油中心経済一辺倒だった中東の経済情勢が大きく揺らいできます。

また、アラブ諸国内でいろいろなセクト同士がインターネットを通じて容易に結び合い、その結びつきが強まると同時に、他のセクトとの対立も強まっていくだろうと考えられます。そうした変化を含め、テクノロジーが中東にもたらす影響が大きなリスク要因になり得るだろうということで5番目に挙げました。

時間の関係もあるので残り5つのリスクについて詳しくお話ししませんが、たとえば独立性を確保すべき中央銀行のリスク。政治の影響を受けて、あるべき金融政策を取れなくなる可能性があります。その状況下で、たとえば次にEU圏内で金融危機が…、たとえばイタリアで金融危機が起きた場合、本当に欧州中央銀行がベイルアウトのために活動できるのか。そうした部分にも疑問が投げかける状況だろう考えています。

このほか、トルコについてもエルドアン大統領の強権政治がリスクとして考えられます。一時期は新しい市場としてすごく有望視されていたトルコですが、今は懸念の対象になっています。また、北朝鮮の状況は皆さんご存知の通りです。

現時点でこのリストをご覧になった皆さんはどのように評価なさるでしょうか。リストで挙げた通りにリスクが高まっている項目もあると思いますし、「指摘したほどリスクが顕在化してはいないな」という項目もあるかもしれません。

日本の視点からの3大リスクは?


いずれにせよ、2017年も8ヶ月が経過した今の世界情勢は、いくつかのカテゴリに括ることができると思います。ちなみに西部劇、マカロニ・ウェスタンがお好きな方はいらっしゃいますか? 『続・夕陽のガンマン』という西部劇の映画があって、これは原題が『The Good, the Bad and the Ugly』。日本語では「善玉、悪玉、卑劣漢」となりますが、まさに今の世界情勢は「Good」「Bad」「Ugly」の3カテゴリで性格づけできると思います。

まず、世界情勢のなかで比較的「Good」だと考えられるのは欧州情勢ですね。年初にはフランス大統領選挙でルペン候補がどうなるのか、オランダ総選挙はどうなるのか、あるいはメルケルは再選されるのか等々、ヨーロッパの主要国で行われる選挙について大きな懸念が挙がっていました。しかし、蓋を開けてみるとマクロンが当選し、オランダもポピュリズム台頭にブレーキがかかった。また、メルケルを取り巻く状況も比較的好転していて、欧州情勢は比較的「Good」と見て良いのではないかという状況です。

加えて、エネルギー革命の影響を受けて中東のオイル価格が乱高下する状況もなくなってきました。これも「Good」なファクターだと思います。さらに、トランプ政権が誕生した際はインフラ投資や減税への期待からドル相場が大きく上昇してしまうのではないかとの懸念もありました。それが新興国経済におけるマイナスのインパクトを深めることが懸念されていたわけですが、今はむしろドルも弱含みの状況です。

それから、中東の産油国であり盟主であるサウジの、王位継承問題と改革の遅れというものも一時懸念材料となっていました。しかし先般、32歳と若いムハンマド・ビン・サルマーンが正式に皇太子となり、王位継承の道筋が明確になってきた。これから彼の改革路線が前面に出てくるという状況です。これはサウジの将来、さらには中東全体で考えるうえでもポジティブなニュースではないかと思います。

一方、あまりよろしくない「Bad」なニュースの塊としては、イランをめぐるアラブ情勢。こちらは要ウォッチの状況です。それと各国の政治スキャンダル。ブラジルもそうですし、アメリカでもロシアゲート疑惑が起きていて、あまりよろしくない状況です。

また、ややもすると醜い状況となる可能性があるものとして、トランプ政権を巡る動き、さらには北朝鮮問題に代表される北東アジア情勢があります。加えて、先ほど「Good」だと申しあげた欧州情勢ですが、「Ugly」になり得る根っこはいまだ残っています。ブレクジッドがどう決着するのか。ポピュリズムの“根っこ”は今後どうなるのか。そしてユーロ圏で金融危機が起きたとき、本当にベイルアウトされて危機が回避されるのか。この辺は状況の展開次第で「Ugly」にもなり得ると考えています。トランプ政権の動き、北東アジア情勢、そして欧州情勢の3つは、日本としても強い関心を持って見ていかなければいけないリスクだと思います。

直面するリスクに対し、どう対応すればよいか?

まとめますと、日本が注目すべき3大リスクのエリアとして、まずは北米。内政面でも外交面でも、トランプ政権の一挙手一投足がビジネスにもたらすインパクトを、しっかり見ていく必要がある。トランプ政権の特徴はすごく‘unpredictable’である点です。また、一方的にディール重視で物事を進めていく姿勢もあります。それが日本企業のアメリカにおけるビジネスだけでなく、他の国で展開しようとしているビジネスにも影を投げかけているのは、皆さんご承知の通りだと思います。

たとえばトヨタがメキシコに新工場を建てようとした際、トランプが早速ツイートで「トヨタはけしからん」といった口撃を仕掛ける。それでトヨタがすぐさまアメリカにおける今までの13万人という雇用貢献を説明したうえで、さらに向こう5年間で1億ドル以上の投資、そして「一層アメリカへのコミットメントを深める」という声明を出しました。すると、その途端にトランプのトヨタに対する姿勢が変わる。

あるいは、イランにも投資をしていきたいと考える日本企業はたくさんありますが、イランを敵対視するトランプから日本のイラン投資がどう見られるのか。そういうところが懸念されるという側面も出てきています。

また、やはり欧州におけるブレグジット、ユーロ圏の将来、そしてポピュリズムの行方もすべて、日本企業にとっては見逃せないポイントです。加えて、今は北朝鮮情勢もますます混沌としてきました。日米中韓4国で今まで以上に高いレベルのコーディネーションが求められていて、ますますリスクの度合いを高めていると言わざるを得ない状況です。

このあたりを個別に少し詳しく見ていきたいと思いますが、まずは北米。トランプ政権がもたらすグローバルリスクですね。政権運営における最初の8ヶ月は、まさに立ち上げ失敗の8ヶ月でした。政権内の内紛があり、閣僚の交替があり、そして諸々コミットメントの進捗も捗々しくない状況です。減税、ヘルスケアプラン、そしてインフラ投資。それらすべてが中心的な公約でしたが、これもなかなか進んでいません。

また、外交政策でもアメリカ第一主義を打ち出し、一方的にディール重視で臨むトランプの姿勢が多くのインパクトを投げかけています。貿易面では先程申しあげた通り、一企業の投資行動にもトランプが口先介入で口撃を仕掛けてきますし、「もっと良い条件でネゴシエートする」ということでNAFTAの見直しにも言及しています。中国に対しても1対1でさらに良いディールを引き出そうと対決姿勢を強めたり、といった状況です。とにかく、トランプによる、今までのコンテクストを無視した動きが企業レベルでも懸念材料になっています。

移民政策に関しても、とりわけハイテクワーカーのビザ発給を差し止めるような動きになりますと、アメリカ経済を支えるハイテク企業にも影響が出てきます。日本企業のアメリカにおける優秀な人材雇用にも影を投げかけてくるでしょう。さらに、テロリズムへのフォーカスとして中東ではイランを敵視するような姿勢も見せていますし、これらが予測不可能な展開につながる恐れがあると言えます。

それから、アメリカは第2次大戦後の世界でいろいろな国際機関を引っ張ってきました。IMFや世銀を含め、これまでいろいろな国際機関を引っ張って自由貿易含む国際体制のリーダーシップをとってきたわけです。ところが、トランプはそうしたコンテクストも棚上げにしたり、そういうものに関心を示さなかったりします。自由貿易の擁護者というポジションにも関心を持たず、多国間合意に関してもパリ協定を反故にしたりTPPから離脱したりと、とにかく自分にとってディールの余地があるものにしか関心を示さない。その姿勢が非常に大きなリスクとなって我々の活動に影響を与えてきているわけです。

トランプ外交をバランスシートで考えてみますと、中東ではシリア問題で、ある程度の成果を見せたりはしています。まあ、これは賛否両論ありますが、サウジとの関係修復といったところで若干の成果は認められるわけです。また、日米関係に関しても、当初は軍事費の負担要求や「タダ乗り論」といった話があったものの、結果的には側近たちの進言もあり、一応は日米の同盟関係も今のところ堅調に維持されています。このあたりは比較的評価できるポイントかと思います。

ただ、対欧州、特に欧州の盟主であるドイツとの関係がぎくしゃくしていますし、NATOに対する強い支持も表明していないということで、この辺が懸念される状況は続いています。また、先程申しあげた通りTPPとパリ協定から離脱しましたし、NAFTA再交渉の動きも展開次第では憂慮の対象となります。ただ、「TPPマイナスアメリカ」を、日本中心にして残り11ヶ国が進めようとしていることに対し、今のところトランプは黙認しています。なので、これが良い形で進んでいけばトランプの貿易政策にもポジティブな影響があり得るだろうと考えています。

また、パリ協定は離脱しましたが、アメリカのエネルギー政策で実際にカギを握っているのは各州です。トランプが離脱したと言ってもアメリカのエネルギー政策にそれほど大きなマイナスインパクトがあるわけではありません。また、トランプ自身もパリ協定離脱は宣言しましたが、それを見直すチャンスはなきにしもあらずという状況です。

NAFTAについても、今は「もっと良いディールを引き出す」ということで再交渉に言及しています。ただ、仮に再交渉となっても、そのベースはTPPで各国が長い交渉を経て生み出した、非常にポジティブな合意になると認識しています。なのでNAFTA再交渉についても懸念されるほどネガティブな形には収束しないのではないかと見ています。

次にヨーロッパ。こちらもマクロンが当選したことで、EUの中心となるべき独仏関係が強化されます。マクロンが当選後初めて訪問した国はドイツでしたし、メルケルとマクロンという…、「メルクロン」と言われていますが、2人の盟主を中心にしてEU統合の先行きも今のところポジティブに推移していくのではないかと考えています。

ただ、一方で「ハードブレグジット」が起こるのか、あるいは先般の総選挙結果を踏まえ、もう少し緩やかな形のブレグジットになるのか。この辺は、ユーロゾーンで次に何か危機が起きたときにうまく収束するのかという点と併せて予断を許さない状況です。

また、東欧を中心に、いまだ根を張るポピュリズムもあります。ただ、東欧各国は「反ブラッセルズ」ということでポピュリズムを標榜していますが、場合によって、これは東欧諸国として「西洋の企業以外からの投資を誘致したい」というインセンティブにもなります。その意味で、東欧諸国はむしろ日本からの投資は歓迎する方向にあると言えます。なのでポピュリズムの根っこが残ってるからといって日本企業として東欧に行くことは懸念すべきだという話には、必ずしもなりません。

そして北東アジア。北朝鮮問題は深く憂慮すべき状況にありますが、ここで考えられるシナリオは3通りほどあると思います。1つは米中がうまく圧力をかけることによって北朝鮮が核開発を凍結するという形で、一応の決着を見るシナリオ。2つ目はアメリカが武力行使をせざるを得ない状況に至るシナリオ。そして3つ目は、結局のところ北朝鮮の粘り腰によって米中含めて核保有を認め、核を持った北朝鮮という形で地域の情勢が一応落ち着くというシナリオです。ただ、この場合は日韓が大変不安定な状態に置かれ続けます。

今は日本企業、特に韓国に大きな拠点を持つ日本企業からも相談を受けていますが、こうしたシナリオを念頭に置いてリスクプランニングをしていく必要があります。また、日米中の北東アジアにおける関係は今後、軍事・経済両面でさまざまな注目点を提示してくると考えられます。今年も、中国が秋の全人代に向けていろいろと過剰反応したり、北朝鮮に圧力をかけるという努力を先送りにしたりする状況が憂慮される状態で、引き続き要ウォッチのポイントになるのではないでしょうか。

以上、日本としても憂慮すべき世界情勢におけるリスクのトップ3を、それが企業活動にもたらし得るポイントとともに、駆け足でご説明させていただきました。

戦略的リスクマネジメント講座について

続いて、グロービスと共同で実施する戦略的リスクマネジメント講座に関して、簡単にご説明します。このプログラムの目的は何か。多くの日本企業は今、主に市場競争リスクを見据えながら大変綿密な海外事業戦略プランを立てています。ただ、やはり包括的な海外展開戦略を練っていくためには世界情勢を踏まえながら、市場競争リスクの分析だけでなく、進出先、さらには進出先の周辺国情勢も含めた政治リスクの分析を、プランニングプロセスに盛り込む必要があります。

本プログラムでは、どのようにして事業戦略プランニングのプロセスに政治リスク分析を盛り込んでいくのか、その方法論をツールとともに学んでいただけます。また、政治リスクを特定するということは、その政治リスク避けてオポチュニティに変える道筋を探ることでもあります。そのための視点も持っていただくことができます。さらには、今あるリスクとは別に、今は見えていないけれども、今後経済と政治の関係がさらに収斂していくなかで水平線上に新しく現れるであろうリスクについても、ある程度の感触を得ていただくことができるのではないかなと思っています。

また、政治リスクがビジネスにどう関係してくるかということも先進国と新興国では違いがあります。そうした違いを認知していただきつつ、将来における事業戦略のベストプラクティスを構築するきっかけにしていただきたいと考えています。

登壇するのは、弊社の創業者で社長のイアン・ブレマー、ボストンコンサルティンググループ前日本代表の御立尚資(現 ボストン コンサルティング グループ シニア・パートナー&マネージング・ディレクター)さん、そして弊社マネージング・ディレクターで、新興国はじめとした各国におけるリスクの相対的分析を統括しているアレックス・カザンです。

どのように方々な本プログラムを受講していただきたいかというと、もちろんCEOレベルの方々には今回の受講を通し、世界を俯瞰したうえで大局観を得ていただきたいと考えています。また、各種政治リスクにさらされるサプライチェーンやオペレーション現場を預かる事業部門責任者の方々にも、どんな政治リスクが自分たちの現場に影を投げかけるのかを予測していただくため、ぜひ受講いただきたいと思います。その他、経営戦略部門をはじめ、ここに列挙した様々な部門の幹部の方の戦略立案プロセスに、これまであまり意識されていなかった事業リスクの観点でお役に立てると考えています。

本講座で弊社はいろいろなツールをご提供します。各国の政治安定性を数値化するツール、今後生まれるリスクが政治の安定性にどういったインパクトを与えるのかを予測するツール、さらには国ごとのリスクへの対応力、対応キャパシティを測定するためのツール等々。また、政治リスクが金融市場にどんなインパクトを与えるのか、モデル化するツールもご紹介していきます。

さらに、そうしたツールのベースとなるファットテールリスクの見極め方もご紹介します。また、透明性や開放度の高い国や社会は、政治的な危機で一端は悪化しても、そのあと飛躍的に安定性を高めるという「Jカーブ」の動きを見せるケースもありますので、そうしたことも分析のベースとしてご紹介していきます。さらには政治安定性を数値化するためのベースとして、どんなエレメントを盛り込んでいるのか。たとえば将来に向けた改革のポテンシャルを有する国は、危機への対応能力がいかに高いかといったお話等もご紹介していきたいと考えています。

ご清聴ありがとうございました。(会場拍手)

戦略的リスクマネジメント講座の詳細はこちら>>
 

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